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jRCTの使い方|薬剤師が治験・臨床研究を調べる6ステップと読む場所【2026年版】

jRCTの使い方。治験・臨床研究を調べる6ステップ

「この薬、いつ使えるようになりますか」「うちの母の病気で治験はやっていませんか」。患者さんやご家族から、こう聞かれることがあります。電子添文にも、インタビューフォームにも、承認されていない薬の情報は載っていません。

承認前の薬が、いま日本のどこで、どんな条件で試されているのか。それを無料で確認できる公的なデータベースが jRCT(臨床研究等提出・公開システム) です。厚生労働省が運営していて、アカウント登録も個人情報の入力も必要ありません。

ただし、検索画面の「研究の種別」欄には15個のチェックボックスが並んでいて(2026年9月時点)、初見では何を選べばよいのか迷います。この記事では、薬剤師が実務で使う前提で、検索の6ステップと閲覧画面の読む場所を整理します。

jRCTは「これから」と「終わった後」がわかるデータベース

薬剤師が普段使う医薬品情報は、ほとんどが「承認された後」の文書です。jRCTはその手前と、その先を埋めます。

情報源 対象の時期 わかること
jRCT 承認前〜承認後 いま実施中の治験・臨床研究の目的、対象疾患、選択/除外基準、実施医療機関、募集状況、終了後の結果概要
電子添文 承認後 承認された用法用量、効能効果、禁忌、相互作用
インタビューフォーム 承認後 製剤の性質、安定性、配合変化、開発の経緯
審査報告書 承認時点 その用法用量や効能効果が認められた理由、規制側の判断
RMP 承認後 重要な懸念と、それに対する監視・低減の計画

それぞれの読み方は、添付文書とインタビューフォームの違いPMDA審査報告書の読み方RMPの見方で整理しています。jRCTは、この4つのどれでも答えられない「まだ承認されていないもの」を扱う位置にあります。

最初の注意点:URLが変わっています

jRCTのサイトURLは、2025年3月25日付のお知らせで変更されました。

(新)https://jrct.mhlw.go.jp/
(旧)https://jrct.niph.go.jp/

同じ日に、横断検索ができる臨床研究情報ポータルサイトrctportal.niph.go.jp から rctportal.mhlw.go.jp へ移っています。数年前の院内マニュアルや研修資料に旧URLが載っていることがあるので、共有前に差し替えておきます。

検索の6ステップ

トップページの簡易検索でも調べられますが、薬剤師が使う場面では条件を絞れる詳細検索のほうが早く目的に届きます。

jRCT検索の6ステップ

STEP 1

トップページで「詳細検索へ」を押す

STEP 2

「研究の種別」で治験か臨床研究かを選ぶ

STEP 3

「研究の進捗状況」で募集前・募集中などに絞る

STEP 4

疾患名か医薬品名を入力し、and/orを選ぶ

STEP 5

結果一覧から「閲覧」で詳細を開く

STEP 6

jRCT番号と確認日を記録する

このうちSTEP 1、5、6は画面の指示どおりに進めれば迷いません。つまずきやすいのはSTEP 2〜4の絞り込みなので、順に見ていきます。

なお、詳細検索の画面では入力欄が上からフリーワード検索 → 対象疾患名 → 研究の進捗状況 → 研究の種別 → 治験の区分 → 医薬品名等の順に並んでいます(2026年9月時点)。ここで紹介するSTEP順は画面の並び順ではなく、「大きく絞ってから語を入れる」という考え方の順番です。画面では下のほうにある「研究の種別」から先に決めると、結果の見通しが立てやすくなります。

STEP 2:「研究の種別」は4グループに分かれている

ここが最初の関門です。チェックボックスは並列に見えますが、実際は次の4グループで構成されています(2026年9月時点の詳細検索画面)。

グループ 選択肢 どんなときに選ぶか
特定臨床研究 特定臨床研究/非特定 臨床研究法に基づいて届け出られた研究を探すとき
その他臨床研究 観察/手術手技/その他/保留 観察研究など、介入を伴わない研究を含めたいとき
治験 企業治験/医師主導治験/製造販売後試験/使用成績調査/その他/保留 承認を目指す試験を探すとき。まずここ
再生医療等研究 第一種再生/第二種再生/第三種再生 再生医療等安全性確保法に基づく提供計画を探すとき

「治験」を選ぶと、その下に治験の区分(主たる治験/拡大治験/主たる治験と拡大治験のいずれにも該当しない)が現れます。この区分の入力欄が追加されたのは2021年12月のシステムリリースで、初回登録時以外は入力できない仕様です。jRCTも、それ以前から登録され実施中の治験に区分未入力のものがあることを告知しています。区分にチェックを入れると、そうした古い登録が結果から漏れる可能性があるため、網羅したい場面では外して検索します。

STEP 3:進捗状況は5区分

「研究の進捗状況」は募集前/募集中/募集中断/募集終了/研究終了の5つです。

  • 患者さんに紹介できる可能性を探すなら「募集前」「募集中」
  • 結果を探すなら「研究終了」

日本製薬工業協会の解説資料は、jRCTの更新タイミングによっては進捗状況が最新でない可能性があると注意を促しています。「募集中」と表示されていても、実際には枠が埋まっていることがあります。患者さんに伝える前に、詳細画面の問い合わせ先で確認するのが安全です。

STEP 4:フリーワードと対象疾患名の使い分け

入力欄が複数ありますが、薬剤師が使うのは主に次の3つです。

入力欄 向いている検索
フリーワード検索 企業名、開発コード、一般名など、幅広く拾いたいとき。全文と類義語が対象になるため件数が増えやすい
対象疾患名 病名がはっきりしているとき。フリーワードより結果が絞れる
医薬品名/医療機器名/再生医療等製品名 成分名や開発コードで直接引きたいとき

複数の語を入れるときは、半角または全角のスペースで区切って andor を選びます。andは全部の語を含むものだけ、orはどれか1つでも含むものが出ます。製薬協の資料は、フリーワード検索が全文と類義語を対象とするため結果が多くなりやすく、調べたい語が明確ならandを使うようすすめています。

このand/orの考え方は、PubMedの使い方医中誌Webの使い方と同じです。検索語の立て方そのものに自信がないときは、PICO・PECOで臨床疑問を整理するシートから先に固めると空振りが減ります。

閲覧画面のどこを読むか

詳細画面は項目数が多く、全部読むと時間がかかります。実例として、パーキンソン病を対象とした企業治験の登録(jRCT2021240047、大原薬品工業、第III相、2025年2月5日初回公表)を開くと、次の順で必要な情報にたどり着けます。

詳細画面で読む5か所

① 概要

研究の種別、治験の区分、フェーズ、対象疾患名、進捗状況、初回/最終公表日

② 目的及び内容

何を、何と比べて、どう確かめる試験なのか

③ 医薬品等の一般名称・販売名

未承認なら販売名は「なし」。対照薬の販売名は記載される

④ 選択基準・除外基準

その患者さんが対象になりうるかの手がかり。ただし可否は医師の判断

⑤ 実施医療機関・問い合わせ先

どこで実施しているか、どこに聞けばよいか

この登録では、③に「OP-2024、レボドパ・カルビドパ水和物錠」、販売名に「なし、ネオドパストン配合錠L100」と並記されています。開発中の被験薬には販売名がなく、対照薬には販売名が入るという構造がそのまま読み取れます。

薬剤師がjRCTを開く3つの場面

場面1:患者さんや家族から治験について聞かれたとき

まず押さえておきたいのは、調剤や病棟で相談を受けた薬剤師が、jRCTの表示だけで参加を勧めたり、参加できるかを判断したりしないことです。製薬協の資料も、記載された条件を満たせば必ず参加できるわけではなく、医学的判断を伴うため医師の診察のうえで決まると明記しています。治験チームの一員として関わる薬剤師は、各施設の手順と担当範囲に従います。

薬剤師にできるのは、「そういう情報を公的に調べる場所がある」と伝え、jRCT番号を控えて主治医に相談する道筋を示すところまでです。製薬企業に問い合わせる場合も、jRCT番号を伝えると話が早いとされています。

もう1つ知っておきたいのが拡大治験です。生命に重大な影響がある疾患で、既存の治療に有効なものがなく、通常の治験の参加基準に満たない患者さんに対して、人道的見地から未承認薬等を提供する治験を指します。コンパッショネート・ユースとも呼ばれます。PMDAは主たる治験と拡大治験の一覧をPDFとExcelで公開し、届出のあった日の翌月末を目途に毎月更新しています(2026年9月4日時点で最新の更新は2026年8月31日)。jRCTの詳細検索でも「治験の区分」で拡大治験に絞り込めます。

拡大治験について、PMDAはその実施は法的義務ではなく、実施の可否は治験薬を提供する者等が決定するものであると明記しています。また、主たる治験の実施に影響を及ぼさないことが前提とされています。一覧に品目名があっても、個々の患者さんが使えることを意味しません。この点を伝えずに一覧だけを示すと、過度な期待につながります。

場面2:抄読会で論文の裏を取るとき

jRCTのもう1つの使い道が、論文になる前に何が計画されていたかを確認することです。

臨床研究法施行規則第24条第1項は、臨床研究を実施する場合、あらかじめ「世界保健機関が公表を求める事項その他の臨床研究の過程の透明性の確保及び国民の臨床研究への参加の選択に資する事項」を、厚生労働省が整備するデータベースに記録して公表することを求めています。このデータベースに当たるのがjRCTです。さらに同条第2項は、主たる評価項目のデータ収集期間が終了したときは原則としてその日から1年以内に主要評価項目報告書を、すべての評価項目のデータ収集期間が終了したときは原則として1年以内に総括報告書とその概要を作成することを定めています。特定臨床研究では、認定臨床研究審査委員会が意見を述べた日から1か月以内に公表することとされています。

つまり、jRCTに登録された研究であれば、論文の主要評価項目が事前登録と一致しているかを無料で照合できます(登録先がUMIN-CTRの研究など、jRCTに載らないものもあります)。治験についても、製薬協の資料は基本的に治験終了から1年以内に結果がjRCTへ公開されるとしています(それより遅れる場合もあります)。

抄読会でこの照合をひと手間かけると、議論の質が変わります。ジャーナルクラブの始め方メタアナリシスの読み方と組み合わせると、批判的吟味の材料として使えます。

場面3:適応外使用の相談を受けたとき

院内で「この薬をこの使い方で研究したい」という相談が薬剤部に来ることがあります。ここは2025年に法改正があった部分です。

改正臨床研究法は2025年5月31日に施行されました(関連通知は同年5月15日発出)。改正後の臨床研究法第2条第2項第2号ロでは、承認された用法等と異なる用法等で用いる場合であっても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれが承認に係る用法等と同程度以下のものとして厚生労働省令で定める用法等は除くと規定されています。適応外使用が一律に特定臨床研究へ該当するわけではなくなった、という改正です。

臨床研究法施行規則第5条は、その用法等について、国内での使用実績が乏しい場合や保健衛生上の危害が生じている場合を除き、学術団体が指針などで推奨するもの、または承認された効能・効果の範囲で有効性と安全性が認められるもののいずれかとして、認定臨床研究審査委員会が認めることを要件にしています。「適応外なら除外」「ガイドラインにあれば自動的に除外」とは判断できません。

ただし、該当するかどうかの判断は個別に行う必要があります。厚生労働省は改正事項の適用に関する相談窓口を設置し、「医薬品等を用いた臨床研究の適応外医薬品等の該当性」「研究目的で追加的に行う検査等の『著しい負担を与える検査等』の該当性」を相談事項として挙げています。薬剤師が自分で結論を出すのではなく、この窓口と院内の臨床研究支援部門につなぐのが現実的な対応です。

法令や通知そのものを引く手順は、厚労省の告示・通知・疑義解釈の探し方にまとめています。

やってはいけない使い方

jRCTは検索画面と検索結果画面の両方に、次の注意書きを掲げています。

jRCTでは、公開されているデータの適正な利用をお願いしています。個人利用の範囲を超えた大量データ収集はお控えください。プログラムを利用した自動操作等による意図的な大量データ収集は個人利用の範囲を超えた利用とみなされます。

「疾患別に何件あるか集計して発表資料にしたい」という場面では、スクリプトで巡回するのではなく、検索結果画面に用意されているダウンロード機能を使います。全件または範囲を指定でき、利用規約を確認するチェックを入れてからダウンロードする仕様です。公式に用意された手段があるので、そちらを通します。

誤読しやすい5つのポイント

誤読しやすい点 実際
「募集中」=いま参加できる 更新のタイミングにより最新でない場合がある。問い合わせ先での確認が必要
選択基準を満たせば参加できる 参加可否は医学的判断を伴い、医師の診察のうえで決まる
記載の薬が必ず投与される 試験デザインにより、プラセボや対照薬が割り付けられる場合がある
実施期間=募集期間 別物。募集状況は「研究の進捗状況」で確認する
jRCTを見れば国内の試験を全部たどれる 大学・公的研究機関の研究はUMIN-CTRにも登録されている。横断的に見るなら臨床研究情報ポータルサイト

よくある質問

Q. jRCT番号の形式に種類があるのはなぜですか

登録の根拠となる制度が違うためです。公開されている登録を見ると、治験等は「jRCT」に続けて数字10桁(例:jRCT2021240047)、臨床研究法に基づく研究は「jRCTs」で始まる番号(例:jRCTs031230128)が付いています。企業や医療機関に問い合わせるときは、この番号をそのまま伝えます。

Q. UMIN-CTRとjRCTはどう使い分けますか

jRCTは厚生労働省が運営し、治験を含む臨床研究全般が対象です。UMIN臨床試験登録システムは大学病院医療情報ネットワークが運営し、主に大学や公的研究機関で実施される研究が登録されています。両方をまとめて探すなら、厚生労働省が運営する臨床研究情報ポータルサイト(rctportal.mhlw.go.jp)で横断検索します。海外の試験はClinicalTrials.gov、WHO ICTRPなどが対象です。

Q. 過去にJapicCTIやJMACCTで見た試験はどうなりましたか

日本医薬情報センターの臨床試験情報(JapicCTI)と日本医師会の臨床試験登録システム(JMACCT-CTR)の登録情報は、jRCTへ統合済みです。jRCT上に移行前後の試験IDの一覧が掲載されているので、古い試験IDしか手元にない場合はそこから追えます。

Q. 試験の結果がまだ載っていないのはなぜですか

公表までに時間差があります。臨床研究法に基づく研究では、データ収集期間の終了から原則1年以内に報告書を作成し、特定臨床研究では認定臨床研究審査委員会が意見を述べた日から1か月以内に公表することとされています。治験についても、製薬協の資料は基本的に治験終了から1年以内としつつ、それより遅れる場合があるとしています。定期的に見直す前提で、確認日を記録しておきます。

Q. 薬局薬剤師でも使う場面はありますか

頻度は高くありませんが、開発中の成分名を耳にしたとき、患者さんから治験の相談を受けたとき、勉強会で新規作用機序の薬を扱うときに使えます。毎日開く情報源ではなく、疑問が具体的になった時点で引く道具です。

📮 新薬の動きに気付くきっかけを増やす

jRCTは自分から調べに行く情報源です。開発中の成分名や適応拡大の動きを耳に入れておくと、jRCTを引くきっかけそのものが増えます。一次情報を基準にしたうえで、補助的な情報経路を1つ決めておくと更新に気付きやすくなります。

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試験情報を読む力が使える職域

試験デザインと選択・除外基準を読み解く作業は、調剤や病棟業務の中では目立ちませんが、次の職域では日常業務そのものです。

  • CRC(治験コーディネーター):医師などと連携して候補者のスクリーニングを支援し、説明同意や来院スケジュールを調整する
  • CRA(モニター):計画書どおりに実施されているかを確認する
  • 製薬企業の学術・メディカル部門:試験結果に関する問い合わせに答える
  • 病院のDI業務:院内の医師から新規採用品や適応外使用について相談を受ける

それぞれの仕事内容と求められる経験は、治験業界(CRO・CRC)転職ガイド製薬企業転職ガイドで整理しています。求人票の業務欄に「一次情報の評価」「問い合わせ対応」が含まれるかを見ると、実務の中身が見えます。

職域を検討するときは、転職を先に決めるのではなく、求人票や職務紹介にある「一次情報の評価」「選択・除外基準の確認」「問い合わせ対応」「研究チームとの調整」といった業務を、自分の経験と照合します。制度と実務を理解したうえで、必要になった時点で情報収集へ進む順序なら、いまの仕事にも使える学びが残ります。

実際に求人を見る段階に進むときは、治験関連職の募集が常時多い領域ではない点を踏まえて、扱う職種の違うところを見比べると条件の相場がつかめます。薬剤師向け転職エージェントの比較で候補を絞り、エージェント併用管理シートで重複応募を防ぎながら進めると、やり取りが整理できます。病院や製薬企業の求人も扱う薬キャリAGENT、調剤薬局・派遣の求人を幅広く扱うレバウェル薬剤師などが候補になります。求人数や取扱職種は時期によって変わるため、登録時点の最新情報を各社で確認してください。

まとめ:6ステップの確認順

  • jRCTは厚生労働省が運営する公的サイト。登録不要・個人情報の入力不要で、承認前の治験と臨床研究を調べられます
  • URLは jrct.mhlw.go.jp に変更済み。旧URLの資料は差し替えます
  • 詳細検索で「研究の種別」(治験/特定臨床研究/その他臨床研究/再生医療等研究)と「研究の進捗状況」(募集前・募集中・募集中断・募集終了・研究終了)を先に絞ります
  • 詳細画面は概要 → 目的及び内容 → 使用する薬 → 選択・除外基準 → 実施医療機関・問い合わせ先の順に読みます
  • 患者さんへの案内は「調べる場所がある」と伝えるところまで。参加可否は医師の診察で決まります
  • 自動処理による大量データ収集は禁止。集計が必要なら公式のダウンロード機能を使います

次に開発コードや聞き慣れない成分名を耳にしたら、その語をjRCTのフリーワード欄に入れてみてください。その薬がいまどの段階にいるのかを、その場で確認できます。

参考にした一次情報

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