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病院薬剤師と薬局薬剤師の比較シート|2026年改定後の業務・実績・年収を10項目で確認

病院薬剤師と薬局薬剤師を2026年度改定後の10項目で比較する記事のアイキャッチ

「病院はきつくて給料が安い、薬局のほうが稼げる」。

薬剤師の世界で長く言われてきたことですが、2026年度改定と直近公表された2024年度の統計・給与集計を並べると、そのままでは当てはまりません。

制度も、人の分布も、給与の実態も、この数年で動いています。

この記事の結論

病院と薬局は「どちらが上か」ではなく、診療報酬上の評価単位と確認する実績が違います。2026年度改定で、病院は病棟への薬剤師配置と施設実績が、薬局はかかりつけ薬剤師による服薬管理やフォローアップの実績が、それぞれ評価されました。この記事の10項目シートを、応募前・面接・内定前の3段階で使ってください。

2026年度改定で、病院と薬局の評価軸が同時に動きました

まず、制度の話から始めます。求人票より先に、こちらを押さえたほうが判断が早くなります。

病院:病棟薬剤業務実施加算1(週1回)300点が新設されました

2026年度(令和8年度)診療報酬改定では、病棟薬剤業務実施加算が3区分に再編されました。

従来の加算1(週1回120点)の上に、新たに加算1(週1回)300点が置かれ、従来の区分はそれぞれ加算2(週1回120点)、加算3(1日につき100点)へ繰り下がっています。

加算1の施設基準には、病棟ごとの専任薬剤師の配置、薬剤管理指導料の届出に加えて、薬剤総合評価調整業務と退院時薬剤情報管理指導について十分な実績を有することが入りました。

厚生労働省の改定説明資料では、その実績の水準として、薬剤総合評価調整加算の算定回数が直近3か月で10回、退院時薬剤情報管理指導料の算定割合が直近3か月の退院患者の4割以上、という数字が示されています。

また施設基準の通知では、病棟専任の薬剤師による病棟薬剤業務が、直近1か月の実施時間で1週間につき20時間相当に満たない病棟があってはならないとされています。

この点数は、病棟への薬剤師配置と介入実績を診療報酬上で評価するものです。実際の配置人数や採用方針は病院ごとに異なるため、点数だけで人員が増えるとは判断できません。

薬局:かかりつけ薬剤師の評価が、包括から実績へ切り替わりました

同じ改定で、薬局側はかかりつけ薬剤師指導料とかかりつけ薬剤師包括管理料が廃止されました。

代わりに、服薬管理指導料の区分が「イ かかりつけ薬剤師が行った場合」と「ロ イ以外の場合」に分かれ、さらに、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算50点(3月に1回)と、かかりつけ薬剤師訪問加算230点(6月に1回)が新設されています。

体制の届出だけで包括的に評価する形から、その薬剤師が実際に何をしたかを見る形へ移りました。

算定要件の詳細は、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算50点・訪問加算230点の算定実務に整理しています。

2つの改定を、求人の見方へ読み替える

2026年度改定 → 求人票の読み替え

■ 病院

病棟薬剤業務実施加算1(週1回)300点を新設

届出区分と病棟業務の時間・実績が確認点。
面接で聞くのは「加算のどの区分を届け出ているか」「1病棟あたり週20時間相当を誰がどう分けているか」。

■ 薬局

かかりつけ薬剤師指導料を廃止し、実績評価へ再編

個人の対人業務が点数に直結する。
面接で聞くのは「かかりつけ薬剤師の届出人数」「フォローアップ加算の運用が回っているか」。

どちらも「体制がある」の一言では判断できません。届出と実績の数字を聞いてください。

人の分布と平均年齢を、統計で先に見ておく

次に、母集団を確認します。厚生労働省の令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計(2024年12月31日現在)が一次情報です。

従事先 薬剤師数 構成割合 平均年齢
薬局の従事者 197,437人 60.0% 46.8歳
病院の従事者 57,595人 17.5% 42.5歳
診療所の従事者 5,695人 1.7% 58.4歳
医薬品関係企業の従事者 34,184人 10.4% 49.1歳
総数 329,045人 100.0% 46.9歳

読み取れることは2つあります。

1つ目は、従事者の分布が違うことです。届出薬剤師の6割が薬局、病院は2割弱です。ただし、従事者の構成割合だけでは現在の求人件数や採用難易度は判断できません。応募時は地域と時期をそろえ、実際の求人票で確認してください。

2つ目は、年齢構成が違うことです。病院は29歳以下が16.7%、30〜39歳が32.6%で、両方を合わせるとほぼ半数になります。一方で60歳以上は10.9%にとどまります。薬局は60歳以上が19.6%です。

これは「病院は若いうちだけの職場」という意味ではありません。年齢構成は全国集計であり、個々の職場の採用条件を示すものでもありません。年齢だけで判断せず、募集背景と任される役割を確認してください。

給与は「病院が安い」と言い切れる状況ではありません

給与については、転職サイトの平均値ではなく、厚生労働省の第25回医療経済実態調査(令和7年実施)の令和6年度の数字を見ます。

ここでの「平均給料計」は、資料の注記のとおり、平均給料の年(度)額と賞与の合計です。

区分 平均給料計 中央値 回答施設数
一般病院(全体)の薬剤師 5,811,246円 5,800,004円 618
一般病院(医療法人)の薬剤師 5,395,961円 5,478,997円 329
保険薬局(法人)の薬剤師 4,802,997円 4,926,026円 666
保険薬局(法人)の管理薬剤師 7,261,788円 6,680,625円 854

この調査は施設単位の集計で、年齢、勤続年数、勤務地、所定労働時間はそろえられていません。

したがって、この数字を自分の提示年収の根拠として使うことはできません。

それでも、押さえておきたい傾向は読み取れます。

  • 一般病院(全体)の薬剤師と保険薬局の薬剤師を比べると、病院のほうが高い集計結果になっています。ただし一般病院(全体)には国公立や公的病院が含まれ、医療法人だけで見ると差は縮まります。
  • 一方で、保険薬局の管理薬剤師は他の区分より高い集計結果です。ただし、これは役職別の施設集計です。昇格による個人の増額幅は、勤務先の賃金規程と手当で確認してください。
  • 病院の平均年齢は42.5歳、薬局は46.8歳です。年齢が若い側の平均が高く出ている点は、単純な優劣として読まないほうが安全です。

自分の場合にいくらになるかは、求人票と労働条件通知書を並べて確認します。手順は薬剤師の年収比較シートにまとめています。

求人を探し始める前に

公開求人だけでは、当直回数や病棟業務の配分まで比較できないことがあります。先に希望条件を10項目で決め、そのうえで複数の職業紹介事業者から同じ欄を埋められる情報をもらう順番で進めてください。

病院求人を扱う薬キャリAGENT、派遣と正社員を並べて条件を比べられるファルマスタッフなどが候補になります。取り扱い求人は時期と地域で変わるため、各社の特徴は薬剤師向け転職エージェント15選の比較記事で確認したうえで、実際の求人数はご自身で照会してください。

サービス名より、確認できた事実と書面の一致を判断材料にしてください。

病院と薬局を比べる10項目

ここからが本題のシートです。左右を見比べて、自分がどちらの条件で働きたいかを決めます。

項目 病院 薬局 確認する資料
1. 主な業務 病棟業務、持参薬鑑別、注射調製、DI、チーム医療 調剤、監査、服薬指導、在宅訪問、OTC相談 求人票、業務分担表
2. 患者との関わり 入院期間中の短期集中。急性期の変化を追える 来局のたびに長期継続。生活背景を追える 平均在院日数、処方箋応需状況
3. 評価がひもづく先 病棟への配置と病院全体の実績 個々のかかりつけ薬剤師と薬局の体制 施設基準の届出状況
4. 夜間・休日の担当 当直、日直、オンコールの有無と回数 在宅のオンコール、開局時間、当番薬局 勤務表の実績、規程
5. 給与の上がり方 俸給表と定期昇給による職場がある 管理薬剤師は一般薬剤師と別区分。昇給・手当は規程で確認 賃金規程、モデル年収
6. 従事者の分布 届出薬剤師の17.5% 同60.0% 薬剤師統計。求人件数は別途確認
7. 研修と学会 院内研修、症例検討、学会発表の機会 研修認定、地域活動、認定薬剤師制度 年間研修計画、費用負担の規程
8. 年齢構成 平均42.5歳。30代までで約半数 平均46.8歳。60歳以上が約2割 同上、見学時の在籍状況
9. 経験の持ち運び 経験年数の評価は施設ごとの給与規程による かかりつけ薬剤師要件では病院経験は1年を上限に算入 給与規程、施設基準通知
10. 労働条件 就業場所と業務の変更範囲、当直手当 転居転勤の範囲、固定残業代、店舗異動 労働条件通知書

このシートは病院と薬局に優劣をつけるものではありません。自分が積みたい経験と、続けられる生活条件が合うかを確認するために使います。

求人票と労働条件通知書のどこを突き合わせるかは、薬剤師の求人票・労働条件通知書の差分確認シートで確認してください。

方向別に、先に知っておくとよいこと

同じ「業態を変える転職」でも、向きによってつまずく場所が違います。

病院から薬局へ移る場合

かかりつけ薬剤師として服薬管理指導料の「イ かかりつけ薬剤師が行った場合」を算定するには、施設基準の通知で、届出時点で保険薬剤師として3年以上の保険薬局勤務経験があることが求められます。

このとき、保険医療機関の薬剤師としての勤務経験は1年を上限として算入できるにとどまります。

病院で10年働いていても、この施設基準の経験年数へ算入できるのは1年までです。届出時点で合計3年以上が必要なため、病院勤務だけで要件を満たすわけではありません。

ほかに、当該薬局に週31時間以上勤務していること(育児休業や介護休業等による短縮時は週24時間以上かつ週4日以上)、届出時点で継続して6か月以上在籍していること、薬剤師認定制度認証機構が認証する研修認定を取得していること、地域活動に参画していることが要件です。

つまり、薬局へ移ってすぐにかかりつけ薬剤師として算定できるわけではありません。時短勤務を希望する場合は、週の勤務時間の要件も合わせて確認してください。

薬局から病院へ移る場合

見るべきは、その病院が病棟薬剤業務実施加算をどの区分で届け出ているかです。

加算1と加算2では、病棟専任の薬剤師による病棟薬剤業務について、1週間につき20時間相当という水準が施設基準の通知で示されています。加算1では、これに加えて薬剤総合評価調整と退院時薬剤情報管理指導の実績も求められます。

この届出がある病棟では、病棟薬剤業務の実施時間を確保する体制が求められます。ただし、入職後に自分が病棟を担当できるとは限りません。調剤室の業務を誰が担い、病棟担当へ移るまでにどのような条件があるかも確認してください。

面接では「病棟へ出られますか」ではなく、「1病棟あたりの病棟薬剤業務の時間を、何人でどう分けていますか」と聞くほうが実態が見えます。

当直や日直の有無、回数、手当は、規程と直近の勤務表で確認してください。

移る前に進める4ステップ

1

今の職場で埋まっている欄を数える

10項目のうち、今の職場で埋まる欄と埋まらない欄を先に書き出します。

2

動かせない条件を2つに絞る

当直の可否、通勤時間、年収の下限など、譲れない条件を2つだけ決めます。条件を増やすほど、候補は少なくなります。

3

届出と実績の数字を聞く

病院なら病棟薬剤業務実施加算の区分、薬局ならかかりつけ薬剤師の届出人数。「体制はあります」で止めないことが大切です。

4

内定前に書面で照合する

求人票の記載と労働条件通知書を並べ、就業場所と業務の変更範囲、手当の内訳が一致しているかを確認します。

役職を目指す方向で年収を動かしたい場合は、管理薬剤師になる前のチェック表も合わせて見てください。病院に残って年収を上げる選択肢は、病院薬剤師の年収を上げる7つの現実的な方法に整理しています。

よくある質問

病院と薬局、どちらが将来性がありますか?

どちらが有利かを一般論で決めることはできません。

2026年度改定では、病院は病棟への薬剤師配置が、薬局は個々の対人業務の実績が、それぞれ評価されました。方向は違いますが、どちらも「人が何をしたか」を見る流れです。

病院薬剤師の経験は、薬局では評価されないのでしょうか?

実務での評価と、制度上の年数の扱いは別の話です。

持参薬鑑別や腎機能に応じた用量確認などの経験は、薬局の処方監査でも生かしやすい領域です。注射薬業務も、診療経過や検査値を読む経験として応用できる場面があります。制度上、かかりつけ薬剤師の要件で1年を上限に算入されることと、実務経験の評価は分けて考えてください。

40代から病院へ移るのは難しいですか?

統計上、病院の薬剤師は30代までで約半数を占め、平均年齢は42.5歳です。

年齢だけで応募できないわけではありませんが、募集の背景(増員か欠員補充か)と、任される役割を面接で確認してください。

年収は必ず下がりますか?

下がるとも上がるとも言えません。

医療経済実態調査の集計では、一般病院の薬剤師と保険薬局の一般薬剤師を比べると病院のほうが高く、保険薬局の管理薬剤師は他より高く出ています。個人の提示額は、基本給、賞与、固定残業代、当直手当、地域手当の組み合わせで決まります。総額だけで比べないでください。

見学では何を見ればよいですか?

人数と時間の使われ方です。

病院なら、何人の薬剤師が何病棟を担当し、1日のうちどれだけ病棟にいるか。薬局なら、1日の処方箋枚数に対して何人で回し、在宅と外来をどう分けているか。設備よりも、時間の配分が働き方を決めます。

まとめ

病院と薬局の違いは、忙しさや年収の平均値では説明しきれません。

2026年度改定によって、病院は病棟への配置が、薬局は個々のかかりつけ薬剤師の実績が、それぞれ点数と結びつきました。

求人票に書かれた「病棟業務あり」「かかりつけ薬剤師取得支援」の一行は、その裏側にある届出と実績を聞いて初めて意味が分かります。

10項目を事実と書面で埋め、自分が積みたい経験と続けられる生活条件の両方がそろう職場かを判断してください。

参考資料

  1. 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定説明資料等について
  2. 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要(医薬品の適正使用)
  3. 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要(調剤)
  4. 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について(告示・通知)」(基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて/保医発0305第7号、2026年7月30日訂正後)
  5. 厚生労働省「令和6(2024)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況
  6. 厚生労働省「第25回医療経済実態調査の概要(令和7年11月26日版)
  7. 厚生労働省「募集時等に明示すべき労働条件の追加

本記事は2026年8月26日に確認した情報をもとに作成しています。点数や施設基準は、厚生労働省の告示、通知、疑義解釈と所属先の運用を確認してください。給与の集計値は施設単位の調査結果であり、個人の年収を保証するものではありません。個別の労働条件は求人票だけで決めず、労働条件通知書などの書面で確認してください。

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