令和8年度改定の在宅関連は、点数だけ見ると分かりにくいのですが、実際にはかなり実務寄りの見直しです。個人宅をどれだけ支えているか、在宅協力薬局とどう連携するか、夜間の連絡体制をどう取るか、同時訪問や複数名訪問をどう扱うかまで整理されています。
今回の改定は、在宅を件数で評価するだけでなく、「重い患者さんを切れ目なく支えられるか」をより具体的に見る方向へ進んだと考えると分かりやすいです。
この記事は、2026年4月10日時点の厚生労働省資料をもとに、在宅薬学総合体制加算と訪問薬剤管理指導の変更点を少し詳しく整理したものです。
もくじ
まず結論
令和8年度改定では、在宅薬学総合体制加算1は15点から30点へ、在宅薬学総合体制加算2は単一建物診療患者・居住者が1人の場合100点、それ以外50点へ整理されました。加算2では、無菌製剤処理設備の有無だけでなく、単一建物1人への訪問回数、麻薬調剤、無菌製剤処理、常勤換算薬剤師数などが見られます。あわせて、在宅患者訪問薬剤管理指導料は中6日以上要件が廃止され週1回算定可能となり、医師との同時訪問や複数名訪問も新設されました。

| 項目 | 改定内容 | 実務で見たい点 |
|---|---|---|
| 在宅薬学総合体制加算1 | 15点→30点 | 基本的な在宅体制を評価 |
| 在宅薬学総合体制加算2 | 単一建物1人 100点 / それ以外 50点 | 個人宅対応の評価を強化 |
| 加算2の要件 | 訪問回数、麻薬調剤、無菌製剤処理、薬剤師数など | 高度在宅対応の実績を確認 |
| 訪問薬剤管理 | 中6日以上要件廃止、週1回算定可能 | スケジュールと記録を見直す |
| 同時訪問 | 訪問薬剤管理医師同時指導料 150点 | 医師と同時訪問した場面の整理 |
| 複数名訪問 | 複数名薬剤管理指導訪問料 300点 | 医師が必要と認めた患者で活用 |
在宅薬学総合体制加算1と2の違い
個別改定項目では、加算1について直近1年間の在宅系算定回数が計24回以上であることなどが示されています。これに対し、加算2では、単一建物1人の場合の訪問を重視した回数要件が設定され、240回以上かつ単一建物1人割合20%超、または480回以上かつ単一建物1人割合10%超といった考え方が示されています。
また、在宅協力薬局として連携した回数は、同一グループ薬局を除いて算定回数に含めることができます。単独で全部を抱え込むより、連携して地域在宅を支える考え方が織り込まれています。
加算2で見られる実績は?
加算2では、単に在宅件数が多いだけでは足りません。個別改定項目では、麻薬管理指導加算や在宅患者医療用麻薬持続注射療法加算、無菌製剤処理などの実績、さらに常勤換算薬剤師数の基準が追加される方向が示されています。
別の整理では、医療用麻薬について注射剤1品目以上を含む6品目以上を備蓄し、必要な交付・指導ができること、無菌室・クリーンベンチ・安全キャビネットを備えていることなども挙げられています。つまり、加算2は「重い在宅」に対応できる体制を見る加算です。
訪問薬剤管理指導はどう変わる?
ここも実務影響が大きいです。厚労省資料では、在宅患者訪問薬剤管理指導料について、算定する日の間隔を6日以上とする要件を廃止し、週1回算定可能としています。また、休日・夜間を含む開局時間外の調剤・訪問薬剤管理指導に対応できるよう、在宅協力薬局の情報を含めた夜間の連絡先を患者さんに知らせることも要件とされます。
これにより、単に訪問回数を増やすというより、夜間や緊急時まで含めた在宅運用フローの見直しが必要になります。
医師同時訪問と複数名訪問の新設
訪問薬剤管理医師同時指導料は、在宅患者訪問薬剤管理指導等を行っている保険薬剤師が、訪問診療を実施している保険医と同時に訪問し、薬学的管理・指導を行った場合に、6月に1回、150点で算定します。同日に在宅患者緊急時等共同指導料や在宅移行初期管理料を算定する場合は併算定できません。
複数名薬剤管理指導訪問料は、通院が困難で、医師が複数名訪問の必要性があると認める患者が対象です。当該薬局又は在宅協力薬局に勤務する職員とともに複数名で訪問し、必要な薬学的管理・指導を行った場合に、300点で算定します。こちらも、医師同時指導料等と同日併算定はできません。
今回の在宅改定では、「個人宅」「医師連携」「複数名対応」「夜間対応」という重い場面がはっきり評価されるようになりました。
薬局で先に整理したいこと
- 単一建物1人の訪問回数と割合を把握する
- 在宅協力薬局との連携回数を記録できるようにする
- 麻薬・無菌製剤の対応体制と実績を確認する
- 夜間連絡先を患者へどう案内するかを整える
- かかりつけ薬剤師評価見直しと合わせて、在宅患者への継続支援を整理する
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まとめ
令和8年度の在宅関連改定では、個人宅への対応、重症患者対応、多職種連携、夜間対応まで含めて、より実務に沿った評価へ変わりました。点数の増減だけでなく、「どんな在宅患者をどう支える薬局か」を示せる体制づくりが重要になります。
在宅を強めたい薬局では、件数だけでなく、単一建物1人、麻薬、無菌、夜間、連携の5つをセットで見直すと動きやすいです。



