📅 この記事は2026年4月14日時点の厚生労働省公表情報および出荷調整チェッカーのデータをもとに作成しています。出荷調整の状況は毎日変動します。最新情報は一次情報(厚労省・卸・メーカー)でご確認ください。
もくじ
現場でよく聞かれる「今どれが出ていないの?」への答え
出荷調整の品目数は多く、どこから確認すればいいか迷うことがあります。
この記事では、厚生労働省が公表している医療用医薬品供給状況一覧(2026年4月14日現在)をもとに、通常出荷以外の品目を薬効分類別に整理しています。
あわせて、2026年3月31日から稼働した新しい確認システムと、4月6日以降の主要な変更内容もまとめました。
この記事でわかること
- 2026年4月6日時点の品目数と薬効分類別の状況
- 限定出荷と供給停止の違い
- 4月6日〜14日の主な変更(回復・新規調整)
- 2026年3月31日に稼働した新システムの概要
- 実務での確認順序
限定出荷と供給停止は別物です
まず、言葉の意味を整理します。
| 分類 | 意味 | 現場への影響 |
|---|---|---|
| 限定出荷 | 出荷はしているが量を制限している | 入手できる場合もある。卸に在庫確認が必要 |
| 供給停止 | 出荷を止めている | 代替薬や規格変更の対応が必要 |
| 通常出荷 | 通常通りの供給 | 基本的に問題なし |
限定出荷には3つの理由があります。
- 自社の事情:製造トラブルや原料不足など
- 他社品の影響:競合品の出荷調整に伴う需要急増への対応
- その他:上記以外の理由
2026年4月6日時点の全体像
通常出荷以外の品目数
| 分類 | 品目数 |
|---|---|
| 限定出荷(自社の事情) | 513品目 |
| 限定出荷(他社品の影響) | 465品目 |
| 限定出荷(その他) | 84品目 |
| 限定出荷 合計 | 1,062品目 |
| 供給停止 | 1,164品目 |
| 通常出荷以外 合計 | 2,226品目 |
供給停止1,164品目のうち、808品目は薬価削除による停止です。製造トラブルや需要増による実質的な調整は、それより少ない数になります。
剤形別の内訳
| 剤形 | 品目数 |
|---|---|
| 内用薬 | 1,264品目 |
| 注射薬 | 623品目 |
| 外用薬 | 339品目 |
2026年4月6日〜14日の主要な変更
4月に入ってから、複数回にわたって大きな変更がありました。特に注目された動きをまとめます。
4月1日・3日:年度替わりの大規模変更
新年度切り替えに伴い、4月1日と4月3日に大規模な状態変更がありました。
| 日付 | 新規 | 変更 | 解消 |
|---|---|---|---|
| 4月1日 | 13件 | 77件 | 39件 |
| 4月3日 | 6件 | 99件(今月最大規模) | 13件 |
4月7日の主な変化
新規に限定出荷が始まった成分
| 成分名 | 薬効分類 | メーカー | 影響品目数 |
|---|---|---|---|
| シベンゾリンコハク酸塩 | 不整脈用剤 | トーアエイヨー、沢井製薬 | 4品目 |
| チオクト酸 | 代謝性医薬品 | 日新製薬 | 1品目 |
調整が解消した成分
| 成分名 | 内容 |
|---|---|
| セマグルチド(遺伝子組換え) | 5品目が通常出荷に回復 |
セマグルチドは、GLP-1受容体作動薬として2型糖尿病・肥満症に使用されてきた成分です。需要増による出荷調整が続いていましたが、4月7日付で限定出荷の解消が確認されました。
4月11日の主な変化
| 変化 | 主な成分 |
|---|---|
| 通常出荷へ復帰(14件) | アトモキセチン、アダパレンゲル、アスコルビン酸注、ケトプロフェンテープ など |
| 供給停止に変化(4件) | トリアムシノロンアセトニドクリーム・ゲル、モメタゾン点鼻液(2規格)、フェロ・グラデュメット錠 |
| 限定出荷に変更(2件) | クロマイ腟錠、タムスロシン塩酸塩OD錠「明治」 |
| 調整解消(3成分) | pH4処理酸性人免疫グロブリン、イオジキサノール、乾燥濃縮人アンチトロンビンⅢ |
4月14日の主な変化(最新)
新規に調整が始まった成分
| 成分名 | 薬効分類 | メーカー | 状態 |
|---|---|---|---|
| ネビラピン | 抗ウイルス剤 | 日本ベーリンガーインゲルハイム | 供給停止 |
| アフリベルセプト(遺伝子組換え)後続品② | 眼科用剤 | 富士製薬工業 | 限定出荷 |
通常出荷へ改善した成分(8件):アルプロスタジル、セファレキシン、フルオロメトロン(2製品)、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウム、メキシレチン塩酸塩、L-カルボシステインが、限定出荷から通常出荷に戻りました。
悪化した成分:イソプロピルウノプロストン点眼液が、通常出荷から供給停止に転じました。
調整解消:デキサメタゾンメタスルホ安息香酸エステルナトリウム(2品目)が通常出荷に回復しました。
2026年3月31日に新システムが稼働しました
2026年3月31日より、「医薬品安定供給・流通確認システム」が正式に稼働を開始しました。
これまでは厚生労働省がExcelファイルを公表する形式でしたが、新システムでは次のことができるようになっています。
- 供給状況をオンラインで随時確認できる
- メーカーがシステム上で報告・入力し、厚労省が承認後に公開される
- 医療機関や薬局が情報をより迅速に取得できる
現場としては、Excelのダウンロードに加えてシステム上での確認という選択肢が増えました。
薬効分類ごとの状況(2026年4月6日時点)
影響が大きい上位5分類
| 薬効分類 | 通常出荷以外(合計) | うち限定出荷 | うち供給停止 |
|---|---|---|---|
| 血圧降下剤 | 155品目 | 76品目 | 79品目 |
| 精神神経用剤 | 131品目 | 47品目 | 84品目 |
| その他のアレルギー用薬 | 120品目 | 62品目 | 58品目 |
| 抗菌薬(合算) | 101品目 | 37品目 | 64品目 |
| 皮膚外用薬関連 | 83品目 | 38品目 | 45品目 |
循環器系
血圧降下剤が最も品目数が多い分野です。後発医薬品の製造トラブルが複数重なり、同薬効内での需要シフトが起きています。
| 薬効分類 | 限定出荷 | 供給停止 |
|---|---|---|
| 血圧降下剤 | 76品目 | 79品目 |
| 不整脈用剤 | 17品目 | 18品目 |
| 狭心症・血管拡張薬 | 15品目 | 12品目 |
| 抗血栓薬(抗血小板等) | 13品目 | 10品目 |
実務でのポイント:アムロジピンやカルベジロール系は品目数が多いため、採用規格の在庫状況を定期的に確認することが有効です。なお、シベンゾリンコハク酸塩が4月7日より新規限定出荷となりました。
精神・中枢神経系
供給停止の比率が高い分野です。薬価削除に伴う停止が多くを占めます。
| 薬効分類 | 限定出荷 | 供給停止 |
|---|---|---|
| 精神神経用剤 | 47品目 | 84品目 |
| 睡眠鎮静剤 | 16品目 | 22品目 |
| 抗てんかん剤 | 12品目 | 19品目 |
| 抗パーキンソン剤 | 9品目 | 14品目 |
実務でのポイント:向精神薬は処方変更に患者さんの同意と医師との調整が必要なため、早めに情報を共有することが大切です。アトモキセチンは4月11日に通常出荷へ回復しています。
感染症・呼吸器系
抗菌薬は通常出荷以外の品目数が多い分類のひとつです。
| 薬効分類 | 限定出荷 | 供給停止 |
|---|---|---|
| 主に一般向け感染症用剤 | 14品目 | 23品目 |
| 主に入院向け感染症用剤 | 23品目 | 41品目 |
| 抗ウイルス剤 | 11品目 | 14品目 |
| 鎮咳去痰剤 | 18品目 | 21品目 |
4月14日にネビラピン(抗ウイルス剤)が新たに供給停止となりました。L-カルボシステインは同日に通常出荷へ改善しています。
アレルギー・皮膚・眼
「その他のアレルギー用薬」は上位分類に入ります。
| 薬効分類 | 限定出荷 | 供給停止 |
|---|---|---|
| その他のアレルギー用薬 | 62品目 | 58品目 |
| 外皮用薬 | 23品目 | 22品目 |
| 眼科用剤 | 18品目 | 20品目 |
| 点鼻薬 | 8品目 | 11品目 |
4月11日にトリアムシノロンとモメタゾン点鼻液が新たに供給停止となりました。4月14日にはイソプロピルウノプロストン点眼液が供給停止に転じ、アフリベルセプト後続品が新規に限定出荷となっています。
消化器・代謝・内分泌
GLP-1受容体作動薬のセマグルチドが4月7日に通常出荷へ回復しました。
| 薬効分類 | 限定出荷 | 供給停止 |
|---|---|---|
| 消化性潰瘍用剤 | 29品目 | 38品目 |
| 糖尿病用剤 | 22品目 | 15品目 |
| 高脂血症治療薬 | 18品目 | 21品目 |
| 消化酵素・整腸剤 | 12品目 | 18品目 |
注射・血液製剤
注射薬は623品目が通常出荷以外となっており、内用薬に次いで多い剤形です。
| 薬効分類 | 限定出荷 | 供給停止 |
|---|---|---|
| 血液製剤 | 25品目 | 29品目 |
| 電解質・補液 | 19品目 | 22品目 |
| 注射用抗菌薬 | 21品目 | 31品目 |
| 解熱鎮痛消炎剤(注射) | 11品目 | 14品目 |
4月11日にpH4処理酸性人免疫グロブリン、乾燥濃縮人アンチトロンビンⅢが調整解消となりました。
全薬効分類の一覧(2026年4月6日時点)
| 薬効分類 | 限定出荷 | 供給停止 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 血圧降下剤 | 76 | 79 | 155 |
| 精神神経用剤 | 47 | 84 | 131 |
| その他のアレルギー用薬 | 62 | 58 | 120 |
| 主に感染症(入院向け) | 23 | 41 | 64 |
| 外皮用薬 | 23 | 22 | 45 |
| 消化性潰瘍用剤 | 29 | 38 | 67 |
| 鎮咳去痰剤 | 18 | 21 | 39 |
| 高脂血症治療薬 | 18 | 21 | 39 |
| 電解質・補液 | 19 | 22 | 41 |
| 抗てんかん剤 | 12 | 19 | 31 |
| 睡眠鎮静剤 | 16 | 22 | 38 |
| 主に感染症(一般向け) | 14 | 23 | 37 |
| 糖尿病用剤 | 22 | 15 | 37 |
| 抗パーキンソン剤 | 9 | 14 | 23 |
| 眼科用剤 | 18 | 20 | 38 |
| 不整脈用剤 | 17 | 18 | 35 |
| 解熱鎮痛消炎剤 | 15 | 17 | 32 |
| 注射用抗菌薬 | 21 | 31 | 52 |
| 血液製剤 | 25 | 29 | 54 |
| 狭心症・血管拡張薬 | 15 | 12 | 27 |
| その他 | 122 | 257 | 379 |
| 合計 | 1,062 | 1,164 | 2,226 |
※ 2026年4月6日時点。4月14日時点では一部変動あり(本文参照)
現場での確認順序
出荷調整情報を確認するときは、この順番で進めると効率的です。
| ステップ | 確認内容 |
|---|---|
| ① まず絞り込む | 自施設の採用品に該当しているか確認する |
| ② 状態を区別する | 限定出荷か供給停止かを確認する |
| ③ 限定出荷の場合 | 卸・メーカーに在庫残を確認する |
| ④ 供給停止の場合 | 代替薬・規格変更の可否を検討する |
| ⑤ 背景を把握する | 一時的な問題か長期的な問題かを確認する |
供給停止の数だけを見ると多く感じますが、薬価削除による停止が全体の約7割を占めています。実質的な製造・需要起因の調整は残り3割程度です。自施設の採用品に絞ることで、確認すべき品目数は大きく絞り込めます。
情報の確認先
| 確認したいこと | 確認先 |
|---|---|
| 全品目の一覧(最新) | 医療用医薬品供給状況報告(厚生労働省) |
| 新システムでの検索 | 医薬品安定供給・流通確認システム(2026年3月31日稼働) |
| 日々の変更をチェック | 医薬品 出荷調整チェッカー |
| 個別品目の詳細 | 卸・メーカーへの直接問合せ |
まとめ
2026年4月6日時点で、通常出荷以外の品目は2,226品目(限定出荷1,062品目、供給停止1,164品目)でした。4月6日〜14日の主な動きは以下のとおりです。
- セマグルチド(GLP-1作動薬)が通常出荷に回復(4/7)
- シベンゾリン・チオクト酸が新規で限定出荷に(4/7)
- トリアムシノロン・モメタゾン点鼻液が供給停止に(4/11)
- 複数の循環器系・外皮用薬が通常出荷へ改善(4/11〜14)
- ネビラピン(抗ウイルス剤)が供給停止に(4/14)
- イソプロピルウノプロストン点眼液が供給停止に(4/14)
出荷調整の状況は毎日更新されています。定期的に一次情報を確認することをおすすめします。
📖 関連記事:転倒リスクを高める薬の一覧と実務対応 / ハイアラート薬の管理と実務対応
参考:厚生労働省「医療用医薬品供給状況報告」(令和8年4月14日現在)/医薬品 出荷調整チェッカー(https://drug-supply-check.com/)


