「バイオ後続品って、どうやって患者さんに説明すればいいんだろう……」
「体制加算50点は算定できるの?特定薬剤管理指導加算3ロとどう違うの?」
2026年6月改定でバイオ後続品に関するルールが大きく変わりました。保険薬剤師の説明義務の明文化、2つの新たな加算の整理、インスリン製剤での注意点——覚えておかないと算定漏れや誤算定に直結します。
この記事では、特定薬剤管理指導加算3ロ(10点)の算定条件・回数制限・記録テンプレと、バイオ後続品調剤体制加算50点の届出・施設基準、さらに現場で使える患者説明フレーズをまとめて解説します。
2026年改定の全体像を把握したい方は、まず【2026年調剤報酬改定】薬局・薬剤師への影響まとめをご参照ください。
もくじ
バイオ後続品とは?薬剤師が押さえるべき基礎
バイオ後続品(バイオシミラー)とは、先行バイオ医薬品(原薬が生物由来の医薬品)と同等の品質・有効性・安全性が確認された後続品のことです。
通常のジェネリック医薬品(化学合成品)と異なり、タンパク質や抗体を生物(微生物・細胞株)から製造するため、製造工程によって微妙な構造の違いが生じます。これがバイオシミラーについて薬剤師の説明が特に重要になる理由です。
バイオシミラーとジェネリックの詳しい違いは【薬剤師向け】バイオシミラーとジェネリックの違い|製剤・適応・薬価・服薬指導を徹底解説で解説しています。
現在日本で使用されている主なバイオ後続品にはインスリン製剤・インフリキシマブ・エタネルセプト・リツキシマブ・トラスツズマブ等があります。薬価差の縮小が進む中で、加算制度を正しく理解することが薬局経営に直結します。
2026年6月改定で変わった3つのポイント
① 保険薬剤師の「説明・調剤努力義務」が明文化された
保険薬剤師療養担当規則の改正により、バイオ後続品に関する説明を適切に行い、バイオ後続品を調剤するよう努める義務が新たに明文化されました。
これまで「できれば推奨」の位置づけだったものが、制度的に義務化された形です。患者への説明を行わないことは規則違反となり得るという意識が現場に求められます。
② 特定薬剤管理指導加算3ロの算定対象にバイオ後続品が追加(10点)
特定薬剤管理指導加算3は、患者が医薬品を選択するために必要な説明を行った場合に算定できる加算(ロ:10点)です。2026年6月改定で「ロ」の算定対象が拡充され、バイオ後続品についての説明が追加されました。
- バイオ医薬品が一般名処方されている患者(銘柄指定なしの処方箋)に対し、バイオ後続品の品質・有効性・安全性等について説明を行った場合
- バイオ後続品が銘柄で処方されている患者に対し、同内容の説明を行った場合
詳細な算定フローは特定薬剤管理指導加算3「イ・ロ」完全攻略をあわせてご参照ください。
③ バイオ後続品調剤体制加算が新設(50点)
バイオ後続品を積極的に調剤している薬局を施設基準で評価する新加算です。施設基準を届け出た薬局でバイオ後続品(インスリン製剤を除く)を調剤した場合、1調剤につき50点を算定できます(特別調剤基本料A算定薬局は5点)。
📊 2026年6月改定:バイオ後続品関連2加算の比較
| 項目 | 特定薬剤管理指導加算3ロ | バイオ後続品調剤体制加算 |
|---|---|---|
| 点数 | 10点 | 50点(特別調剤基本料A薬局は5点) |
| 届出 | 不要 | 必要(様式87の3の7) |
| インスリン製剤 | ✅ 算定可 | ❌ 除外 |
| 算定回数 | 患者1人・当該医薬品につき初回1回のみ | 調剤のたびに算定可 |
| 主な要件 | 説明の実施+記録 | 施設基準届出+保管体制・掲示 |
※2026年6月1日施行の改定内容に基づく。
特定薬剤管理指導加算3ロの算定実務
対象患者と算定条件・回数制限
以下の2パターンの患者に対し、バイオ後続品の品質・有効性・安全性等について説明を行った場合に算定できます。
- パターンA:バイオ医薬品が一般名処方されている患者(銘柄指定なしの処方箋)
- パターンB:バイオ後続品が銘柄で処方されている患者
処方箋上で先行品銘柄が指定されており、かつ変更不可の指示がある場合は、医師への確認なしに変更することはできません。一般名処方または変更可指示がある場合のみが対象です。
⚠️ 重要:算定は当該医薬品につき初回1回のみ
特定薬剤管理指導加算3ロ(バイオ後続品説明)は、患者1人につき当該医薬品について最初に処方された1回のみ算定できます。同じ患者に同じ医薬品が継続処方される場合、2回目以降は算定できません。「毎回説明したから毎回算定できる」という誤解が起きやすいため注意してください。
インスリン製剤も算定できる(体制加算との重要な違い)
特定薬剤管理指導加算3ロにおけるインスリン製剤の扱いは、バイオ後続品調剤体制加算と大きく異なります。
バイオ後続品調剤体制加算はインスリン製剤を算定対象外としていますが、特定薬剤管理指導加算3ロはインスリンのバイオ後続品についての説明でも算定可能です。
インスリン グラルギン製剤・インスリン リスプロ製剤・インスリン アスパルト製剤のバイオ後続品を処方された患者への初回説明は、特定薬剤管理指導加算3ロとして10点算定できます。算定漏れが起きやすい部分なので注意してください。
薬歴への記録テンプレ
算定には説明内容の記録が必要です。以下のテンプレを参考にしてください。
📝 薬歴記録テンプレ(特定薬剤管理指導加算3ロ)
バイオ後続品の品質・有効性・安全性について説明実施(当該医薬品・初回)。先行品と同等の効果が確認されていること、製造工程の特性上わずかな構造差があること、万一副作用が生じた際は速やかに連絡するよう指導。患者より「理解した・後続品で構わない」との意向を確認。
→ 特定薬剤管理指導加算3ロ算定(初回)
バイオ後続品調剤体制加算50点の施設基準と届出
施設基準の3要件
バイオ後続品調剤体制加算を算定するには、以下の施設基準をすべて満たし、地方厚生(支)局長に届け出る必要があります。
- 適切な保管・管理体制:バイオ医薬品の特性を踏まえた保管・管理体制の整備
- 患者への説明体制:バイオ後続品についての適切な説明が可能な体制の整備
- 掲示義務:「バイオ後続品の調剤を積極的に行っている旨」を薬局の内側・外側の見やすい場所に掲示
実績要件は「努力目標」でよい
当初は「調剤実績のあるバイオ医薬品成分のうち、バイオ後続品の数量割合が80%以上となっている成分が60%以上」という実績要件が必須とされていましたが、最終通知で「望ましい」(努力目標)に変更されました。
実績が上記基準を下回っていても届出・算定は可能です。ただし毎年8月1日現在での基準適合性確認(定例報告:別紙様式3)が必要になります。
インスリン除外の落とし穴
インスリン グラルギン(ランタスBS等)・インスリン リスプロ(ヒューマログBS等)・インスリン アスパルト(ノボラピッドBS等)の3系統は、バイオ後続品調剤体制加算の算定対象外です。体制加算を算定することで後続品の患者負担が先行品を上回る逆転が生じるため除外されています。
ただし施設基準の実績計算(届出書類記載)にはインスリン製剤も含めて計算する点に注意が必要です。算定対象と施設基準の計算で、インスリンの扱いが異なります。
☑️ バイオ後続品調剤体制加算 届出前チェックリスト
| 確認事項 | 状況 |
|---|---|
| バイオ医薬品の保管・管理体制が整備されている | □ 完了 |
| 患者へのバイオ後続品説明体制が整備されている | □ 完了 |
| 薬局内外に「積極的調剤実施中」の掲示を設置した | □ 完了 |
| 届出様式87の3の7を作成した | □ 完了 |
| 地方厚生(支)局に届出を提出した(5月7日〜6月1日必着) | □ 完了 |
| 特別調剤基本料Bでないことを確認した | □ 完了 |
※2026年6月1日施行。届出受理後、翌月1日から算定開始。
現場で使える患者説明フレーズ集
バイオ後続品に不慣れな患者には、専門用語を避けた平易な説明が求められます。場面別フレーズを参考にしてください。
💬 バイオシミラー全般の説明
「今回のお薬は、いままでのお薬とほぼ同じ成分・効果のものです。国が”同等”と認めた製品で、副作用のリスクも変わりません。お薬代が少しお安くなる可能性があります。何か不安な点はありますか?」
💬 インスリンのバイオ後続品
「インスリンのバイオ後続品です。有効成分の効き方は先行品と同等です。自己注射の手技はこれまでと変わりません。注射後の反応がいつもと違うと感じたら、すぐにご連絡ください。」
💬 患者が不安を示した場合
「ご心配でしたら、先生にご相談することもできます。国の審査で先行品と同等と認められていますが、長年同じお薬を使用していて不安な方は、主治医と一緒に決めていただくのが安心です。」
よくある質問(Q&A)
- Q. 体制加算は届出なしで算定できますか?
- A. できません。バイオ後続品調剤体制加算(50点)は施設基準の届出が必須です。一方、特定薬剤管理指導加算3ロ(10点)は届出不要で、説明実施と薬歴記録のみで算定できます。
- Q. インスリンのバイオ後続品で体制加算50点は取れますか?
- A. 取れません。体制加算はインスリン製剤を明確に除外しています。ただしインスリンのバイオ後続品への説明で特定薬剤管理指導加算3ロ(10点)は算定可能です(初回のみ)。
- Q. 同じ患者に翌月も同じバイオ後続品が処方されたら、また3ロを算定できますか?
- A. できません。特定薬剤管理指導加算3ロ(バイオ後続品説明)は、患者1人につき当該医薬品について最初に処方された1回のみの算定です。継続処方の2回目以降は算定不可となります。
- Q. 先行品とバイオ後続品で効能・効果が異なる場合はどうすれば?
- A. 先行バイオ医薬品とバイオ後続品で効能・効果が一部異なる場合があります。効能外の疾患で使用している患者への変更は、必ず医師に確認してから対応してください。
まとめ
- 2026年6月改定で保険薬剤師のバイオ後続品説明・調剤努力義務が明文化された
- 特定薬剤管理指導加算3ロ(10点)は届出不要・インスリンも対象。ただし患者1人・当該医薬品につき初回1回のみ
- バイオ後続品調剤体制加算(50点)は届出必要(様式87の3の7)・インスリンは除外。実績要件は「努力目標」でOK
- インスリンのバイオ後続品は「体制加算:不可、指導加算3ロ:可(初回のみ)」と覚える
- 患者説明は平易な言葉で行い、薬歴に「初回」である旨を含めて記録すること
地域支援体制加算の算定要件については、【2026年6月改定】地域支援体制加算の算定要件チェックリストもあわせてご確認ください。
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