「6月1日まであと10日ちょっと…本当に間に合うのか?」
2026年度調剤報酬改定の施行日は2026年6月1日(令和8年6月1日)。届出の締め切りは当日必着です。施設基準の届出漏れ、レセコンのマスタ未更新、掲示物の差し替え忘れ——どれか一つでも抜けると算定漏れ・過誤請求につながります。
この記事では、6月1日に向けて薬局が確認すべき準備項目を①届出・②レセコン・③掲示物・④患者説明・⑤スタッフ研修の5カテゴリに分けてチェックリスト形式でまとめました。印刷して担当者に配布できるよう、シンプルに設計しています。
もくじ
6月1日から「何が変わるか」30秒で把握する
準備を始める前に、改定の全体像を整理しましょう。今回の改定で薬局に影響する変更は大きく「廃止」「新設」「点数・名称変更」の3種類です。
| ⛔ 廃止(6月1日以降算定不可) | ✅ 新設(6月1日から算定可) | 🔄 名称・点数変更 |
|---|---|---|
| かかりつけ薬剤師指導料 後発医薬品使用体制加算 重複投薬・相互作用等防止加算 医療DX推進体制整備加算 かかりつけ薬剤師包括管理料 |
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点・3月に1回) かかりつけ薬剤師訪問加算(230点・6月に1回) バイオ後続品調剤体制加算(50点) 調剤ベースアップ評価料 調剤時残薬調整加算(30/50点) 薬学的有害事象等防止加算(30/50点) 電子的調剤情報連携体制整備加算 |
地域支援体制加算 → 地域支援・医薬品供給対応体制加算(5段階) 服薬管理指導料(1〜4に再編) 調剤管理料(4区分→2区分) 在宅薬学総合体制加算(1・2に区分追加) |
※ 出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」/日本薬剤師会調剤報酬点数表(令和8年6月1日施行版)
この変更を踏まえて、次から具体的な準備項目を確認していきましょう。
【チェック①】施設基準届出(6月1日期限・主な届出項目)
最も優先度が高いのが施設基準の届出です。6月1日から算定するには、原則として6月1日(必着)までに地方厚生局へ届出が必要です。なお、疑義解釈では「可能な限り5月18日までの届出を推奨」とされていましたが、5月18日を過ぎても6月1日必着であれば有効です。
届出が必要な主な項目は以下の通りです:
- 地域支援・医薬品供給対応体制加算(1〜5の各区分・合計5項目)
- バイオ後続品調剤体制加算(新設)
- 門前薬局等立地依存減算(新設・注意:「減算」なので未届でも影響あり)
- 服薬管理指導料の注1に規定する施設基準(お薬手帳関連)
- 調剤ベースアップ評価料(賃上げ対応・新設)
- 調剤基本料1(注1のただし書きに該当する場合)
- 在宅薬学総合体制加算2(要件変更)
届出が不要でも、算定実績の記録・処方箋への記載・患者への説明が必要な項目は別途あります。「届出不要=何もしなくていい」と思わないよう注意してください。
📌 詳細な届出要件の確認は、当ブログの地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定要件・チェックリストをあわせてご覧ください。
【チェック②】レセコン設定・請求変更
届出が完了したら、次はレセコン(レセプトコンピューター)の設定変更です。メーカー対応が遅れているケースもあるため、5月末までに動作確認まで終わらせるのが理想です。
廃止加算の算定停止設定
- かかりつけ薬剤師指導料 → 6月1日受付分から自動算定が出ないよう設定
- 重複投薬・相互作用等防止加算 → 算定マスタの無効化
- 医療DX推進体制整備加算 → 同上
- 旧・後発医薬品調剤体制加算 → 新体系(地域支援・医薬品供給対応体制加算)に切り替え
新設・変更加算のマスタ登録
- かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)・訪問加算(230点)の新設
- 調剤時残薬調整加算(30点・50点)の登録
- 薬学的有害事象等防止加算(30点・50点)の登録
- 服薬管理指導料の点数・算定条件の更新
- 調剤管理料の区分見直し(4区分→2区分)
一部の新設加算には算定頻度の制限があります(例:調剤ベースアップ評価料等の算定管理)。毎回自動加算される点数ではない項目については、レセコンで「前回算定日の管理」ができる設定かを必ず確認してください。算定管理を手動で行う場合はExcel等での別管理が必要になります。各加算の算定頻度はレセコンメーカーまたは所轄の地方厚生局へご確認ください。
【チェック③】掲示物・説明文書の更新
患者に見える部分の更新も忘れずに行いましょう。
- 施設基準届出書の作成・提出
- 同意書の在庫確認
- レセコンメーカーへ連絡
- レセコン設定変更・動作確認
- 掲示物・料金表の差し替え
- スタッフ研修・勉強会
- 新算定での受付開始
- 廃止加算の請求停止確認
- 同意書の新フォーム使用開始
更新が必要な主な掲示物・書類は以下の通りです:
- 薬局内の料金表・算定項目一覧(掲示義務あり)
- かかりつけ薬剤師に関する同意書(旧・指導料の同意書は廃止)
- リフィル処方箋の患者向け説明文書(算定要件の変更に伴う記載見直し)
- 在宅患者向けの訪問薬剤管理指導に関する説明文書
- バイオ後続品の切り替えに関する説明文書(新加算対応)
【チェック④】患者説明・窓口対応の準備
6月から窓口負担が変わる患者さんも出てきます。事前に「なぜ料金が変わるのか」を説明できるよう準備しておきましょう。
- 「調剤ベースアップ評価料」の新設に伴う窓口負担の増加説明
- 服薬管理指導料の体系変更に伴う算定額の変化
- 後発医薬品使用に関する体制加算の変更説明
- かかりつけ薬剤師のフォローアップ加算取得に必要な患者同意の取得
「6月から国の制度が変わり、薬局の管理体制に関する加算が見直されます。詳しくは窓口でご説明しますが、ご不明な点はいつでもおたずねください」
【チェック⑤】スタッフ研修・勉強会の実施
どれだけ書類や設定を整えても、現場スタッフが新しい算定ルールを理解していなければ取りこぼしは防げません。6月1日前に最低1回の勉強会を実施しましょう。
- 廃止・新設加算の整理(一人ひとりが説明できる状態を目指す)
- かかりつけ薬剤師の新加算(フォローアップ加算・訪問加算)の算定条件の共有
- 残薬調整・有害事象等防止の新加算の算定トリガーと記録方法の確認
- 患者同意が必要な加算の説明フロー確認
📌 算定間違いのよくあるパターンは薬剤師がよくやる算定間違い15選もあわせて確認しておくと安心です。
よくある質問(Q&A)
Q. 5月18日の届出推奨期限を過ぎましたが、今から届出しても間に合いますか?
A. はい、6月1日必着であれば有効です。疑義解釈で「5月18日までを推奨」とされていたのは、審査・処理の円滑化のためであり、締め切りではありません。ただし、できるだけ早く提出してください。
Q. 廃止された加算をうっかり6月1日以降に算定してしまった場合はどうなりますか?
A. 過誤請求となり、自主返還または指導・監査の対象になる可能性があります。レセコンでの設定変更と算定前の確認体制の整備が必須です。
Q. 地域支援・医薬品供給対応体制加算の届出区分が旧・地域支援体制加算から変わります。自動的に移行されますか?
A. 自動移行されません。新区分での届出が必要です。旧区分での算定実績があっても、6月1日からは新区分の届出をしていなければ算定できません。必ず地方厚生局への届出を行ってください。
まとめ:残り10日でやること5項目
- ✅ 施設基準届出(未提出なら今すぐ作成・提出)
- ✅ レセコン設定変更(廃止加算の無効化・新設加算のマスタ登録)
- ✅ 掲示物・同意書の更新(料金表・かかりつけ薬剤師同意書など)
- ✅ 患者説明の準備(料金変更の説明スクリプト作成)
- ✅ スタッフ研修の実施(6月1日前に最低1回)
6月1日の施行まで残り約10日。「まだ大丈夫」ではなく、今日から動き始めることが、算定漏れゼロと過誤請求ゼロを両立させる唯一の方法です。
📌 2026年改定の全体像を確認したい方は2026年調剤報酬改定 完全ガイドもあわせてご覧ください。
📌 経過措置の詳細は地域支援加算の経過措置と対応方法をご参照ください。
【印刷用】6月1日施行 準備チェックリスト一覧
以下のチェックリストを活用して、担当者ごとに進捗を管理してください。ボタンをクリックするとチェックリストだけを別画面で開くことができ、印刷や配布に便利です。
| ✓ | 確認項目 | 担当者 | 完了日 |
|---|---|---|---|
| 【①届出】施設基準届出(地方厚生局へ提出・6月1日必着) | |||
| □ | 地域支援・医薬品供給対応体制加算(1〜5・該当区分)の届出 | ||
| □ | バイオ後続品調剤体制加算(50点)の届出 | ||
| □ | 調剤ベースアップ評価料の届出 | ||
| □ | 服薬管理指導料の注1施設基準(お薬手帳関連)の届出 | ||
| □ | 在宅薬学総合体制加算2(要件変更)の届出 | ||
| □ | 調剤基本料1(ただし書き該当の場合)の届出 | ||
| □ | 門前薬局等立地依存減算(該当する場合は要確認) | ||
| 【②レセコン】設定変更・動作確認(5月末までに完了) | |||
| □ | かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料の算定停止設定 | ||
| □ | 重複投薬・相互作用等防止加算の算定マスタ無効化 | ||
| □ | 医療DX推進体制整備加算の算定マスタ無効化 | ||
| □ | かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点・3月1回)の新規登録 | ||
| □ | かかりつけ薬剤師訪問加算(230点・6月1回)の新規登録 | ||
| □ | 調剤時残薬調整加算(30点・50点)の新規登録 | ||
| □ | 薬学的有害事象等防止加算(30点・50点)の新規登録 | ||
| □ | 服薬管理指導料(1〜4)の点数・条件更新 | ||
| □ | 調剤管理料(4区分→2区分)の区分見直し | ||
| □ | レセコン動作確認(テスト請求で新旧加算を確認) | ||
| 【③掲示物・書類】更新(6月1日までに差し替え) | |||
| □ | 薬局内の料金表・算定項目一覧の差し替え | ||
| □ | かかりつけ薬剤師同意書の新フォームへの切り替え(旧・指導料版は廃止) | ||
| □ | バイオ後続品切り替えに関する患者向け説明文書の準備 | ||
| □ | 在宅患者向け訪問薬剤管理指導の説明文書の見直し | ||
| 【④患者説明】窓口対応準備(6月1日までに準備) | |||
| □ | 調剤ベースアップ評価料の新設に伴う窓口負担説明スクリプト作成 | ||
| □ | かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の患者同意取得フロー確認 | ||
| □ | 服薬管理指導料の料金変化について患者への案内準備 | ||
| 【⑤研修】スタッフ勉強会(6月1日前に最低1回実施) | |||
| □ | 廃止・新設加算の一覧を全スタッフと共有(説明できる状態を確認) | ||
| □ | 残薬調整・有害事象等防止加算の算定トリガーと記録方法の確認 | ||
| □ | 勉強会の実施日:__月__日 参加者:__________ | ||
※ 本チェックリストは記事執筆時点(2026年5月)の情報をもとに作成。詳細は各地方厚生局・レセコンメーカーへご確認ください。
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