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経皮吸収型製剤の処方監査|貼付部位と交換、熱を7項目で確認

経皮吸収型製剤の処方監査7項目。貼付部位と交換、熱の確認

「デイサービスから帰ってきたら、パッチが2枚貼ってあった」「入浴の時間を変えたら、痛みの出方が変わった気がする」。
貼付剤は飲み忘れが見えにくい一方で、剥がし忘れや熱の影響が血中濃度に直結します。

薬価基準収載品目リスト(令和8年8月13日適用)の外用薬から「テープ」「パッチ」「貼付」を含む品目を数えると、246品目・29成分ありました。
このうち全身作用をねらう成分は17ありました。
ニトログリセリンを除く16成分について、代表的な先発品の電子添文を並べて読んだところ、「貼り替えのときに先に貼った製剤を剥がしたか確認するよう指導すること」を明記していたのは、認知症・パーキンソン病・統合失調症の5製剤だけでした。
麻薬性鎮痛薬3製剤の電子添文には、この文言はありません。

貼付部位、交換間隔、熱、重複貼付、剥がれたときの対応、製剤固有の注意、廃棄の7項目に整理しました。
確認日:2026年9月7日。

経皮吸収型製剤の処方監査で確認する7項目

貼付剤は、剤形が同じでも指定される貼付部位と交換間隔が製剤ごとに違います。
「テープだから背中でいい」「1日1回だろう」という当たりのつけ方が通りにくい剤形です。

項目 確認すること 患者・介護者と共有したい情報
1. 貼付部位 電子添文が指定する部位に入っているか、ベルトラインを避けているか いま貼っている場所、衣類でこすれないか
2. 交換間隔 24時間・2日・3日・7日のどれか、貼り替え曜日は決まっているか 貼り替えの日時、カレンダーへの記録方法
3. 熱の影響 入浴・こたつ・電気毛布・カイロ・サウナ・直射日光の習慣 入浴時刻と貼付開始時刻の関係
4. 重複貼付 前の製剤を剥がしたか、貼る人が複数いないか 剥がした製剤の保管場所、貼り替え担当者
5. 剥がれたとき 製剤ごとに異なる貼り直しのルールを把握しているか 剥がれた時刻、次の貼り替え予定時刻
6. 製剤固有の注意 MRI、AED、光線過敏、剥がした後の直射日光 予定されている検査、屋外作業の有無
7. 廃棄 粘着面を内側にして折りたたむ、小児の手の届かない所へ 使用済み製剤の捨て方、家庭内での保管

採用品の指定部位や交換間隔を確認するときは、PMDAで電子添文を検索する手順から。
日々の情報収集先を見直す場合は、m3.comの特徴と薬剤師向けの使い方も参考にしてください。

1. 貼付部位と交換間隔は製剤ごとに指定が違う

全身作用をねらう16成分について、代表的な先発品の電子添文の「6. 用法及び用量」に書かれた貼付部位と交換間隔を並べました。
確認した電子添文の改訂年月は2023年10月から2026年7月までです。
狭心症で用いるニトログリセリン貼付剤(バソレーターテープ、ミニトロテープ)は今回の表には含めていません。

製剤(成分) 電子添文が指定する貼付部位 交換間隔
フェントステープ(フェンタニルクエン酸塩) 胸部、腹部、上腕部、大腿部等 1日(約24時間)毎
デュロテップMTパッチ(フェンタニル) 胸部、腹部、上腕部、大腿部等 3日毎(約72時間)
ノルスパンテープ(ブプレノルフィン) 前胸部、上背部、上腕外部、側胸部 7日毎
イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ(リバスチグミン) 背部、上腕部、胸部 24時間毎
アリドネパッチ(ドネペジル) 背部、上腕部、胸部 24時間毎
ニュープロパッチ(ロチゴチン) 肩、上腕部、腹部、側腹部、臀部、大腿部 24時間毎
ハルロピテープ(ロピニロール) 胸部、腹部、側腹部、大腿部、上腕部 24時間毎
ロナセンテープ(ブロナンセリン) 胸部、腹部、背部 24時間ごと
ビソノテープ(ビソプロロール) 胸部、上腕部、背部 24時間ごと
ホクナリンテープ(ツロブテロール) 胸部、背部、上腕部 1日1回
ジクトルテープ(ジクロフェナク) 胸部、腹部、上腕部、背部、腰部、大腿部 1日(約24時間)毎
アレサガテープ(エメダスチン) 胸部、上腕部、背部、腹部 24時間毎
フランドルテープ(硝酸イソソルビド) 胸部、上腹部、背部 24時間又は48時間ごと
ネオキシテープ(オキシブチニン) 下腹部、腰部、大腿部 24時間毎
エストラーナテープ(エストラジオール) 下腹部、臀部 2日毎
メノエイドコンビパッチ(エストラジオール・酢酸ノルエチステロン) 下腹部 3〜4日ごとに1回(週2回)

「背部」が指定に入るのは16製剤中8つ(イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ、アリドネパッチ、ロナセンテープ、ビソノテープ、ホクナリンテープ、ジクトルテープ、アレサガテープ、フランドルテープ)です。
ノルスパンテープは「上背部」という限定した書き方をしており、フェントステープ、デュロテップMTパッチ、ニュープロパッチ、ハルロピテープの指定には背部が入っていません。

下腹部が指定に入るのはネオキシテープ、エストラーナテープ、メノエイドコンビパッチの3製剤で、このうちエストラーナテープとネオキシテープの電子添文には「衣服との摩擦ではがれるおそれがあるため、ベルトラインを避けること」と書かれています。
下腹部に貼る製剤で「ズボンのゴムのところ」に貼っていないかは、聞いておきたい点です。

交換間隔は24時間が11製剤で最多ですが、2日(エストラーナテープ)、3日毎(デュロテップMTパッチ)、3〜4日ごと(メノエイドコンビパッチ)、7日毎(ノルスパンテープ)と分かれます。
フランドルテープは「24時間又は48時間ごと」で、この16製剤のなかで唯一、間隔に幅があります。
処方箋の記載だけでは実際の運用が読み取れないため、貼り替えの曜日と時刻を患者さんに聞いて薬歴に残しておくと、次回の差分を見つけやすくなります。

2. 外部熱源の注意は3製剤に集中している

「貼付部位を温めない」は貼付剤の一般常識のように語られますが、電子添文の記載を並べると濃淡がはっきり分かれました。

図1:熱に関する電子添文の記載は3層に分かれる

A:過量投与のおそれとして記載

フェントステープ
デュロテップMTパッチ
ノルスパンテープ

外部熱源への接触、熱い温度での入浴を避ける

B:適用上の注意として記載

アリドネパッチ
ニュープロパッチ
ハルロピテープ

外部熱(過度の直射日光、あんか、サウナ等)に曝露させない

C:外部熱源についての記載なし

イクセロンパッチ、ロナセンテープ、ビソノテープ、ホクナリンテープ、ジクトルテープ、アレサガテープ、フランドルテープ、ネオキシテープ、エストラーナテープ、メノエイドコンビパッチ

記載がないことは「温めてよい」を意味しません。ロナセンテープには直射日光についての記載が別項(8.6)にあります

出典:各製剤の電子添文(2026年9月7日確認)を筆者が読み比べて分類

Aの3製剤はいずれもオピオイド鎮痛薬です。
フェントステープとデュロテップMTパッチは「1. 警告」に「本剤貼付中は、外部熱源への接触、熱い温度での入浴等を避けること」を置き、ノルスパンテープには警告の項がありません。

ただし具体的な熱源の名指しは、3製剤とも「8. 重要な基本的注意」の8.10に同じ文面で置かれています。
電気パッド、電気毛布、加温ウォーターベッド、赤外線灯、集中的な日光浴、サウナ、湯たんぽを挙げ、貼付部位の温度が上昇すると有効成分の吸収量が増加して過量投与になるおそれがあると記載しています。
フェンタニルの2製剤は「死に至るおそれ」まで書き、ノルスパンテープは「過量投与になるおそれ」と書く点が異なります。

Bの3製剤は「外部熱(過度の直射日光、あんか、サウナなどのその他の熱源)に曝露させないこと」という共通の書き方で、アリドネパッチには「貼付部位の温度が上昇すると本剤からのドネペジルの吸収量が増加し、血中濃度が上昇するおそれがある」と理由が添えられています。

Cの10製剤に記載がないのは、経皮吸収の温度依存性がないという意味ではなく、その製剤の安全性プロファイルのなかで注意喚起の対象になっていないという整理です。
在宅で電気毛布やこたつを使う患者さんの話を聞いた場合、記載の有無にかかわらず貼付部位の重なりは確認しておく価値があります。

もう一つ、フェントステープ、ハルロピテープ、アレサガテープの3製剤には「1日毎に貼り替えるため、貼付開始時刻の設定にあたっては入浴等の時間を考慮することが望ましい」という記載があります。
入浴の直前に貼り替えるか、直後に貼り替えるかで手技のしやすさが変わるため、導入時に決めておくと運用が安定します。

3. 重複貼付の注意を明記するのは中枢神経系の5製剤

「貼り替えの際は先に貼付した製剤を除去したことを十分に確認するよう患者及び介護者等に指導すること」という趣旨の記載があったのは、次の5製剤でした。

製剤 領域 電子添文が挙げる理由
イクセロンパッチ/リバスタッチパッチ アルツハイマー型認知症 除去せず新たに貼付すると過量投与となるおそれ
アリドネパッチ アルツハイマー型認知症 除去せず新たに貼付すると過量投与となるおそれ
ニュープロパッチ パーキンソン病、レストレスレッグス症候群 血中濃度が上昇するおそれ
ハルロピテープ パーキンソン病 除去せず新たに貼付すると血中濃度が上昇
ロナセンテープ 統合失調症 除去せず新たに貼付すると血中濃度が上昇

5製剤に共通するのは、患者本人ではなく家族や介護者が貼り替える場面が多い薬剤という点です。
アリドネパッチの電子添文には「医療従事者、家族などの管理のもとで使用すること」と用法及び用量に関連する注意として書かれており、貼る人が複数いる前提で設計されています。

一方、麻薬性鎮痛薬であるフェントステープ、デュロテップMTパッチ、ノルスパンテープの電子添文には、この「除去を確認するよう指導する」という文言はありませんでした。
麻薬は交付時の説明や廃棄の管理が別途求められる薬剤ですが、電子添文の文面としては重複貼付の注意喚起が中枢神経系の5製剤に集中しています。
剥がし忘れのリスクを患者背景から評価する場面では、この差を知っておくと説明の力点を置く場所が決めやすくなります。

ロナセンテープはこの注意を、14.1.2(薬剤交付時の注意)と14.3.4(薬剤貼付時の注意)の2か所に重ねて記載していました。
関連する監査の視点は抗精神病薬の処方監査にも整理しています。

4. 剥がれたときの対応は製剤ごとに違う

ここが実務でもっとも迷う箇所です。
「途中で剥がれた」という同じ状況に対して、電子添文の指示は5通りに分かれていました。

図2:剥がれたときの指示は5パターン

① 元の予定時刻まで貼る(スケジュール維持)

フェントステープ:直ちに同用量の新たな製剤に貼り替え、剥がれた製剤の貼り替え予定であった時間まで貼付

② 翌日から通常の時刻に戻す

イクセロンパッチ:その時点で新しい製剤に貼り替え、翌日より通常通りの時間に貼り替えを行う

③ 次の予定時刻に改めて貼り替える

アリドネパッチ:その時点で貼り替え、予定していた次の貼り替え時間に改めて新しい製剤に貼り替え/アレサガテープも同趣旨

④ 直ちに新たな製剤を貼る(その後の記載なし)

ハルロピテープ、ネオキシテープ、ジクトルテープ:途中ではがれ落ちた場合は直ちに新たな本剤を貼付

⑤ 貼り替えて、そこから改めて7日間(スケジュール再設定)

ノルスパンテープ:粘着力が弱くなった場合は直ちに同用量の新たな製剤に貼り替え、そこから7日間貼付。その際は現在とは異なる部位に貼付

出典:各製剤の電子添文「14. 適用上の注意」(2026年9月7日確認)

⑤のノルスパンテープは、貼り替えた時点から7日間を数え直すため、以後の貼り替え曜日が元の予定からずれます。
7日毎の製剤で曜日を決めて運用している場合、剥がれた日を境に予定表を書き直す必要があります。

②と③は結果が変わります。
イクセロンパッチは翌日の通常時刻まで貼り替えないため、その日の使用枚数は原則1枚のままです。
アリドネパッチとアレサガテープは元のスケジュールに戻すので、剥がれた時刻によっては同じ日に2枚使うことになります。
どちらも電子添文どおりの運用ですが、「剥がれたら新しいのを貼って、あとは元どおり」で全製剤を説明すると、製剤によっては指示とずれます

剥がれかけの扱いにも差があります。
ビソノテープは「本剤が皮膚から一部剥離した場合は、絆創膏等で剥離部を固定すること」、ロナセンテープは「一部剥離し粘着力が弱くなった場合は、サージカルテープ等で縁を押さえること。本剤が剥離した場合は、再貼付又は必要に応じて新しいものを貼付すること」と記載しています。
ニュープロパッチには「貼付後、20〜30秒間手のひらでしっかり押し付けて、本剤が皮膚面に完全に接着するようにすること」という手技の指示があり、剥がれを防ぐ側の記載が置かれています。

5. MRI、AED、直射日光に関する製剤固有の注意

16製剤を横断すると、その製剤にしか書かれていない注意がいくつかありました。

注意 記載がある製剤 電子添文の内容
MRI検査 ノルスパンテープ MRI(核磁気共鳴画像法)による検査を実施する場合は前もって本剤を除去する。貼付部位に火傷を引き起こすおそれがある(14.4.4)
AED フランドルテープ 自動体外式除細動器(AED)の妨げにならないように貼付部位を考慮するなど、患者、その家族等に指導することが望ましい(14.1)
剥がした後の直射日光 アリドネパッチ 本剤を剥がした後は、貼付部位への直射日光を3週間は避けるよう指導する(14.2.6)
剥がした後の直射日光 ロナセンテープ 光線過敏症が発現するおそれがあるので衣服で覆う等、貼付部位への直射日光を避ける。剥がした後1〜2週間は貼付していた部位への直射日光を避ける(8.6)
同一部位の休止期間 アリドネパッチ 皮膚刺激を避けるため貼付部位を毎回変更し、同一部位への貼付は7日以上の間隔をあける(14.2.5)

MRIの記載が電子添文にあったのは、この16製剤ではノルスパンテープだけでした。
ノルスパンテープは添加剤にアルミニウムアセチルアセトナートを含みます。
なお他製剤の電子添文にも「アルミ」の語は出てきますが、そのほとんどは包装のアルミ袋についての記載であり、製剤そのものの組成とは別です。
検査前の確認では、電子添文の記載の有無だけでなく、採用品の支持体の材質を製造販売業者に問い合わせる場面が出てきます。

「剥がした後も直射日光を避ける」という指示は、アリドネパッチ(3週間)とロナセンテープ(1〜2週間)の2製剤にあり、期間が異なります。
夏場の屋外作業や、半袖になる季節の説明では、貼っている間だけでなく剥がした後の期間も伝える必要があります。

同一部位の休止期間を日数で示していたのはアリドネパッチだけで、他の製剤は「毎回変更する」「繰り返し同一箇所には貼付しない」という書き方でした。
貼付部位のローテーション表を作る場合、アリドネパッチだけは7日以上の間隔という条件が加わります。

6. 使用済み製剤の廃棄

貼付24時間後や72時間後も製剤中には有効成分が残っています。
電子添文では「粘着面(接着面)を内側にして貼り合わせる/折りたたむ」「小児の手及び目の届かない所に安全に廃棄する」という指示が共通しています。

フェントステープ、デュロテップMTパッチ、ノルスパンテープは麻薬または向精神薬としての取り扱いが別途必要です。
薬局での回収・廃棄の手順は薬局の麻薬廃棄実務に整理しています。
がん疼痛でのオピオイド全体の考え方はがん性疼痛コントロール完全ガイドを参照してください。

イクセロンパッチ、アリドネパッチ、ニュープロパッチは、廃棄に加えて「本剤を扱った後は手を洗い、手洗い前に目に触れないこと」を記載しています。
介護者が続けて別の作業に移る場面を想定した記載で、貼り替えの手順を紙に書いて渡すときに入れておきたい一文です。

薬価基準から数えた貼付剤の全体像

今回、薬価基準収載品目リスト(令和8年8月13日適用)の外用薬から品名に「テープ」「パッチ」「貼付」「パップ」を含む品目を抽出したところ、246品目・29成分ありました。
成分別の内訳は次のとおりです。

区分 成分数 品目数 品目数の多い成分
全身作用をねらう成分 17 175 リバスチグミン50、フェンタニル40、ツロブテロール23
局所作用が中心の成分ほか 12 71 ロキソプロフェン20、ケトプロフェン14、インドメタシン9

品目数が最も多いのはリバスチグミンの50品目で、次いでフェンタニル(デュロテップMTパッチとその後発品)が40品目、ツロブテロールが23品目でした。
後発品を含めると、同じ成分でも製品名・規格・製造販売業者が分かれます。
貼付剤は「製品名で覚える」より「成分名と規格で照合する」ほうが、変更調剤や重複の確認が確実です

局所作用が中心の湿布薬との違いはテープ剤とパップ剤の違いに整理しています。
なお、ロコアテープ(エスフルルビプロフェン・ハッカ油)は患部に貼る製剤ですが、電子添文に「本剤2枚貼付時の全身曝露量がフルルビプロフェン経口剤の通常用量投与時と同程度に達する」と記載され、1日貼付枚数は2枚を超えないこととされています。
貼付部位の指定は患部でも、全身曝露の観点では内服のNSAIDsと同じ扱いが必要な製剤です。

電子添文の改訂を追う習慣を整えたい方へ

今回確認した製剤だけでも、改訂年月は2023年10月から2026年7月まで幅がありました。
一次資料を確認する時間と、日々の医療情報に触れる時間を分けておくと、変更点を整理しやすくなります。
情報収集先の一つとして、m3.comの特徴と薬剤師向けの使い方をまとめています。

よくある質問

貼付部位は、電子添文に書かれた場所以外に貼ってはいけないのですか

電子添文の「6. 用法及び用量」に書かれた部位は、その部位で薬物動態が確認されている場所です。
指定外の部位に貼った場合の吸収は保証されていないため、指定内で選ぶのが原則になります。
アレサガテープのように、複数部位での単回投与時のAUCを比較した試験成績が電子添文に載っている製剤もあります。
指定部位に皮膚障害があって貼れない場合は、剤形変更を含めて処方医と相談する場面です。

入浴のときは剥がしたほうがよいのですか

今回確認した16製剤の電子添文に、入浴時に剥がすよう指示した記載はありませんでした。
フェントステープ、デュロテップMTパッチ、ノルスパンテープは「熱い温度での入浴を避ける」という書き方で、剥がすことではなく湯温を求めています。
フェントステープ、ハルロピテープ、アレサガテープは、貼付開始時刻を決めるときに入浴の時間を考慮することが望ましいと記載しています。

剥がれた製剤を貼り直してもよいですか

製剤によります。
ロナセンテープは「本剤が剥離した場合は、再貼付又は必要に応じて新しいものを貼付すること」と再貼付を認めています。
一方、ハルロピテープ、ネオキシテープ、ジクトルテープは「直ちに新たな本剤を貼付する」と書かれており、新しい製剤を使う前提です。
採用品の電子添文で確認してください。

ホクナリンテープの小児用量はどう確認しますか

ホクナリンテープの電子添文には、0.5〜3才未満に0.5mg、3〜9才未満に1mg、9才以上に2mgと年齢区分で記載されています。
体重ではなく年齢による区分である点が、体重換算が中心の内服薬と異なります。
年齢区分の境目にあたる患者さんでは、処方内容と生年月日を照合しておくと確認が早くなります。
体重ベースの確認手順は小児用量計算チェックシートに整理しています。

貼付剤なら肝初回通過効果を受けないので、内服より安全ということですか

そうは言えません。
経皮吸収型製剤は消化管を通らないという特徴がありますが、全身循環に入った後の代謝や相互作用は内服薬と同様に生じます。
ロナセンテープにはCYP3A4を強く阻害する薬剤との併用禁忌があり、ジクトルテープには重篤な腎機能障害・肝機能障害の患者への禁忌があります。
投与経路が変わっても、禁忌と相互作用の確認は必要です。

確認した内容を、次回の監査につなげる

貼付剤の監査は、1製剤ずつ電子添文を開けば答えが出ます。
ただし複数の貼付剤を扱う薬局では、「この製剤は7日毎」「この製剤は剥がした後も直射日光を避ける」という違いを毎回引き直すことになります。
採用品について、貼付部位・交換間隔・熱の記載・剥がれたときの対応・製剤固有の注意を一覧にしておくと、次に同じ質問を受けたときに開く場所が決まります。

薬歴には、患者さんが実際に貼っている部位、貼り替えの曜日と時刻、貼り替えを行っている人、入浴や暖房器具の使い方、剥がれた経験の有無を分けて残しておくと、次回の差分が見えます。

電子添文は改訂されます。
今回確認した中でも、リバスタッチパッチは2026年7月改訂(第5版)、ロナセンテープは2026年6月改訂(第11版)、ニュープロパッチは2025年12月改訂(第3版)、ホクナリンテープは2024年7月改訂(第3版)と版が分かれていました。
記録には製品名と改訂年月まで残しておくと、更新の必要があるかを判断しやすくなります。

同じ監査の視点で、パーキンソン病治療薬の処方監査シート抗認知症薬の使い分け降圧薬5系統の使い分けも確認できます。
外用剤全般の基剤の考え方は軟膏・クリーム・ローションの違いにまとめています。

在宅や緩和ケアの現場に関わりたい方へ

貼付剤の管理は、貼る人が誰かによって説明の設計が変わります。
在宅医療に関わる働き方を検討する場合は、業務範囲と労働条件を先に整理しておくと判断がぶれません。
在宅薬剤師へ移る前の職務設計シートで9項目にまとめています。
在宅・訪問同行の求人を扱うエージェントとしては、ファルマスタッフの評判・口コミで特徴と注意点を整理しました。
複数社を使う場合の管理方法は転職エージェント併用管理シートを参考にしてください。

参考資料と更新時の確認先

  • 厚生労働省:薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について(令和8年8月13日適用)。外用薬の収載品目リストから、品名に「テープ」「パッチ」「貼付」「パップ」を含む246品目を抽出し、成分別に集計(2026年9月7日確認)。
  • PMDA:医療用医薬品 添付文書等情報検索。フェントステープ、デュロテップMTパッチ、ノルスパンテープ、イクセロンパッチ、リバスタッチパッチ、アリドネパッチ、ニュープロパッチ、ハルロピテープ、ロナセンテープ、ビソノテープ、ホクナリンテープ、ジクトルテープ、アレサガテープ、フランドルテープ、ネオキシテープ、エストラーナテープ、メノエイドコンビパッチ、ロコアテープの電子添文で、用法及び用量、用法及び用量に関連する注意、重要な基本的注意、適用上の注意を確認(2026年9月7日確認)。

本記事は2026年9月7日に確認した電子添文および薬価基準収載品目リストに基づく、薬剤師向けの実務整理です。
経皮吸収型製剤の適応、用量調節、副作用対策を網羅した資料ではありません。
記載の分類(熱源の記載の有無、剥がれたときの対応など)は、筆者が各製剤の電子添文を読み比べて整理したものです。
品目数の集計は令和8年8月13日適用の薬価基準収載品目リストを対象としており、以後の収載・削除は反映されていません。
実際の監査では採用品の最新の電子添文と患者情報を確認し、疑義は処方医と解消してください。

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