がん化学療法中の患者さんが来局したとき、どの加算を算定していますか?
「対象になる患者の条件があいまい」「点数は知っているが算定の手順に自信がない」——そんな薬剤師の疑問に、2026年6月時点の最新ルールでお答えします。
この記事では、外来化学療法(抗悪性腫瘍剤の注射)を受けている患者さんの服薬管理を担う薬剤師が算定できる特定薬剤管理指導加算2(100点/月1回)の算定要件と実務フローを、厚労省告示・日本薬剤師会の点数表をもとに完全解説します。経口抗がん剤だけを服用している患者さんの扱い(特定薬剤管理指導加算1)も整理します。
📋 この記事でわかること
- 特定薬剤管理指導加算2の対象患者・算定要件・点数(一次ソース確認済み)
- 2026年6月改定での取り扱い(加算2は点数・要件とも変更なし)
- 実務フロー3ステップ(確認→記録→文書提供)
- 経口抗がん剤のみの患者は加算2の対象外(加算1で評価)という重要な線引き
▶ 2026年6月改定の全体像は【2026年調剤報酬改定】完全ガイドも併せてご覧ください。
もくじ
特定薬剤管理指導加算2とは|対象は「注射の抗がん剤」を受ける患者
外来化学療法では、患者さんが注射のための通院と並行して、経口抗がん剤や支持療法薬を自宅で服用するケースが多く、副作用の早期発見・服薬アドヒアランスの確認・処方医への情報共有が薬局薬剤師の重要な役割です。
この役割を評価する加算が特定薬剤管理指導加算2です。日本薬剤師会の調剤報酬点数表(令和8年6月1日施行)では、対象は「連携充実加算を届け出ている保険医療機関において、抗悪性腫瘍剤が注射されている悪性腫瘍の患者で、かつ悪性腫瘍の治療に係る薬剤の調剤を受けている患者」と定められています。
⚠️ 対象患者の条件(最重要)
特定薬剤管理指導加算2は「連携充実加算を届け出ている保険医療機関で、抗悪性腫瘍剤の注射(外来化学療法)を受けており、かつ悪性腫瘍の治療に係る薬剤の調剤を受けている患者」が対象です。
経口抗がん剤のみを服用し、注射治療のない患者は加算2の対象外です。この場合はハイリスク薬として特定薬剤管理指導加算1(イ10点/ロ5点)で評価します。
なお、薬剤師が確認・指導する薬剤の範囲には、注射薬だけでなく経口抗がん剤や支持療法薬も含まれます(告示では「投薬又は注射に関し」確認すると規定)。ただしこれは「算定対象となる患者の条件」とは別の話で、患者が加算2の対象になるには抗悪性腫瘍剤の注射を受けていることが前提である点に注意してください。
2026年6月改定での取り扱い|加算2は変更なし
結論から言うと、2026年6月改定において特定薬剤管理指導加算2の点数および算定要件に変更はありません。点数は100点(月1回)のまま、対象患者・施設基準・算定要件もそのまま維持されています。
| 比較項目 | 2024年 | 2026年6月〜 |
|---|---|---|
| 点数 | 100点 | 100点(変更なし) |
| 算定上限 | 月1回 | 月1回(変更なし) |
| 対象患者の基本条件 | 連携充実加算を届け出ている保険医療機関で抗悪性腫瘍剤を注射された患者 | 連携充実加算を届け出ている保険医療機関で抗悪性腫瘍剤を注射された患者 (変更なし) |
| 算定要件(ア・イ・ウ) | 確認・指導/電話フォロー/文書提供 | 同左(変更なし) |
※ 出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」、日本薬剤師会「調剤報酬点数表(令和8年6月1日施行)」。加算2は令和8年度改定の変更項目に含まれていません(改定されたのは特定薬剤管理指導加算3)。
📌 よくある誤解
「2026年改定で連携充実加算の届出が不要になり、どの病院の化学療法患者にも算定できるようになった」という情報がありますが、これは誤りです。対象は連携充実加算を届け出ている保険医療機関で注射の化学療法を受けている患者に限られます(2026年6月時点)。誤った対象拡大の認識は返戻・返還のリスクにつながるため注意してください。
特定薬剤管理指導加算2の算定要件(2026年6月版)
① 点数・算定上限
- 100点 / 月1回(服薬管理指導料への加算)
- 同一患者で同月に複数回来局しても、加算算定は1回まで
② 必須の実施事項(3ステップ)
レジメン確認・指導
電話等でフォローアップ
医療機関へ文書提供
3ステップ(ア・イ・ウ)すべてを実施して初めて算定できます。1つでも抜けると算定要件を満たしません。
③ 算定できない場合
- 抗悪性腫瘍剤の注射治療を受けていない患者(経口抗がん剤のみの患者は加算2の対象外)
- 連携充実加算を届け出ていない医療機関で治療を受けている患者
- 同月に服薬情報等提供料を算定した場合(同時算定不可)
- 薬局側の施設基準の届出がない場合
▶ 服薬情報等提供料の2026年改定内容は【2026年6月改定】服薬情報等提供料1・2・3の最新算定要件もご参照ください。
実務フロー|月1回の算定機会を逃さない
月1回の算定機会を確実に取るために、以下のフローで運用することをお勧めします。
📋 月1回の算定管理フロー
対象患者の確認
(注射の化学療法中か確認)
同意取得・薬歴記録
服用状況・副作用確認
(経口薬・支持療法薬含む)
薬歴に追記
処方医療機関へ送付
(FAX・電子連携等)
送付記録を薬歴に保存
100点 算定
(月1回・服薬管理指導料と同時)
電話フォローで確認する薬剤の範囲
告示では「投薬又は注射に関し」の確認が求められています。対象患者(注射の化学療法中の患者)について、以下すべてが確認対象です。
- 経口抗がん剤(分子標的薬・ホルモン療法薬・殺細胞薬等)
- 制吐剤・ステロイド等の支持療法薬
- 注射治療の副作用(倦怠感・骨髄抑制・末梢神経障害等)
薬歴への記録では以下の項目を最低限残しましょう。
- フォローアップの日時と方法(電話・テレビ電話等)
- 確認した服用状況と副作用の有無(具体的に記録)
- 医療機関へ文書提供した日付と送付先
- 患者または家族等の同意を得た旨
情報収集を続けるなら
抗がん剤や加算の情報は改定・安全性情報の確認が欠かせません。日々の情報収集ルートは m3.com活用ガイドも参考になります。
よくある算定ミスと対策
⚠️ 算定漏れ・誤算定の典型パターン
- 注射治療のない経口抗がん剤のみの患者に加算2を算定する→ 加算2は注射の化学療法中の患者が対象。経口のみはハイリスク薬として加算1で評価。誤算定は返還リスクあり
- 連携充実加算を届け出ていない医療機関の患者に算定する→ 対象は連携充実加算届出医療機関の患者。「届出不要になった」という誤情報に注意
- 文書確認だけして電話フォローを省く→ 電話等での服用状況確認は必須。省略は算定不可
- 服薬情報等提供料と同月に両方算定する→ 同時算定不可。どちらかを選択
- フォローアップを薬歴に記録しない→ 記録なしは算定の根拠が不十分になるリスクあり
Q&A:よく寄せられる疑問
まとめ
- 特定薬剤管理指導加算2は連携充実加算を届け出ている医療機関で抗悪性腫瘍剤の注射治療中で、かつ薬局でがん治療薬の調剤を受けている患者が対象(100点/月1回)
- 2026年6月改定で加算2は点数・算定要件とも変更なし(改定されたのは特定薬剤管理指導加算3)
- 経口抗がん剤のみ(注射なし)の患者は加算2の対象外。ハイリスク薬として特定薬剤管理指導加算1(10点/5点)で評価する
- 算定時の確認対象は経口薬(投薬)も注射薬も含むすべての悪性腫瘍治療薬
- 必須の3ステップ:レジメン確認・指導 → 電話フォロー → 医療機関への文書提供
- 服薬情報等提供料とは同月算定不可
6月以降も算定漏れなく対応するために、まず「うちの薬局の患者さんのなかに、連携充実加算を届け出ている医療機関で化学療法(注射治療)を受けている方が何人いるか」を把握するところから始めてみてください。
▶ 算定準備のチェックリストは【2026年6月改定】算定準備チェックリスト完全版もご活用ください。
📖 あわせて読まれています
2026年6月改定の全体像を確認したい方はこちらの記事もどうぞ。


