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危険な混合に注意!カルシウム含有製剤と併用してはいけない薬剤リスト

みなさんこんにちは。

今回は点滴、注射のお話をご紹介したいと思います。

カルシウム含有製剤は、医療現場で広く使用されていますが、その取り扱いには細心の注意が必要です。

特定の薬剤と混合すると、予期せぬ沈殿や結晶が形成され、患者に重大なリスクをもたらす可能性があります。

この記事では、カルシウム含有製剤と混合してはいけない薬剤と、その理由について詳しく解説します。

安全な薬剤投与のために、ぜひ一読ください。

もちろんです。それぞれの薬剤と混合不可の理由を、もう少し詳しく解説します。

カルシウム含有製剤と混合してはいけない薬剤—その理由とリスク

いくつか実際の薬剤の例とその理由をご紹介いたします。

1. リン酸塩製剤(例:リン酸ナトリウム)

リン酸塩製剤は、体内でリンの供給源として重要ですが、カルシウムと非常に強く結合する性質を持っています。

カルシウムとリン酸塩を同時に投与すると、これらが反応してカルシウムリン酸塩(CaPO₄)の結晶を作り出します

この結晶は非常に細かく、溶解せずに血管内に沈殿します。

これが血管を詰まらせ、血流を阻害してしまうと、血管閉塞や塞栓症といった危険な状態を引き起こす可能性があります。

特に、高齢者や循環器系に疾患を持つ患者ではリスクが高くなります。

2. 炭酸水素ナトリウム

炭酸水素ナトリウムは、酸を中和するために使用される薬剤です。

しかし、カルシウムと一緒に使用すると、炭酸カルシウム(CaCO₃)が形成されます。

炭酸カルシウムは水に溶けにくく、混合すると沈殿が生じます。

この沈殿が血管内で浮遊したまま血流に乗ると、血管を詰まらせる可能性があり、最悪の場合、生命を脅かす血管内塞栓を引き起こすことがあります。

特に、静脈投与を行う際には、この点に十分注意が必要です。

3. フロセミド(ラシックス®)

フロセミドは利尿剤として広く使用されており、体内の余分な水分を排出するために利用されます。

しかし、フロセミドは酸性の薬剤であり、カルシウム含有製剤と混合すると薬剤の化学構造が不安定になり、沈殿を引き起こすことがあります。

この沈殿は、血管内で障害を引き起こす可能性があるだけでなく、フロセミド自体の効果も低下してしまうことがあります。

特に、心臓や腎臓に問題を抱える患者では、このような薬剤の効果低下が致命的になる可能性があるため、慎重な取り扱いが求められます。

4. 抗生物質(例:セフトリアキソン)

セフトリアキソンは、広範囲の細菌に対して効果があるセフェム系抗生物質です。

しかし、この薬剤はカルシウム含有製剤と混合すると、セフトリアキソン-カルシウム塩と呼ばれる結晶が形成される可能性があります。

この結晶は特に新生児の血管内で形成されると、非常に深刻な合併症を引き起こすことが知られています。

これにより、新生児では致命的な副作用が生じる可能性があり、注意が必要です。

したがって、セフトリアキソンとカルシウム含有製剤は、特に新生児への投与時には決して混合してはいけません。

新生児に限らず大人に投与する場合も同様のリスクがあるため注意してください。

5. マグネシウム含有製剤

マグネシウムはカルシウムと同様に、筋肉や神経の機能を調整するために必要なミネラルです。

しかし、カルシウムとマグネシウムは体内で相互に拮抗する関係にあります。

つまり、一方が作用するともう一方の効果が抑えられる可能性があります。

これに加えて、カルシウムとマグネシウムを混合すると、沈殿が生じることがあります。

この沈殿は、血管内で障害を引き起こすリスクがあるため、特に静脈内投与を行う際には別々に投与することが推奨されます。


以下にカルシウム含有製剤と混合してはいけない薬剤を表にまとめました。

薬剤名混合不可の理由
リン酸塩製剤(リン酸ナトリウム)カルシウムとリン酸が結合し、カルシウムリン酸塩(CaPO₄)の結晶が形成され、血管閉塞や塞栓症のリスクがある。
炭酸水素ナトリウムカルシウムと混合すると炭酸カルシウム(CaCO₃)が形成され、沈殿が生じ、血管内での塞栓リスクがある。
フロセミド(ラシックス®)酸性の薬剤であり、カルシウム製剤と混合すると沈殿が生じ、薬剤効果の低下および血管内での問題を引き起こす可能性がある。
抗生物質(セフトリアキソン)セフトリアキソン-カルシウム塩の結晶が形成され、特に新生児には致命的な副作用を引き起こすリスクがある。
マグネシウム含有製剤カルシウムとマグネシウムは互いに拮抗作用があり、混合すると効果が低下する可能性があり、沈殿が生じることもある。

この表を参考に、カルシウム含有製剤の混合時には注意を払い、安全な投与を行うよう心がけてください。

これらの薬剤を混合する際には、必ず事前に医療スタッフ間での確認を行い、適切な投与方法を選択することが求められます。

患者の安全を第一に考え、慎重な判断が重要です。

カルシウムを含む代表的な輸液製品

ちなみに日本で発売されているカルシウムを含む代表的な輸液製品には以下のようなものがあります。

  1. ビーフリード®輸液
  2. エルネオパ1号、2号®輸液
  3. ハイカリックRF®輸液
  4. ヴィーンF®輸液
  5. フィジオ70、140®輸液
  6. ソルラクトS®輸液

これらの製品はカルシウムを含有しており、医療現場で広く使用されています。

特にビーフリード輸液やエルネオパシリーズは高カロリー輸液として知られており、栄養補給を目的として使用されることが多いです。

これらの輸液を使用している際は配合変化に注意しましょう。

ただし、上記に載せているものは代表的なものを挙げただけなので、これ以外にもカルシウムを含む輸液はあるので、製品ごとにきちんと確認しましょう。

安全な投与のために

カルシウム含有製剤と他の薬剤を併用する際には、必ず混合に関するリスクを理解し、適切な対応を行うことが求められます。

薬剤を別のラインで投与する、もしくは順序を考慮して投与し、前後に生食でルートをフラッシュする(洗い流す)ことが重要です。

必ず、薬剤の添付文書や医療機関のガイドラインを確認し、安全な投与を心がけましょう。

この記事が、医療従事者の皆さんにとって役立つ情報となり、安全な薬剤投与の一助となることを願っています。

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