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【手順表あり】インスリン自己注射の手技一覧|忘れやすいポイントと注意点

「空打ちは毎回必要ですか?」「注射したあと、すぐ抜いていいですか?」という質問は、インスリン指導でとてもよく出ます。自己注射は一見シンプルに見えますが、実際には忘れやすい手順がいくつかあります。

新人薬剤師さんや看護師さんが最初に迷いやすいのも、薬効そのものより、どの順番で何を確認するかです。患者さんやご家族も、説明を一度に受けると混乱しやすいです。

インスリン自己注射は、難しい操作より「毎回同じ順番でできること」が安全につながります。

この記事では、2026年4月12日時点で公開されているメーカー資料をもとに、インスリン自己注射で共通して押さえたい手順、忘れやすいポイント、つまずきやすい場面をやさしく整理します。

インスリン自己注射の手技の流れ
インスリン自己注射の手技の流れ

まず結論:自己注射はこの順番で覚えると分かりやすいです

手順 何をするか 忘れやすい点
1 製剤名・単位数を確認する ペン名だけ見て中身を確認しない
2 針を新しく付ける 針の使い回し
3 空打ちをする 毎回必要なことを忘れる
4 単位を合わせる 空打ち後に単位を設定し直していない
5 皮下に注射する ボタンを最後まで押し切れていない
6 押したまま少し待つ すぐ抜いてしまう
7 針を外して捨てる 針を付けたまま保管する

まずは「確認 → 針 → 空打ち → 単位 → 注射 → 待つ → 針を外す」の流れで覚えると整理しやすいです。

注射の前に、まず確認したいことがあります

注射の最初に大切なのは、何の製剤を、何単位で打つかの確認です。インスリンはデバイス名が同じでも中身の製剤が違うことがあります。前回の記事でも整理したように、ソロスターやフレックスタッチはデバイス名であり、中に入っている薬そのものの名前ではありません。

  • 製剤名
  • 今回の単位数
  • 懸濁製剤かどうか

注射手技の最初の安全対策は、手を動かす前の確認です。

針は毎回新しいものを使います

ノボ ノルディスクのフレックスタッチ資料では、注射針は毎回新しいものを、注射直前に取り付けることが案内されています。針の再使用は、痛み、詰まり、感染、正確な注入ができない原因になります。

また、注射針がまっすぐ装着されていないと、空打ちで液が出ない、ボタンが押しづらい、といったトラブルにつながります。

「針は毎回新しく、まっすぐ付ける」は最初に身につけたい基本です。

空打ちは毎回必要です

空打ちは、「本当に針先から薬液が出る状態か」を確認する大切な手順です。フレックスタッチ資料では、毎回2単位に設定し、空打ちでインスリンが出ることを確認する流れが示されています。

空打ちをしないと、針が詰まっている、正しく付いていない、内部に空気が残っている、といった状態を見逃すことがあります。

  • 針を付けたから空打ちは不要と思ってしまう
  • 空打ちで液が出ていないのにそのまま打つ
  • 空打ちのあとに、本番の単位設定をし直し忘れる

空打ちは「余分な操作」ではなく、「正しく打てるかの確認作業」です。

単位設定は空打ちのあとに行います

空打ちのあとに、改めてその回の注射単位を合わせます。ここで急いでいると、空打ち分のまま打とうとしたり、逆に設定し直しを忘れたりしやすいです。

患者さん説明では、「空打ちは確認のため」「そのあとで本番の単位を合わせる」と2段階で伝えると理解されやすいです。

単位設定は「空打ちのあと」が基本、とセットで覚えると混乱しにくいです。

注射するときは、最後まで押し切ることが大切です

フレックスタッチの資料では、ダイアル表示が「0」になるまで注入ボタンを押し切ることが確認項目として示されています。途中で力が緩むと、設定した単位が全部入らないことがあります。

高齢の患者さんや手の力が弱い方では、押し切れていないのに「打てた」と思ってしまうことがあります。ここは病棟でも外来でも見落としやすいポイントです。

「0まで押し切る」は、自己注射手技の中でも特に大切な確認ポイントです。

注射したあと、すぐ抜かずに少し待ちます

ノボ ノルディスクのフレックスタッチ資料では、注入ボタンを押したまま、6秒以上おいてから針を抜くよう案内されています。これは、設定した量が十分に入る前に針を抜いてしまわないためです。

一方で、待つ時間はデバイスや製品ごとに違うことがあります。サノフィのソロスター系でも、取扱説明書を確認して、その製品の説明どおりに行うことが大切です。

  • 打ったらすぐ抜かない
  • ボタンを押したまま少し待つ
  • 最終的にはそのペンの説明書に合わせる

注射後に少し待つ手順は、忘れやすいですが注入不足を防ぐ大切なポイントです。

注射のあとは、針を外して保管します

フレックスタッチ資料では、注射後は直ちに針を外し、使用中のペンは針を付けたまま保管しないことが示されています。針を付けたままにすると、液漏れ、空気混入、衛生面の問題につながることがあります。

また、使用済み針の捨て方は医療機関や地域ルールに従う必要があります。患者さん指導では、捨て方までセットで確認しておくと安心です。

「打ったら終わり」ではなく、「針を外すまでが手技」と考えると安全です。

つまずきやすいポイントをまとめるとこうなります

つまずきやすい場面 起こりやすいこと 伝えたい対策
針の装着 斜めに付いて液が出ない まっすぐ奥まで付ける
空打ち 毎回必要なことを忘れる 針を付けたら必ず空打ち
単位設定 空打ち後に本番単位へ戻していない 空打ちのあとに設定し直す
注射時 ボタンを最後まで押し切れない 0になるまで押す
注射後 すぐ抜いてしまう 押したまま少し待つ
保管 針を付けたままにする 毎回外して保管

手技の失敗は、難しい場面より「慣れてきた頃の省略」で起こりやすいです。

新人薬剤師さんや看護師さんが見るときのチェックポイント

患者さんの手技確認では、説明だけでなく、実際の動きを見ることが大切です。見るときは、次の順番でチェックすると分かりやすいです。

  1. 製剤名と単位を確認しているか
  2. 針を新しく付けているか
  3. 空打ちで液が出るのを確認しているか
  4. 単位を正しく合わせているか
  5. 0まで押し切れているか
  6. 押したまま待てているか
  7. 針を外しているか

全部を細かく指摘するより、まず空打ち、押し切る、待つ、針を外すの4点を見ると、実務ではかなり役立ちます。

手技確認では、説明力より「どこで止まっているかを見る力」が大切です。

患者さんやご家族には、短い言葉で伝えると実践しやすいです

患者さん説明では、長い説明より、短い決まり文句のほうが残りやすいです。

  • 毎回新しい針をつける
  • 毎回空打ちする
  • 本番の単位を合わせる
  • 0まで押す
  • 少し待ってから抜く
  • 針を外してしまう

患者さんへの説明は、“長く正確に”より“短く再現しやすく”が大切です。

まとめ

インスリン自己注射の手技は、確認、針、空打ち、単位設定、注射、待つ、針を外す、の順番で整理すると分かりやすいです。忘れやすいのは、空打ち、本番単位への再設定、注射後に待つこと、針を外して保管することです。

新人薬剤師さんや看護師さんは、まずこの共通手順を押さえたうえで、最終的には使っているデバイスの取扱説明書に沿って確認すると安全です。

自己注射手技は、特別なコツより「毎回同じ順番でできること」がいちばん大切です。

あわせて、自己注射インスリンのデバイス一覧インスリン製剤の保管方法 も参考になります。

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