「フェブキソスタットとアロプリノール、なにが違うんですか?」「痛風発作のときに尿酸降下薬を始めてもいいですか?」――痛風・高尿酸血症の処方を受けた患者さんから、薬局でよく聞かれる質問です。
痛風・高尿酸血症の治療薬は、「尿酸生成抑制薬」と「尿酸排泄促進薬」の2系統+急性発作時の鎮痛・抗炎症薬に分かれます。さらに腎機能・心血管リスク・肝機能・併用薬で選択が変わるため、処方意図を読み解くには薬剤の整理が欠かせません。
本記事ではMindsで公開されている『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版(2022年追補版)』と、PMDA添付文書検索・JAPIC掲載情報を確認しながら、薬剤師目線で使い分けを整理します。
もくじ
結論:尿酸降下薬は「生成抑制 vs 排泄促進」「腎機能」「心血管リスク」で選ぶ
処方監査では、急性発作中かどうか、病型(尿酸産生過剰型/排泄低下型/混合型)、腎機能、心血管疾患の既往を順に確認します。これによって尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬のどちらが選ばれているか、どの薬剤に注意が必要かを読み解きやすくなります。
- 尿酸生成抑制薬は処方頻度が高い選択肢だが、病型・腎機能・併存疾患を確認して判断する
- 心血管疾患の既往あり:フェブキソスタットには心血管事象に関する注意喚起が添付文書に記載されており、代替薬の検討を含め慎重に判断する
- 腎機能低下例:アロプリノールは減量・投与間隔調整を検討、トピロキソスタットとドチヌラドはeGFR 30未満など重度腎機能障害の扱いに注意する
- 急性発作中は尿酸降下薬を新規開始しない。すでに服用中の場合は自己判断で中止せず、医師の指示どおり継続する
痛風・高尿酸血症治療薬の全体像(比較表)

| 系統 | 主な成分名 | 適応病型 | 処方時のポイント |
|---|---|---|---|
| 尿酸生成抑制薬(XOR阻害薬) | アロプリノール(ザイロリック®️) | 産生過剰型・混合型など | 腎機能に応じた減量・間隔調整を検討。重症皮疹に注意 |
| 尿酸生成抑制薬(選択的XO阻害薬) | フェブキソスタット(フェブリク®️) | 産生過剰型・混合型など | 心血管疾患を有する患者で心血管事象の注意記載あり |
| 尿酸生成抑制薬(選択的XO阻害薬) | トピロキソスタット(トピロリック®️/ウリアデック®️) | 産生過剰型・混合型など | 1日2回服用。重度腎障害(eGFR<30)の試験データなし |
| 尿酸排泄促進薬(URAT1阻害薬) | ベンズブロマロン(ユリノーム®️) | 排泄低下型 | 劇症肝炎の警告。投与開始6か月間は定期肝機能検査 |
| 尿酸排泄促進薬(選択的URAT1阻害薬) | ドチヌラド(ユリス®️) | 排泄低下型 | 0.5mgから漸増、維持2mg。尿路結石・eGFR 30未満に注意 |
| 急性発作治療薬 | NSAIDs/コルヒチン/経口ステロイド | 急性関節炎 | 患者背景で選択。発作中の尿酸降下薬新規開始は避ける |
※薬剤情報は2026年6月時点の情報をもとに整理しています。実際の処方判断は、最新の添付文書とガイドラインを必ずご確認ください。
制度・添付文書改訂をまとめて把握したい方へ
フェブキソスタットの心血管リスクに関する2024年9月の添付文書改訂のように、添付文書改訂やガイドライン更新は薬剤師に直結します。最新情報はm3.com(無料会員)で医療ニュースをまとめてチェックすると効率的です。
治療開始のタイミングと目標値
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版』では、治療開始の目安と目標値が以下のように整理されています。
| 患者背景 | 尿酸降下薬の導入 | 血清尿酸値の目標 |
|---|---|---|
| 痛風関節炎・痛風結節あり | 推奨 | 6.0 mg/dL以下を目標に管理 |
| 無症候性高尿酸血症で合併症あり (CKD・高血圧・心疾患など) |
尿酸値≥8.0 mg/dLで検討 | 6.0 mg/dL以下 |
| 無症候性高尿酸血症で合併症なし | 尿酸値≥9.0 mg/dLで検討 | 6.0 mg/dL以下 |
薬局では「6は治療目標、7は高尿酸血症、8または9は薬物治療を検討する目安」と整理すると実務で確認しやすくなります。ただし、実際の開始判断は痛風発作歴、痛風結節、腎機能、尿路結石、高血圧・心血管疾患などを含めて医師が総合的に行います。
急性痛風発作のときに使う薬
急性発作時の治療は、NSAIDs・コルヒチン・経口ステロイドのいずれかを患者背景で選びます。腎機能、消化性潰瘍歴、心不全、糖尿病、感染症、併用薬などを確認し、使いにくい薬を避ける視点が重要です。
| 選択肢 | 使い方の目安 | 避けたい背景 |
|---|---|---|
| NSAIDs:ナプロキセン(ナイキサン®️)、ロキソプロフェン(ロキソニン®️)等 | 発作初期に短期間、医師の指示どおり使用 | CKD、消化性潰瘍既往、心不全 |
| コルヒチン | 発作の前兆~発作初期に少量で開始 | 重度腎・肝障害、CYP3A4阻害薬・P糖蛋白阻害薬との併用 |
| 経口ステロイド(プレドニゾロン) | NSAIDsやコルヒチンが使いにくいとき | 血糖コントロール不良の糖尿病、活動性感染症 |
服薬指導で必ず伝えたい注意点として、「発作の最中に尿酸降下薬を新たに始めると発作が悪化・遷延しやすい」「すでに尿酸降下薬を継続中の場合は自己判断で中止しない」の2点があります。これは現場で誤解されやすいポイントです。
尿酸降下薬① 尿酸生成抑制薬
アロプリノール(ザイロリック®️)
- 用法用量:通常成人にはアロプリノールとして1日200~300mgを2~3回に分けて食後経口投与。年齢・症状で適宜増減
- 腎機能による調整:添付文書では腎機能障害患者で投与量の減量や投与間隔の延長を考慮するとされています。主代謝物オキシプリノールは主に腎から排泄されるため、直近のeGFR・Creを確認します
- 注意したい副作用:スティーブンス・ジョンソン症候群を含む重症皮疹(HLA-B*5801と関連)、再生不良性貧血など。アザチオプリンや6-MPと併用時は重大な相互作用
フェブキソスタット(フェブリク®️)
- 用法用量:通常成人には10mgで開始、2週以降に20mg、6週以降に40mgへ増量。維持量40mg、最大60mg
- 心血管リスク:2024年9月の添付文書改訂で、海外臨床試験(CARES試験)の結果をふまえ「心血管疾患を有する成人の痛風患者で心血管死の発現割合がアロプリノール群より高かった」旨が記載。心血管疾患を有する患者には、適応の有無・代替薬の検討を含めて慎重に判断
- 使いどころ:1日1回投与の薬剤です。一方で、重度腎機能障害や肝機能障害では臨床試験データの限界があり、心血管疾患の既往にも注意します
トピロキソスタット(トピロリック®️/ウリアデック®️)
- 用法用量:通常成人にはトピロキソスタットとして1回20mgを1日2回朝夕食後から開始。維持量は1回60mgを1日2回、最大1回80mgを1日2回
- 腎機能:重度の腎機能障害(eGFR<30 mL/min/1.73㎡)の患者を対象とした臨床試験は実施されていない
- 使いどころ:1日2回服用で患者の生活リズムに合うか確認が必要。重度腎機能障害(eGFR<30)の有効性・安全性データが限られるため、腎機能を確認します
尿酸降下薬② 尿酸排泄促進薬
ベンズブロマロン(ユリノーム®️)
- 位置づけ:尿酸排泄低下型に対する尿酸排泄促進薬。血中尿酸低下作用が強く出ることがあるため、発作誘発と肝障害の確認が重要
- 劇症肝炎などの重篤な肝障害に関する警告:添付文書では、劇症肝炎を含む重篤な肝障害が主に投与開始6か月以内に発現することから、少なくとも投与開始6か月間は必ず定期的な肝機能検査を実施することが明記されています
- 服薬指導:食欲不振、全身倦怠感、黄疸などの症状があらわれた場合はすぐに受診するよう説明します。尿路結石予防のため尿アルカリ化薬(クエン酸カリウム・クエン酸ナトリウム配合剤など)の併用と十分な水分摂取の確認も重要です
ドチヌラド(ユリス®️)
- 用法用量:通常成人にはドチヌラドとして1日1回0.5mgから開始、2週以降に1日1回1mg、6週以降に1日1回2mgへ漸増。維持量2mg、最大4mg
- 特徴:URAT1選択性が高く設計された比較的新しい尿酸排泄促進薬。添付文書では、他の尿酸排泄促進薬で重篤な肝障害が報告されていることから、定期的な肝機能検査などの観察が求められています
- 使いどころ:尿酸排泄低下型で検討される選択肢。漸増スケジュールが決まっているため、服薬指導で「2週・6週で増量する予定」を伝えると患者の理解が深まります
病型別・腎機能別の選び方フロー
実臨床では、病型と腎機能・併存疾患で選択肢が決まることが多くなります。以下は処方意図を読み解くときに薬剤師が見る整理軸の一例です。
- 産生過剰型・混合型:尿酸生成抑制薬(アロプリノール/フェブキソスタット/トピロキソスタット)が中心
- 排泄低下型:尿酸排泄促進薬(ドチヌラド/ベンズブロマロン)も選択肢。ただし尿路結石既往・高度腎障害では添付文書上の注意を必ず確認する
- CKD合併:アロプリノールは腎機能に応じた減量・間隔調整を考慮。トピロキソスタットとドチヌラドはeGFR<30の扱いに注意。フェブキソスタットも重度腎機能障害ではデータの限界を確認
- 心血管疾患の既往:フェブキソスタットの心血管リスク記載に留意。薬剤選択の背景を処方医の意図も含めて確認する
- 急性発作中:尿酸降下薬は新規開始しない。すでに服用中なら自己判断で中止せず、医師の指示どおり継続する
添付文書改訂を追う習慣づけに
痛風治療薬は用法用量だけでなく、心血管リスク、肝機能検査、併用薬の注意が更新されることがあります。PMDAで一次情報を確認しつつ、日々の医療ニュースはm3.comのような医療者向け情報源も併用すると見落としを減らせます。
処方監査でつまずきやすいポイント
腎機能と用量の整合、急性発作中の尿酸降下薬新規開始、フェブキソスタットの心血管リスク確認、ベンズブロマロンの定期肝機能検査。腎排泄型薬剤の整理は腎排泄型薬剤の用量調節マニュアルもあわせて確認してください。
処方監査・服薬指導チェックポイント
| 確認項目 | 薬剤師の声かけ例 |
|---|---|
| 腎機能(直近のCre・eGFR) | 「血液検査で腎臓の数値を見られていますか?」 |
| 急性発作の有無 | 「足の親指などに強い痛みや腫れはありませんか?」 |
| 服薬の継続性 | 「医師から中止指示がなければ、自己判断で止めずに続けてください」 |
| 水分摂取・尿路結石歴 | 「結石を指摘されたことはありますか?水分制限がなければ、こまめな水分摂取も大切です」 |
| 併用薬(アザチオプリン・ワルファリン・CYP3A4阻害薬等) | 「他の医療機関で出ているお薬を一緒に確認させてください」 |
| 皮疹・倦怠感など副作用初期症状 | 「発疹や強いだるさが出たら、すぐ受診を」 |
FAQ
Q. 痛風発作中に尿酸降下薬を始めてもいいですか?
急性発作中に尿酸降下薬を新規開始すると、発作が悪化または遷延化する可能性があるため、原則として発作が落ち着いてから開始します。一方で、すでに尿酸降下薬を服用している場合は、自己判断で中止せず医師の指示どおり継続するのが基本です。
Q. フェブキソスタットは心血管リスクの注意があるのですか?
2024年9月の添付文書改訂で、心血管疾患を有する成人痛風患者を対象とした海外臨床試験(CARES試験)の結果をふまえ、心血管事象に関する注意喚起が追加されました。心血管疾患を有する患者では適応の有無・代替薬の検討を含めて慎重に判断します。患者さんには「以前の研究で心臓の病気のある方は注意が必要とされています」と伝え、自己判断で中止しないよう説明します。
Q. ベンズブロマロンを始めるとき、薬局でどう伝えますか?
劇症肝炎の警告があり、添付文書では投与開始から少なくとも6か月間の定期的な肝機能検査が指示されています。患者さんには「定期的に血液検査が必要なこと」「食欲不振・強い倦怠感・黄疸が出たらすぐ受診すること」を必ず伝えます。
Q. ドチヌラドはなぜ漸増するのですか?
尿酸降下療法の初期に尿酸値が急激に下がると、急性痛風関節炎を誘発しやすいためです。添付文書では0.5mgで開始し、2週以降に1mg、6週以降に2mgと段階的に増量するスケジュールが明記されています。患者さんには増量予定をあらかじめ伝えておくと、用量変更時の不安が減ります。
Q. アロプリノールとフェブキソスタットは併用しますか?
同じ尿酸生成抑制薬(XOR阻害/XO阻害)であり、通常は併用しません。切り替えや増量の余地がある場合は、処方医に確認します。
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まとめ
- 尿酸降下薬は「生成抑制(アロプリノール/フェブキソスタット/トピロキソスタット)」と「排泄促進(ベンズブロマロン/ドチヌラド)」の2系統
- 選択の基本軸は病型・腎機能・心血管リスク・肝機能・併用薬
- 急性発作中はNSAIDs/コルヒチン/ステロイドで対応、尿酸降下薬は新規開始しない
- 目標値は6.0 mg/dL以下が基本
- 処方監査では、腎機能・併用薬・発作の有無・肝機能フォローを確認
薬剤師として処方意図を読み解き、患者さんが安心して長期治療を続けられるよう支援していきましょう。
参考文献
- Mindsガイドラインライブラリ:高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版[2022年追補版]
- PMDA 医療用医薬品 情報検索
- JAPIC/KEGG 添付文書情報:アロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタット、ベンズブロマロン、ドチヌラド
※本記事は2026年6月時点で確認可能な公開情報をもとに整理しています。実際の処方判断は最新の添付文書とガイドラインに従い、必要に応じて処方医と連携してください。

