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ポリファーマシー一次情報の更新ログ|厚労省指針と2025年版ガイドラインを6項目で確認

ポリファーマシー一次情報更新ログを確認する薬剤師

ポリファーマシーの資料を読み返したとき、「この表は2018年の指針か、2025年版ガイドラインの内容か」と迷うことがあります。

2026年度は、この区別がとくに大切です。厚生労働省は、2018年の総論編と2019年の各論編に、2025年版ガイドラインや電子処方箋、マイナ保険証などの医療環境を反映する改訂方針案を示しています。ただし、2026年8月14日時点で示されているのは改訂の方向性であり、改訂版が公表済みという意味ではありません。

薬局内で共有する資料には、文書名だけでなく、発行日、位置付け、確認日を残します。 これにより、古い資料を誤って最新版として扱うことを避けやすくなります。

ポリファーマシーの定義や処方見直しの全体像を先に確認したい場合は、ポリファーマシー対応完全ガイドを参照してください。本稿は、知識の解説ではなく、一次情報を更新し続ける記録の作り方に絞ります。

ポリファーマシー一次情報を患者対応へつなぐ5資料の確認順
現行指針、2025年版ガイドライン、改訂方針案、PMDA情報を分けて患者情報へつなぐ確認順

2026年度は厚労省指針の改訂方針が示されている

厚生労働省の「高齢者の医薬品適正使用の指針」は、総論編が2018年5月、各論編(療養環境別)が2019年6月に取りまとめられました。

第21回高齢者医薬品適正使用検討会では、2025年版「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」の内容に加え、電子処方箋やマイナ保険証などの医療環境を踏まえ、2026年度に両指針を改訂する方向性案が示されています。

2026年8月14日時点の区別

  • 現行の厚労省指針:総論編2018年、各論編2019年
  • 臨床ガイドライン:日本老年医学会2025年版
  • 厚労省指針の改訂:2026年度の取組方向性案

したがって、記事や薬局内資料へ「2026年版厚労省指針」と書くことはできません。改訂版の公表を確認するまでは、現行版と改訂方針案を分けて記録します。

5つの資料は役割と日付を分けて読む

ポリファーマシー対応では、同じテーマを扱う資料でも役割が異なります。患者単位の判断へ進む前に、資料が何を決める文書なのかを確認します。

資料 確認する内容 実務での使い方
厚労省指針 総論編(2018年) 定義、処方見直しの基本、患者背景、薬物有害事象 薬剤数だけで判定しない共通原則を確認
厚労省指針 各論編(2019年) 外来、在宅、入院、介護施設など療養環境ごとの留意点 移行時の情報共有と患者、家族への説明を確認
高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2025 疾患領域別のCQ、薬物リスト、薬剤師の役割、日本版抗コリン薬リスクスケール 個別薬剤を検討する入口にする
第21回検討会資料(2025年12月) 2026年度の指針改訂方針案 未確定事項として更新待ちに置く
PMDAの電子添文、RMPなど 個別製品の禁忌、注意事項、相互作用、最新改訂 対象患者と対象製品に即して最終確認

2025年版ガイドラインでは、「特に慎重な投与を要する薬物」の系統が29から28へ、「開始を考慮するべき薬物」の系統が8から9へ更新されました。日本版抗コリン薬リスクスケールも追加されています。

一方、薬物リストへ該当するだけで一律に中止するわけではありません。厚労省の総論編は、患者の病態、認知機能、日常生活動作、栄養状態、生活環境、服用薬全体などを評価し、機械的な減薬を避けるよう示しています。

一次情報更新ログの6項目

更新ログは、読んだ資料の要約ではありません。次回の確認者が、どの事実をどこまで実務へ反映したか追える記録にします。

  1. 確認日:資料を開いた日を西暦で記録する
  2. 資料名と発行元:厚労省、日本老年医学会、PMDAなどを分ける
  3. 発行日と位置付け:現行版、改訂案、検討会資料、電子添文などを明記する
  4. 変わった点:以前の記録との差分だけを書く
  5. 実務への影響:処方監査、患者説明、医師への情報提供、薬局内手順のどこに関係するかを書く
  6. 次回確認日:改訂待ち、添文更新待ち、院内手順の見直し日を置く

薬局内で使える記入例

確認日:2026年8月14日
資料:第21回高齢者医薬品適正使用検討会 資料2
位置付け:2026年度の取組方向性案
差分:2025年版ガイドラインと医療DXを踏まえた指針改訂が検討対象
実務への影響:現時点の患者説明や処方提案は現行指針と個別の電子添文を基準にする
次回確認:厚労省の検討会ページで改訂版公表を確認

医療ニュースの入口を一つにまとめたい場合は、m3.comを薬剤師が使う際の確認ポイントも参考になります。ただし、通知やニュースを見つけた後は、厚労省、PMDA、学会の原文へ戻って確認します。

症例で使う前に確認する順序

患者の処方へ当てはめるときは、資料の新しさだけでなく、患者情報を先にそろえます。

  1. 処方目的と開始時期、前回からの変更を確認する
  2. 他院処方、一般用医薬品、サプリメントを含む服用薬全体を確認する
  3. 症状、服薬状況、腎機能、認知機能、生活環境、本人の希望を確認する
  4. 現行の厚労省指針と2025年版ガイドラインで論点を整理する
  5. 個別製品の電子添文と必要な関連資料を確認する
  6. 処方医へ伝える内容と、変更後に観察する項目を記録する

この順序は、薬剤数を減らすこと自体を目的にしません。適応、効果、有害事象、服薬管理、患者の意向を確認し、薬物療法全体を適正化するための順序です。

処方提案の情報を患者単位で整理するときは、服用薬剤調整支援料2の準備シートへつなげてください。制度の算定要件と臨床判断は同じものではないため、記録欄を分けて扱います。

薬局内で共有するときの注意点

朝礼や勉強会では、「何が変わったか」と「何をまだ変えないか」を一緒に伝えます。

  • 改訂方針案を、確定した改訂版として共有しない
  • 海外のSTOPP/STARTやBeers Criteriaを、日本の承認内容や患者背景を確認せず適用しない
  • PIMへの該当を、自動的な中止指示へ置き換えない
  • 患者へ自己判断での中止を勧めない
  • 資料を更新した人だけでなく、次に確認する担当者と日付を残す

更新ログを継続すると、情報収集、処方監査、多職種への説明を一つの記録で振り返れます。これは転職を促す材料ではありませんが、日々の業務を棚卸しするときには、どの制度資料を読み、どの患者情報を集め、どう連携したかを具体的に示せます。

よくある質問

6剤以上ならポリファーマシーですか

6剤以上という数だけでは決まりません。厚労省の総論編は、ポリファーマシーを単に薬剤数が多い状態ではなく、薬物有害事象、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下などの問題につながる状態と説明しています。

2026年の厚労省指針改訂は完了していますか

2026年8月14日時点で確認できるのは、2026年度に改訂を実施する方向性案です。改訂版の公表を確認するまでは、2018年の総論編と2019年の各論編を現行資料として扱います。

STOPP/STARTやBeers Criteriaを日本の処方へそのまま使えますか

そのまま使うことはできません。海外の医療制度、承認薬、用法用量を前提とするため、日本のガイドライン、電子添文、患者背景と照合して補助的に使います。

患者が減薬を希望したら薬剤師だけで中止を決められますか

薬剤師だけで処方薬の中止を決めることはできません。症状、服用状況、本人の希望、処方目的などを整理し、処方医と共有して、変更後の観察項目まで確認します。

参考資料

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