吸入薬を受け取った患者さんから、「この前と形が違うけれど、同じように吸えばいいのですか?」と聞かれることは少なくありません。吸入薬は薬の成分だけでなく、デバイスの違いで使い方も大きく変わります。
吸入薬は“何の薬か”だけでなく、“どのデバイスか”で使い分けを考えることが大切です。
この記事では、代表的な吸入デバイスである pMDI、DPI、SMI の違いを、非医療者にもわかりやすく整理します。薬局での説明や吸入指導に役立つよう、向いている患者さんやよくあるつまずきもまとめます。
もくじ
まず結論:pMDI・DPI・SMIの違い
| 種類 | 特徴 | 向いている患者 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| pMDI | ボタンを押して霧を出すタイプ | 吸う力が弱い人、スペーサーが使える人 | 噴霧と吸気のタイミングを合わせる必要がある |
| DPI | 粉を勢いよく吸い込むタイプ | しっかり吸う力がある人 | 吸入力が弱いと薬が入りにくい |
| SMI | やわらかいミストが出るタイプ | ゆっくり吸える人、pMDIよりタイミング合わせが苦手な人 | 初回準備やカートリッジ装填がやや複雑 |
ざっくり言うと、「押して吸う」pMDI、「強く吸う」DPI、「ゆっくり吸う」SMI と覚えると整理しやすいです。
pMDIとは
pMDI は pressurized Metered Dose Inhaler の略で、加圧されたエアゾールを噴霧するタイプです。代表例として、フルティフォームエアゾールやアドエアエアゾールなどがあります。
ボタンを押す操作と、吸う動作を合わせる必要がありますが、吸入力そのものはそこまで強くなくても使えるのが利点です。スペーサーが使える製品では、タイミングが合わせにくい患者さんを補いやすくなります。
DPIとは
DPI は Dry Powder Inhaler の略で、粉の薬を吸い込むタイプです。シムビコートタービュヘイラー、レルベアエリプタ、オンブレスブリーズヘラーなどがこのグループです。
ボタンを押すタイミング合わせは不要ですが、薬を肺まで届けるには、ある程度しっかり吸い込む力が必要です。
| DPIで起こりやすいこと | 現場での見え方 |
|---|---|
| 吸い込みが弱い | 薬が十分に入らない |
| 吸う前に息を吹き込む | 粉が湿ってうまく吸えない |
| デバイス操作が複雑 | 空打ちやセット忘れにつながる |
SMIとは
SMI は Soft Mist Inhaler の略で、ゆっくり広がる細かいミストを吸うタイプです。代表例はスピリーバレスピマット、スピオルトレスピマットなどです。
pMDI よりも噴霧の勢いがやさしく、DPI ほど強い吸入力を必要としないため、中間的な使いやすさがあります。一方で、初回の準備やカートリッジ装填に戸惑う患者さんは少なくありません。
どんな患者さんにどれが向く?
| 患者さんの状況 | 向きやすいタイプ | 理由 |
|---|---|---|
| 吸う力が弱い | pMDI、SMI | DPIより吸入力依存が小さい |
| 手先の操作が苦手 | 単純なDPIやpMDI | SMIは準備操作でつまずくことがある |
| 押すタイミングを合わせにくい | DPI、SMI | pMDIのタイミング合わせが不要または軽い |
| 高齢で複数デバイスを使っている | できるだけ種類をそろえる | 混乱を減らしやすい |
デバイス選択は「薬の強さ」より「その人が再現できるか」で考えると実務に合います。
薬局で説明するときのコツ
- 「この薬は押して吸うタイプです」など、まず動作の違いから伝える
- 患者さん本人に実際に動かしてもらう
- できていない点は一つずつ修正する
- 同じ患者さんが複数デバイスを使う場合は、違いを比較して説明する
実務では、吸入手技エラーはかなり多く、デバイスごとに内容も違います。一度説明して終わりではなく、定期的な確認が前提です。
よくある説明フレーズ
| デバイス | 伝え方の例 |
|---|---|
| pMDI | 「押したら、ゆっくり深く吸ってください」 |
| DPI | 「セットしたら、勢いよくしっかり吸ってください」 |
| SMI | 「ミストに合わせて、ゆっくり深く吸ってください」 |
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まとめ
吸入薬は、同じ「吸う薬」でも pMDI、DPI、SMI で使い方がかなり違います。薬剤師が見たいのは、成分名だけでなく「その患者さんがそのデバイスを再現できるか」です。
吸う力、操作のしやすさ、タイミング合わせの得意不得意を見ながら、患者さんごとに説明を変えると、吸入指導はかなり伝わりやすくなります。



