2026年6月の調剤報酬改定で、服薬管理指導料は薬学管理料の中核として再整理されました。かかりつけ薬剤師指導料(76点)が独立項目として廃止され、服薬管理指導料1のイに統合。さらに「手帳活用実績が少ない薬局」向けの特例13点が継続適用となり、現場では「どの患者がどの区分に該当するのか」「どの加算と組み合わせて算定できるのか」の判定が複雑化しています。
本記事では、服薬管理指導料1〜4の点数・算定要件・お薬手帳の評価・特例13点・新設加算(フォローアップ加算50点/訪問加算230点)まで、薬局現場の実務に直結する形で完全整理します。
- 服薬管理指導料1(45点)・2(59点)・3(45点)・4(45点/59点)の区分と判定フロー
- イ・ロ(かかりつけ薬剤師の有無)の取扱いと地域支援体制加算への影響
- 「特例13点」の対象薬局・判定式・回避策
- 新設加算(かかりつけ薬剤師フォローアップ加算50点・訪問加算230点)との関係
- レセコン設定・記録テンプレ・お薬手帳記載のポイント
もくじ
1. 服薬管理指導料の改定後の全体像
2026年6月改定では、薬学管理料の枠組みが「服薬管理指導料を中心に集約・整理する」方針で再編されました。最大の変化は次の3点です。
- かかりつけ薬剤師指導料(旧76点)が廃止され、服薬管理指導料1のイ(45点)に統合
- かかりつけ薬剤師包括管理料(旧291点)が廃止。包括対象だった処方は通常の調剤報酬体系で個別算定
- かかりつけ薬剤師の継続評価として、フォローアップ加算(50点)・訪問加算(230点)が新設
結果として、服薬管理指導料は「再来局+手帳提示」=45点、「初回・3月超」=59点を骨格とした4区分体系に整理されました。
| 区分 | 対象患者・条件 | 点数 | 算定上限 |
|---|---|---|---|
| 指導料1 イ/ロ |
原則3月以内に再度処方箋を持参し、かつお薬手帳を提示した患者 イ:かかりつけ薬剤師が実施/ロ:その他の薬剤師 |
45点 | 受付ごと |
| 指導料2 イ/ロ |
指導料1以外の患者(初回、3月超、手帳未提示など) | 59点 | 受付ごと |
| 指導料3 | 介護施設等の入所患者を訪問して服薬指導を実施 | 45点 | 月4回まで |
| 指導料4 イ/ロ/ハ/ニ |
情報通信機器を用いた服薬指導(オンライン服薬指導) イ:3月以内再来+手帳提示/施設入所患者=45点 ロ・ハ・ニ:在宅通院困難・急変時・初回等=59点 |
イ:45点 ロ/ハ/ニ:59点 |
受付ごと ※ロ・ハは在宅と合算月4回 |
| 特例 | 手帳活用実績が「3月以内再来局のうち手帳提示割合50%以下」の薬局で算定 | 13点 | 受付ごと |
2. 服薬管理指導料1(45点)の算定要件
服薬管理指導料1は「再来局+お薬手帳提示」が最大の判定軸です。具体的には次の2要件をいずれも満たす必要があります。
- 原則3月以内に再度処方箋を持参した患者(同一薬局での再来局)
- お薬手帳が提示された(紙手帳または電子版どちらでも可)
イ・ロの違いとレセプト記載
2026年改定で新設された「イ・ロ」の区別は、その回の服薬指導を「かかりつけ薬剤師」が実施したかどうかで決まります。点数は45点で同一ですが、レセプト摘要欄に「イ」「ロ」の別を記載する必要があります。
| 区分 | 実施者 | 補足 |
|---|---|---|
| イ | かかりつけ薬剤師として届出済みの薬剤師 | かかりつけ薬剤師同意書(患者署名)が必要。地域支援体制加算の実績要件にカウントされる |
| ロ | その他の薬剤師 | 通常の服薬指導。地域支援体制加算の「イ算定実績」要件にはカウントされない |
つまり、点数は同じでも「イ」を算定できる体制があるかどうかが、薬局全体の地域支援体制加算の取得可否に直結する構造になっています。
3. 服薬管理指導料2(59点)と判定の落とし穴
服薬管理指導料2は「指導料1以外の患者」に算定する59点の区分です。具体的には次のいずれかに該当する場合に算定します。
- 当該薬局が初めての患者(新規来局)
- 前回処方箋持参から3月超が経過している患者
- お薬手帳の提示がなかった患者(手帳忘れ・電子手帳の閲覧拒否含む)
現場でよくある誤算定が、「手帳を持参しているが、提示を求めなかった/確認漏れ」のパターンです。レセプト上は「手帳提示なし」となり、指導料1ではなく指導料2(59点)で算定すべきものを誤って45点で算定すると、月遅れの再請求が必要になります。
- 手帳未提示なのに指導料1(45点)を算定 → 59点に修正
- かかりつけ薬剤師の同意書がないまま「イ」で算定 → 「ロ」に修正
- 3月超なのに前回扱いで45点算定 → 59点に修正
4. 服薬管理指導料3(介護施設訪問)の算定上限
服薬管理指導料3は介護施設等に入所中の患者を薬剤師が訪問して服薬指導を行った場合に算定する区分で、1患者につき月4回までに限定されています。点数は45点です。
対象施設は介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院・特別養護老人ホーム等で、訪問時には次の3点をすべて満たす必要があります。
- 薬剤師が施設を訪問し、対面で服薬指導を実施
- 薬剤管理指導記録を作成・保管
- 処方医・施設職員と必要な連携を実施
在宅患者訪問薬剤管理指導料との同時算定はできません。患者が「居宅扱い」か「施設扱い」かで算定区分が変わるため、初回訪問時に必ず施設種別を確認してください。
5. 服薬管理指導料4(オンライン服薬指導)
情報通信機器を用いた服薬指導(オンライン服薬指導)は、服薬管理指導料4として整理され、対象患者により4区分に分かれます。
- イ(45点):3月以内再来+手帳提示の患者、または介護老人福祉施設等の入所患者
- ロ(59点):在宅で療養している通院困難な患者
- ハ(59点):ロの対象患者で、状態急変等により対応した場合
- ニ(59点):初回来局・3月超再来・手帳未提示など、上記イ〜ハに該当しない患者
ロ・ハについては、在宅患者訪問薬剤管理指導料と合算で月4回まで(厚労省告示の特定患者は月8回)が上限です。
注意点として、オンライン服薬指導で受け付けた処方箋は、処方箋集中率の分母・分子から除外されます。集中率が高い薬局がオンライン服薬指導を導入すると、集中率指標の改善に寄与する場合があります(調剤基本料の区分判定・地域支援体制加算の要件影響)。
6. 「特例13点」の判定式と回避策
2026年改定でも継続される「服薬管理指導料の特例」は、お薬手帳活用が不十分な薬局へのペナルティ的減算です。対象になると、指導料1のすべてのケースで45点ではなく13点しか算定できなくなります。
判定式
(3月以内再来局のうち、手帳を提示した患者への指導料1算定回数)
÷(3月以内再来局への指導料1算定回数の合計)× 100
→ この値が 50% 以下 となった薬局が特例(13点)の対象
- 判定期間:前年5月1日 〜 当年4月30日(1年間)
- 適用期間:当年6月1日 〜 翌年5月31日(1年間)
- 解除条件:直近3月間の割合が50%超に回復した場合、翌月から特例適用外
回避するための実務ポイント
- レセコン画面に「手帳提示有無」のデフォルト表示を出し、入力漏れを防ぐ
- 初回投薬時にマイナポータル連携・電子お薬手帳の登録案内を実施(電子手帳の閲覧承諾も「提示」扱い)
- 月次で手帳活用率をモニタリング(50%を下回りそうなら患者声かけ強化)
7. 新設加算との関係:フォローアップ加算・訪問加算
かかりつけ薬剤師指導料の廃止に伴い、かかりつけ薬剤師の継続評価として2つの加算が新設されました。いずれも「服薬管理指導料1のイ」または「服薬管理指導料2のイ」を算定した患者が対象です(=かかりつけ薬剤師が指導した回に限る)。
フォローアップ加算の追加要件:上記の服薬管理指導料の算定に加えて、直近6月以内に「外来服薬支援料1」「服用薬剤調整支援料1または2」「調剤管理料の調剤時残薬調整加算」「薬学的有害事象等防止加算」のいずれかを算定している患者であることが必要です。一方向的な情報発信のみや定型的なチェック入力のみでは算定不可。
訪問加算の追加要件:患者または家族等の求めに応じて訪問することが要件で、外来服薬支援料1・施設連携加算・在宅患者訪問薬剤管理指導料・服薬情報等提供料・居宅療養管理指導費のハ等を算定している患者は対象外です。患家訪問の交通費は患者負担となります。
詳細は【2026年6月改定】かかりつけ薬剤師フォローアップ加算50点・訪問加算230点の算定実務で実務記録テンプレ付きで解説しています。
8. お薬手帳記載のポイント(指導料1を維持するために)
指導料1(45点)を算定するには「お薬手帳の提示」が必須要件ですが、それだけでなく提示された手帳に薬剤師として記載・更新することも実務上重要です。記載漏れがあると、保険者からの算定指導時に「適切な手帳の活用」と認められない可能性があります。
- 処方薬剤名・用法・用量・調剤日
- 残薬調整や疑義照会の結果
- かかりつけ薬剤師として指導した場合は「かかりつけ薬剤師として対応」の旨
- 次回服薬指導の予告(フォローアップ加算を視野に入れる場合)
9. レセコン設定とレセプト摘要欄記載
2026年6月施行に向けて、各レセコンベンダーから服薬管理指導料の「イ・ロ」フラグ追加のアップデートが順次配信されます。施行前に必ず次の3点を確認してください。
- 「かかりつけ薬剤師」フラグの登録:届出済みかかりつけ薬剤師の薬剤師マスタに「イ算定可」を設定
- 「手帳提示」入力欄のデフォルト挙動:未入力時のデフォルトが「提示なし」になっているか確認(提示ありがデフォルトだと指導料2を取り逃す)
- レセプト摘要欄の自動出力:イ・ロの別、特例該当の旨が摘要欄に自動表示されるか
10. よくある質問(FAQ)
Q1. 初回来局でかかりつけ薬剤師契約を同時に締結した場合、「指導料1イ」と「指導料2イ」のどちらで算定?
A. 初回来局なので服薬管理指導料2のイ(59点)で算定します。指導料1は「3月以内再来局+手帳提示」が要件のため、初回には適用できません。
Q2. 電子お薬手帳の閲覧承諾だけでも「手帳提示」と認められる?
A. はい、認められます。マイナポータル連携や電子お薬手帳アプリでの閲覧承諾は紙手帳の提示と同等に扱われます。ただし、薬剤師として記載・更新を電子手帳側にも反映する必要があります。
Q3. 特例13点の対象になった場合、地域支援体制加算も同時に取れない?
A. 特例該当そのものが直接の不算定理由ではありませんが、地域支援体制加算は「指導料1イの算定実績」を要件としているため、手帳活用率が低い薬局は地域支援体制加算の取得も困難になる可能性が高いです。詳細は地域支援・医薬品供給対応体制加算 算定要件チェックリスト2026を参照してください。
Q4. 服薬管理指導料3(介護施設)と在宅患者訪問薬剤管理指導料は併算定できる?
A. できません。患者が「居宅扱い」か「施設扱い」かで算定区分が完全に分かれます。施設入所中の患者を訪問した場合は服薬管理指導料3、居宅療養中の患者を訪問した場合は在宅患者訪問薬剤管理指導料となります。
11. まとめ:6月施行までに整える3つの実務
2026年6月改定で服薬管理指導料は「45点/59点」のシンプルな2本立てになりましたが、「イ・ロの判定」「特例13点の判定」「新設加算との連動」が新たな実務負荷となります。施行までに次の3点を整えてください。
- かかりつけ薬剤師同意書の点検:イ算定可の薬剤師×患者の組み合わせを台帳化
- 手帳活用率のモニタリング体制:月次で50%を下回らないよう声かけ強化
- レセコンの「イ・ロ」フラグ・特例フラグの動作確認:施行日から正しく出力されるかテスト印字
関連記事として、改定全体像は2026年調剤報酬改定まとめ|6月施行の主要6変更点、かかりつけ薬剤師指導料の廃止経緯はかかりつけ薬剤師指導料の廃止と新体系、選定療養との連動は選定療養2026変更点もあわせてご確認ください。
m3.comは薬剤師・医療従事者向けの会員制情報サイト。調剤報酬改定の解説記事・算定Q&A・診療報酬セミナーが登録無料で読み放題。空き時間の情報収集に最適です。


