長期収載品の選定療養は、2024年10月に始まった制度ですが、2026年度は患者負担の考え方に大きな見直しが入ります。薬局でも「今までより高くなりますか?」「制度自体が変わるのですか?」と聞かれる場面が増えそうです。
今回のポイントは、制度そのものがなくなるのではなく、2026年6月1日から特別の料金の計算が変わることです。
この記事では、制度の基本、これまでのルール、令和8年度の変更点、患者負担がどう変わるのかを、2026年4月7日時点で確認できる厚生労働省の資料をもとにわかりやすく整理します。

もくじ
まず結論:令和8年度の大きな変更点
| 項目 | これまで | 令和8年度の変更 |
|---|---|---|
| 特別の料金の考え方 | 先発医薬品と後発医薬品最高価格との差額の4分の1 | 2026年6月1日から差額の2分の1 |
| 対象リスト | 制度開始時の対象リスト | 2026年4月1日分、2026年6月1日分へ更新 |
| 診療・調剤の費用 | 通常どおり | 変更なし |
患者さんの実感としては、「2026年6月1日から先発希望時の追加負担が重くなる」がいちばん分かりやすい変化です。
そもそも長期収載品の選定療養とは?
長期収載品の選定療養は、後発医薬品がある先発医薬品について、患者さんが先発医薬品を希望した場合に、通常の保険自己負担とは別に「特別の料金」を支払う仕組みです。対象は、同一成分・規格・剤形の後発医薬品がある長期収載品です。
もともとこの制度は、後発医薬品の使用促進と保険給付の在り方の見直しの一環として導入されました。
2024年10月の制度開始時はどうだった?
制度開始時の基本ルールでは、先発医薬品と後発医薬品の最高価格との差額の4分の1が、患者さんの追加負担でした。たとえば先発100円、後発60円なら差額40円の4分の1である10円が特別の料金のベースになります。
| 制度開始時の考え方 | 内容 |
|---|---|
| 計算の基準 | 先発医薬品の価格 – 後発医薬品最高価格 |
| 患者負担の割合 | 差額の4分の1 |
| 消費税 | 特別の料金には別途加算 |
| 薬剤料以外の費用 | これまでどおり |
令和8年度の変更点1:負担額の計算が変わる
厚生労働省は、2026年6月からの案内で、特別の料金を「先発医薬品と後発医薬品の価格差の2分の1」としています。つまり、制度開始時の4分の1から、負担が引き上げられます。
| 例 | 従来 | 2026年6月1日から |
|---|---|---|
| 先発100円、後発60円 | 差額40円の4分の1 = 10円 | 差額40円の2分の1 = 20円 |
この特別の料金は課税対象なので、実際の支払いでは消費税分も加わります。患者説明では「今までの2倍になるケースがある」と伝えるとイメージしやすいです。
令和8年度の変更点2:対象医薬品リストが更新される
制度の対象になる医薬品リストも、2026年4月1日から2026年5月31日までのものと、2026年6月1日からのものに分けて公表されています。つまり、薬局で案内するときは「その時点の対象リスト」を見て判断する必要があります。
2026年度は負担額だけでなく、対象リストの更新時期も押さえておく必要があります。
変わらない点は何?
| 変わらない点 | 内容 |
|---|---|
| 薬剤料以外の費用 | 診療や調剤の費用はこれまでと同じ |
| 計算の比較対象 | 後発医薬品が複数ある場合は最も高い後発品価格を使う |
| 医療上必要な場合などの除外 | 従来どおり個別判断が必要 |
制度の基本構造は維持されていて、主な見直しは「患者負担の水準」と「対象リストの更新」です。
薬局で説明するときのポイント
| 患者さんから聞かれやすいこと | 伝え方の例 |
|---|---|
| なぜ高くなるの? | 「制度自体は続きますが、2026年6月1日から追加負担の計算が変わります」 |
| 全部の先発品が対象? | 「対象リストに入っている長期収載品が対象です」 |
| 調剤料も上がる? | 「薬剤料以外の費用は変わりません」 |
患者説明では、「制度の有無」より「いつから、何が、どれだけ変わるか」を短く伝えると理解されやすいです。
実務で確認したいこと
- 今日の受付時点で有効な対象医薬品リストはどちらか
- 後発医薬品の供給状況や在庫状況に問題がないか
- 医療上必要と判断される事情がないか
- 患者さんへ追加負担の説明ができているか
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まとめ
長期収載品の選定療養は、2024年10月に始まった制度ですが、令和8年度は2026年6月1日から特別の料金の計算が「価格差の4分の1」から「価格差の2分の1」へ見直されます。対象リストも2026年4月1日と2026年6月1日で更新されるため、薬局では時点に応じた確認が必要です。
制度の説明では、制度の基本、2026年6月1日からの負担額変更、対象リストの更新の3点を押さえると分かりやすくなります。



