「在宅患者訪問薬剤管理指導料って、6月から何が変わるの?」
2026年6月の調剤報酬改定では、この点数の算定要件と新設加算が大きく動きます。中6日要件の廃止、医師との同時訪問評価、複数名訪問の新設──現場の運用を見直さないまま6月を迎えると、算定漏れや要件未充足のリスクが一気に高まります。
本記事では、薬局の管理者・在宅担当薬剤師が「6月1日から何をどう変えるべきか」を判断できるよう、点数体系・新設加算・実務対応の手順を一次情報ベースで整理します。
もくじ
結論サマリー:2026年6月で押さえるべき5つのポイント
- 算定間隔の「中6日以上」要件が廃止され、週1回算定が可能に
- 夜間・休日の連絡先(在宅協力薬局を含む)を患者へ知らせることが要件化
- 訪問薬剤管理医師同時指導料(150点)が新設
- 複数名薬剤管理指導訪問料(300点)が新設
- 連動して在宅薬学総合体制加算1・2が再評価(加算1:15点→30点)
一言でまとめると、「点数構造はほぼ据え置きだが、運用ルールと評価軸が在宅医療の実態に寄せて作り変えられた」改定です。
在宅患者訪問薬剤管理指導料の基本(点数・算定回数)
2026年6月施行版でも、本体点数は2024年度改定時の構造を維持しています。
| 区分 | 点数 | 対象 |
|---|---|---|
| 単一建物診療患者 1人 | 650点 | 戸建・1人入居の集合住宅など |
| 同 2〜9人 | 320点 | 同一建物に複数の指導対象 |
| 同 10人以上 | 290点 | サ高住・有料老人ホーム等 |
算定回数の上限は次のとおりです。
- 原則:患者1人につき月4回まで
- 末期悪性腫瘍患者・麻薬投与患者・中心静脈栄養法の患者:週2回かつ月8回まで
ここまでは変更ありません。変わるのは「次の訪問までに何日空ける必要があるか」という間隔ルールです。
2026年6月改定の主要変更点
① 算定間隔「中6日以上」要件の廃止
これまでは「前回算定日から中6日以上空ける」必要があり、患者の容態が変わっても柔軟に再訪問できないケースがありました。2026年6月からはこの間隔要件が廃止され、週1回ペースでの算定が可能になります。
退院直後・薬剤調整期・看取り期など、頻回フォローが必要な患者に対して算定機会を逃しにくくなる点が大きなメリットです。一方、漫然訪問の防止のため、薬学的管理指導計画への記録や訪問の必要性の根拠は従来以上に丁寧に残しておく必要があります。
② 夜間・休日対応の連絡先通知が要件化
休日・夜間を含む開局時間外でも、調剤や訪問薬剤管理指導に対応できる体制が要件として明示されました。具体的には、自局だけでなく在宅協力薬局を含めた夜間連絡先を患者へ文書で知らせる運用が求められます。
初回訪問時に交付する「患家の連絡先・緊急時対応」文書のテンプレートを、6月までに改修しておきましょう。在宅協力薬局との協定書も同時に見直すタイミングです。
③ 訪問薬剤管理医師同時指導料(150点・新設)
訪問診療を行っている医師と同時に訪問し、その場で薬学的管理・指導を行った場合に算定できる新設点数です。
- 点数:150点
- 算定上限:6月に1回
- 対象患者:単一建物診療患者(または単一建物居住者)が1人で、在宅患者訪問薬剤管理指導料・在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料・居宅療養管理指導費・介護予防居宅療養管理指導費のいずれかを算定している通院困難な在宅療養患者
- 医師側の要件:訪問診療医が主治医であり、在宅時医学総合管理料を算定中であること
- 薬剤師側の要件:医師との同時訪問、患者・家族の同意取得、薬学的管理指導の記録
- 施設基準:特別調剤基本料Bを算定している薬局は算定不可
- 併算定制限:同日に在宅患者緊急時等共同指導料・在宅移行初期管理料に係る指導等を行った場合は算定不可
医師との同行訪問はこれまで「行っても評価されない」状態でしたが、ここに150点がつくことで、医師との直接ディスカッションを伴う処方提案がしやすくなります。
④ 複数名薬剤管理指導訪問料(300点・新設)
医師が「複数名で訪問する必要がある」と認めた通院困難患者に対し、自局または在宅協力薬局の職員と2名以上で訪問した場合に算定できる新設点数です。
- 点数:300点
- 対象:医師が複数名訪問の必要性を認めた、通院困難な在宅療養患者(行動面リスクや独居・重度認知症など、1人訪問では安全な指導が難しいケースを想定)
- 同行者:当該薬局または在宅協力薬局に勤務する職員(薬剤師・事務・看護職など)
- 必須事項:患者・家族の同意取得、訪問理由(複数名訪問の必要性)の記録
- 併算定制限:訪問薬剤管理医師同時指導料等との同日併算定不可
独居高齢者、重度認知症、精神症状を伴うケースなどで「1人では安全な訪問・指導が難しい」場面が現場にはあります。今回の新設で、そうした実態に点数が追いついた形です。
⑤ 在宅薬学総合体制加算の見直し(連動)
本体点数と同時に、施設加算である在宅薬学総合体制加算も再評価されました。
- 加算1:15点 → 30点へ増額
- 加算2:単一建物診療患者1人の場合100点、それ以外50点に整理
加算2は「単に件数が多い」では取りにくく、麻薬管理指導の実績、無菌製剤処理に係る体制、常勤換算薬剤師数といった重症対応力の実績で評価される設計に変わりました。詳細は在宅薬学総合体制加算の経過措置記事で整理しています。
改定前後の比較:何が新しく評価されるか
📊 在宅訪問の算定機会マップ(2026年6月)
🚪 通常訪問
650/320/290点
月4回(特例週2・月8)
中6日要件 → 廃止
👨⚕️ 医師同時訪問
150点(新設)
6月に1回
訪問医と同時実施が条件
👥 複数名訪問
300点(新設)
医師が必要性を判断
協力薬局職員も同行可
🚑 緊急訪問
1,000点
月4回(特例月8)
容態急変・医師の求め
※点数はいずれも本体のみ。麻薬管理指導加算100点・乳幼児加算100点等は別途算定可。
算定可能な主な加算(既存・継続)
本体点数に上乗せできる代表的な加算は以下です。2026年改定でも基本構造は維持されますが、関連加算の中には名称や取扱いが変わるものがあります。
- 麻薬管理指導加算:100点(麻薬の服薬管理・副作用モニタリングを実施)
- 乳幼児加算:100点(6歳未満)
- 在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料の取扱いは2026年改定で再編されており、新設の調剤時残薬調整加算・薬学的有害事象等防止加算と整理して理解する必要があります
6月施行に向けた準備チェックリスト
✅ 在宅対応・運用更新チェック(5/中旬までに着手)
- 初回訪問時の交付文書テンプレートを更新(自局+在宅協力薬局の夜間連絡先を明記)
- 在宅協力薬局との協定書・連絡フローを再確認
- 薬学的管理指導計画書の様式に「訪問頻度の根拠」記載欄を追加
- レセコン・電子薬歴で医師同時指導料・複数名訪問料の算定マスタを設定
- 同行職員の業務範囲・記録ルールを文書化
- 医師との同時訪問依頼ルート(FAX・トレーシングレポート等)を整備
- 麻薬・無菌製剤・重症症例の対応実績を集計し、加算2の届出可否を判断
よくある質問(Q&A)
Q1. 中6日要件の廃止は、すべての患者に適用されますか?
A. はい。原則として在宅患者訪問薬剤管理指導料の算定対象となる全患者に適用されます。ただし算定上限(月4回/特例月8回)は維持されるため、頻度設計は変わります。
Q2. 医師同時指導料は、医師の訪問診療料とどう違いますか?
A. 医師同時指導料は薬剤師側の点数です。算定の前提として、訪問診療を行う医師が主治医であり、在宅時医学総合管理料を算定中である必要があります。両者が同じ患家に同時刻に訪問し、薬学的管理・指導を行ったことが要件です。なお、特別調剤基本料Bを算定している薬局は算定対象外です。
Q3. 複数名訪問料は、薬剤師2人で訪問した場合のみ算定できますか?
A. 同行者は薬剤師に限定されません。当該薬局または在宅協力薬局の職員(事務職・看護職を含む)でも要件を満たせば算定対象です。ただし「医師が複数名訪問の必要性を認めた」記録が必須です。
Q4. 居宅療養管理指導費との関係は?
A. 要介護・要支援認定者は介護保険が優先されるため、原則として居宅療養管理指導費(介護保険)を算定します。医療保険の在宅患者訪問薬剤管理指導料は、介護保険対象外の患者に算定する点は変わりません。
まとめ:在宅対応をどう強化するか
2026年6月改定の在宅領域は、「点数を上げる」ではなく「在宅医療の実態に評価軸を合わせる」改定です。中6日廃止で頻回訪問が可能になり、医師同時指導と複数名訪問という新しい行動パターンに点数がつきました。
逆に言えば、夜間連絡体制の整備・記録の精緻化・協力薬局との連携を後回しにすると、本体点数も加算も取り切れません。算定マスタの設定、文書テンプレート改修、職員教育を5月中に終える計画で動きましょう。
在宅報酬全体の改定マップは2026年調剤報酬改定まとめ、地域支援体制加算など他点数への影響は地域支援体制加算チェックリスト、選定療養との関係は2026年選定療養の変更点で全体像を確認できます。
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