ノルバスク錠5mgには、アムロジピンベシル酸塩6.93mgが含まれます。
一方、アリセプト錠5mgの有効成分はドネペジル塩酸塩5mgです。
どちらも販売名には「5mg」とありますが、数字が示す物質は異なります。
薬剤師が確認するのは、何の量を、何あたりで示しているかです。
成分名だけで決めず、対象製品の電子添文「3.1 組成」と「6. 用法及び用量」を照合します。
確認日:2026年10月6日。
同じmg数でも、異なる薬の効き目や使い方が同じとは限りません。
患者さんが量や製品を自己判断で変更するための換算表としては使わないでください。
もくじ
含量表示を確認する7項目

| 項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 1 製品を特定する | 販売名、製造販売元、剤形、規格をそろえる |
| 2 「何として」を読む | 有効成分の化学形と、表示量の基準となる物質を区別する |
| 3 数量の単位を残す | mg、mg(力価)、単位、国際単位などを省略しない |
| 4 分母を確認する | 1錠中、1g中、1mL中、1容器中のどれか |
| 5 処方量の意味を確認する | 成分量か製剤量か、1回量か1日量か、投与回数はいくつか |
| 6 製品の注意を照合する | 希釈、調製、投与経路、使用器具などの製品固有の条件 |
| 7 疑義と根拠を記録する | 不明な表記は推測せず照会し、資料の版と回答を残す |
電子添文を探すときは、PMDAの電子添文検索ガイドも参考にしてください。
成分名が一致するだけで、剤形や規格の違う資料を選ばないようにします。
塩の量と「有効成分として」の量を区別する
塩は、酸や塩基との組合せによる化学形です。
医薬品には塩や水和物として含まれる成分があり、電子添文にはその量と、別の化学形に換算した量が併記される場合があります。
販売名の数字がどちらを表すかは、製品ごとに確認します。
| 製品 | 電子添文で確認できる量 | 読み方 |
|---|---|---|
| ノルバスク錠5mg | 1錠中アムロジピンベシル酸塩6.93mg。アムロジピンとして5mg | 販売名の5mgは、アムロジピンとしての量 |
| アリセプト錠5mg | 1錠中ドネペジル塩酸塩5mg | 販売名の5mgは、塩酸塩としての量 |
| サワシリン細粒10% | 製剤1g中アモキシシリン水和物100mg(力価) | 製剤の重さと、力価として示す含量を区別する |
出典:ノルバスク電子添文、アリセプト電子添文、サワシリン電子添文の各3.1。
この比較から、「名前に塩酸塩があれば塩の量」「水和物なら必ず無水物の量」といった一律の判断はできません。
調剤で既製の錠剤を扱うときに、塩の分子量比を使って処方錠数を独自に補正することも避けます。
処方された製品と用量表示を照合するのが先です。
錠剤全体の重さは有効成分量と異なる
アリセプト錠5mgは、電子添文3.2で錠剤の質量が140mgと示されています。
有効成分以外に添加剤も含むため、錠剤全体の重さを量っても、その値を有効成分量とは扱えません。
粉砕後の粉末重量から成分量を確認する場面でも、製品の含量、粉砕の可否、調製時の条件を別々に確認します。
有効成分量の計算が合うことだけでは、粉砕や剤形変更が可能とは判断できません。
mg(力価)と散剤の製剤量
「mg(力価)」は、単に粉末全体の重さを示す表記ではありません。
例えばサワシリン細粒10%は、製剤1gに100mg(力価)を含む製品です。
成分の力価と、調剤で量り取る細粒の重さを分けて計算します。
表示を読むための計算例では、製剤0.1gに含まれる量は10mg(力価)です。
「100mg(力価)」と「製剤100mg」は同じ量ではありません。
この例は個別患者の推奨用量ではなく、単位を区別するためのものです。
処方のmgが成分量なのか製剤量なのか判別できない場合は、薬局側で補って計算しません。
1回量と1日量の区別、回数も含めて処方医に確認します。
「単位」を一律にmgへ換算しない
第十九改正日本薬局方の通則10は、力価を示す単位について、医薬品の種類によって異なり、原則としてそれぞれの標準品と生物学的方法で比較して定めるとしています。
そのため、すべての薬に使える「1単位=○mg」という共通の換算式はありません。
単位数が同じという理由だけで、異なる成分や製品を等量として置き換えることもできません。
換算が必要な場面では、該当製品の公式資料にある定義と使用条件を確認します。
「国際単位」などの修飾語も含め、原文の表記を記録してください。
他製品への切替えは、数字の換算だけでなく、その製品の用法と注意事項を踏まえて判断する必要があります。
濃度と容器全体の量を分けて読む
「1mL中」と「1容器中」は、数値の基準が異なります。
確認メモには、成分量だけでなく分母を残します。
注射薬では、調製後の濃度や採取できる量について別の記載がある場合もあるため、組成欄だけで確認を終えません。
とくに「単位」と「mL」は別の数量です。
製品名、濃度、指示された量、使用する器具を照合し、医療機関の手順に沿って確認します。
本記事の説明を基に、患者さんが注射量や器具を自己判断で変更することは避けてください。
患者さんには対象の薬を示して説明する
ノルバスク錠5mgについて「6.93mg入っているなら多すぎないか」と聞かれた場合は、対象製品を明示して説明します。
「この薬の5mgは、アムロジピンとしての量です。
成分が塩の形で入っているため、その形の重さは6.93mgと書かれています。
別々の基準で同じ錠剤を示しているので、この数字の違いだけを理由に飲む量を変える必要はありません。
飲み方に不安があれば、処方内容を一緒に確認しましょう。」
この説明を「ほかの5mgの薬でも効く量は同じ」と広げないようにします。
薬の変更を説明する際は、実際に変更される製品、成分、規格、用法を確かめます。
よくある質問
電子添文3.1だけ見れば、調剤してよいですか
3.1は組成の確認先です。
実際の調剤では、処方内容、用法と用量、適用上の注意なども照合します。
必要に応じてインタビューフォームや製造販売元の情報で補います。
同じ規格コードなら、自動的に変更調剤できますか
コードの一致だけで変更可否を決めることはできません。
処方箋の指示と現在の変更調剤の取扱い、対象製品の条件を別途確認してください。
含量表示の読み方と、変更が認められる条件は別の論点です。
同じmg数の薬は、同じ強さですか
mgは量の単位であり、異なる薬の効き目を比較する共通の点数ではありません。
薬によって作用も用法も異なります。
数字の大小だけで効き目や安全性を判断しないようにします。
確認の根拠を共有できる薬剤師へ
日々の実務では、換算式を覚えるだけでなく、資料を選び、表記の違いを説明し、確認した内容を記録する力を積み重ねたいところです。
教育担当者とこの7項目を共有し、疑問が出たときに相談できる手順を整えると、担当者が替わっても判断を追いやすくなります。
医薬品情報を継続して読む方法を検討する方は、m3.comの薬剤師向け情報サービスを紹介した記事も参考にしてください。
ニュースで変更を知った後は、対象製品の公式資料で内容を確認します。
参考資料と確認範囲
- ノルバスク電子添文:2026年5月改訂、第8版。3.1と6。
- アリセプト電子添文:2026年5月改訂、第5版。3.1、3.2、6。
- サワシリン電子添文:2025年8月改訂、第5版。3.1と6。
- 第十九改正日本薬局方:2026年4月10日告示。通則10。PMDAの正式版案内から本文を確認。
本文は代表例と確認手順の解説です。
全医薬品を網羅する一覧や、薬価収載品目の全数集計ではありません。
製品の改訂後は、最新の資料で再確認してください。


