「うちの薬局、6月から調剤基本料が下がるかもしれない…」
2026年改定で集中率の計算ルールが変わり、これまで基本料1を維持できていた薬局にも影響が出ています。医療モール内の薬局、在宅業務に力を入れてきた薬局——どちらも「知らなかった」では済まない変更が加わりました。
この記事では、集中率の計算式の基本から、2026年改定での4つの変更点、自薬局の区分確認手順まで実務に使える形で解説します。
もくじ
集中率とは?調剤基本料を決める核心指標
集中率とは、薬局が受け付ける処方箋のうち「特定の1つの保険医療機関から来た処方箋の割合」です。門前薬局かどうかを数字で表す指標であり、この数値によって調剤基本料の区分が決まります。
集中率の計算式
たとえば、月間500回の処方箋を受け付け、うち450回が同じクリニックからなら、集中率は90%となります。
集中率の計算から除外される処方箋
すべての処方箋が計算対象になるわけではありません。2026年6月時点での除外対象は以下のとおりです。
| 除外対象の処方箋 | 分子から | 分母から |
|---|---|---|
| 情報通信機器を用いた服薬指導(オンライン服薬指導)の処方箋 | ✅ | ✅ |
| 同一グループ薬局の勤務者・その家族の処方箋 | ✅ | ✅ |
| 介護老人福祉施設等の入居患者の処方箋(単一建物1人は除く) | ✅ | ✅ |
| 時間外加算・休日加算・深夜加算を算定した処方箋 | — | ✅ |
※「単一建物が1人」の在宅患者は除外されません。在宅患者でも複数棟・複数人は除外対象です。
【図解】2026年改定で変わった4つのポイント
2026年改定では、集中率の計算方法と判定基準の両方が変わりました。特に影響が大きい4点を整理します。
- 在宅患者訪問薬剤管理指導料等の算定分が受付回数に算入
- 同一建物・同一敷地内の複数保険医療機関を1機関として合算
- 基本料2の受付回数ラインが月2,000回→1,800回に引き下げ
- 都市部新規開設薬局に月600回超で基本料2適用の新規制
①受付回数に在宅・施設調剤が算入
これまで受付回数から除外されていた在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料等に基づく処方箋が、2026年6月から受付回数に算入されます。
在宅業務に積極的に取り組んできた薬局ほど、月間受付回数が増加し、基本料2の判定ラインに近づくリスクがあります。ただし、介護老人福祉施設等の施設患者(単一建物1人以外)は集中率の計算からは引き続き除外されます。
②同一建物・同一敷地内の保険医療機関を合算
医療モール型薬局に大きな影響を与える変更です。これまでは敷地内に複数のクリニックがある場合、個別のクリニックごとに集中率を計算できていました。しかし2026年6月以降は、同一建物または同一敷地内の複数の保険医療機関を「1つの保険医療機関」として扱い、処方箋受付回数を合算して集中率を算出します。
たとえば、内科・整形外科・皮膚科の3クリニックが入る医療モール内の薬局で、それぞれ30%・25%・20%の処方箋割合だった場合、合算後は75%となり、単独では85%の基準を超えなくても合算後に問題になるケースがあります。
③基本料2の受付回数ラインが1,800回に引き下げ
基本料2が適用される受付回数の基準が、月2,000回超から月1,800回超に引き下げられました。集中率が85%超の薬局は、これまで2,000回以下であれば基本料1を維持できていましたが、月1,800〜2,000回の薬局は新たに基本料2の対象になります。
④都市部新規開設薬局への新規制(月600回超)
東京23区・政令指定都市に所在する新規開設薬局については、月600回超の受付回数かつ集中率85%超の場合に基本料2が適用される規制が追加されました。規模が小さくても立地と集中率によって基本料が下がる可能性があるため、都市部で新規開設を検討している薬局は注意が必要です。
調剤基本料の区分別点数早見表(2026年6月施行)
2026年6月1日以降に適用される各区分の点数と判定条件をまとめました。
| 区分 | 点数 | 主な判定条件 |
|---|---|---|
| 基本料1 | 47点 | 他のいずれの区分にも該当しない(集中率85%以下が目安) |
| 基本料2 | 30点 | ①月1,800回超かつ集中率85%超 ②月4,000回超かつ上位3保険医療機関への処方箋割合の合計が70%超 ③特定保険医療機関への受付回数が月4,000回超(同一建物・同一敷地内合算含む) ④都市部新規開設で月600回超1,800回以下かつ集中率85%超 |
| 基本料3イ | 25点 | グループ合算月3万5千回超〜4万回:集中率95%超 グループ合算月4万回超〜40万回:集中率85%超 |
| 基本料3ロ | 20点 | グループ合算月40万回超かつ集中率85%超 |
| 基本料3ハ | 37点 | グループ合算月40万回超かつ集中率85%以下 |
| 特別調剤基本料A | 5点 | 敷地内薬局(同一建物内の保険医療機関との特別関係) |
| 特別調剤基本料B | 3点 | 病院内薬局(敷地内薬局の特定条件) |
※点数は2026年6月1日施行の改定後の値。基本料2の条件①〜③のいずれかに該当すれば基本料2となります。グループ合算は同一グループの全店舗合計。
加えて、2026年6月からは門前薬局等立地依存減算(−15点)が新設されました。都市部に所在し、特定保険医療機関との集中率が85%超かつ医療機関近隣に複数薬局が存在する場合が対象となります。基本料1(47点)からこの減算が適用されると実質的な点数が大きく減少するケースがあります。
自薬局の集中率を確認する手順
6月施行前に自薬局の集中率を算出し、区分を確認しておきましょう。
レセコンの月次集計から取得。在宅分・施設分が受付回数に含まれているか確認
同一建物・同一敷地内の保険医療機関は合算して計算
施設入居患者(単一建物1人以外)・オンライン服薬指導分・時間外加算等算定分
上の早見表と受付回数・集中率を照合して区分を確認
2026年5月31日時点で月1,800回以下だった薬局は、継続して1,800回以下を維持すれば経過措置が適用される場合があります
レセコンベンダーによっては集中率の自動計算機能がある場合もあります。6月施行前(3〜5月の平均)を使って今から確認しておくことをおすすめします。
集中率を下げる実務対策3選
集中率が高く、基本料2への移行が見込まれる場合の具体的な対策です。
対策①:在宅業務・施設業務の拡大
介護老人福祉施設等(単一建物1人以外)の施設入居患者に係る処方箋は、集中率の分子・分母の両方から除外されます。施設との契約を拡大して施設処方箋の比率を高めることで、集中率を実質的に下げる効果があります。ただし、在宅訪問薬剤管理指導料の算定分は受付回数(分母)には算入されるようになった点に注意が必要です。
対策②:複数の保険医療機関からの処方箋獲得
最も直接的な対策は、特定の保険医療機関への依存を減らし、複数の医療機関から処方箋を取り込むことです。地域の診療所・病院への薬局案内配布、かかりつけ機能の周知など、患者さん自身に選んでもらえる薬局づくりが長期的な集中率対策になります。
対策③:セルフメディケーション・一般処方箋の取り込み
保険外(OTC)の相談対応や市販薬の充実により来局者の多様化を図ると、特定の保険医療機関以外からの来局者が増えます。セルフメディケーション税制対応の相談実績は地域支援体制加算にもつながるため、複合的な効果が期待できます。
よくある質問Q&A
Q. 集中率はいつの期間で計算しますか?
Q. リフィル処方箋は集中率の計算に含まれますか?
Q. 医療モール内に4つのクリニックがある場合、集中率はどう計算しますか?
Q. グループ薬局の場合、集中率の計算は店舗単位ですか?
Q. 経過措置はありますか?
まとめ
2026年6月改定で集中率の計算ルールは大きく変わりました。ポイントをおさらいします。
- 集中率 = 特定保険医療機関の処方箋受付回数 ÷ 全受付回数 × 100
- 同一建物・同一敷地内の保険医療機関は合算(医療モール型に要注意)
- 基本料2の受付回数ラインが月1,800回超に引き下げ
- 在宅処方箋が受付回数に算入(在宅に積極的な薬局はカウント増加)
- 都市部新規開設は月600回超で新規制が適用
- 調剤基本料1は47点、基本料2は30点(17点の差)
6月施行まで時間がありません。直近3か月の数値を今すぐレセコンで確認し、区分と点数の影響を試算しておくことをおすすめします。


