「後発医薬品使用体制加算」で検索してこの記事にたどり着いた方へ、まず結論をお伝えします。
この加算は、2026年6月1日をもって廃止されました。
廃止されたのは「後発医薬品使用体制加算(入院)」と「外来後発医薬品使用体制加算」の2種類です。同日、薬局が算定する「後発医薬品調剤体制加算」も廃止されています。これらに代わり、新設の加算へ移行することとなりました。
「なぜ廃止されたのか」「新しい加算の要件は何か」「薬局薬剤師にはどんな影響があるか」。本記事では、2026年診療報酬改定の一次ソースに基づき、実務に直結する情報を整理します。
もくじ
後発医薬品使用体制加算とは(廃止前の概要)
この加算は「病院・診療所」が算定する診療報酬の加算
まず重要な前提を確認します。「後発医薬品使用体制加算」は、薬局が算定する加算ではありません。病院・有床診療所・無床診療所(クリニック)など、医療機関が算定する診療報酬の加算です。
名前が似た「後発医薬品調剤体制加算」(薬局側の調剤報酬)と混同されやすいため、以下で整理します。
(入院・有床診療所)
・外来後発医薬品使用体制加算
(無床診療所の外来)
→ 2026年6月1日廃止
加算1・2・3
(薬局の調剤基本料加算)
→ 2026年6月1日廃止
廃止前の点数と算定要件
廃止直前(令和6年度改定後)の「後発医薬品使用体制加算」の点数は以下のとおりでした。
入院(病院・有床診療所):入院初日に算定
- 加算1:87点(後発品使用割合 90%以上)
- 加算2:82点(後発品使用割合 85%以上90%未満)
- 加算3:77点(後発品使用割合 75%以上85%未満)
外来(無床診療所):「外来後発医薬品使用体制加算」として院内処方を行う診療所のみが算定
- 加算1:8点(後発品使用割合 90%以上)
- 加算2:7点(後発品使用割合 85%以上90%未満)
- 加算3:5点(後発品使用割合 75%以上85%未満)
なぜ廃止されたのか
2026年度診療報酬改定の答申において、廃止の理由は明確に示されています。「後発品への置き換えが相当程度進展した」ことを踏まえ、後発品使用割合を評価する加算の役割は終えたと判断されました。
同時に浮上した新たな課題が「医薬品の安定供給確保」です。後発品を中心とした供給不安が続いており、使用割合だけを評価する加算体系では対応できない状況となっていました。そこで制度の目的を「使用促進」から「安定供給体制の構築」へと転換したのが今回の改定の核心です。
【2026年6月1日施行】廃止と新設加算への移行
新設加算の正式名称と点数
後発医薬品使用体制加算・外来後発医薬品使用体制加算の廃止後、医療機関が算定できる新加算が設けられました。入院と外来では加算の正式名称が異なりますのでご注意ください。
- 入院(病院・有床診療所):地域支援・医薬品供給対応体制加算
- 外来(無床診療所):地域支援・外来医薬品供給対応体制加算
| 加算区分 | 後発品使用割合 | 入院(地域支援・医薬品供給対応体制加算) | 外来(地域支援・外来医薬品供給対応体制加算) |
|---|---|---|---|
| 加算1 | 90%以上 | 87点 | 8点 |
| 加算2 | 85%以上90%未満 | 82点 | 7点 |
| 加算3 | 75%以上85%未満 | 77点 | 5点 |
出典:2026年度診療報酬改定答申(厚生労働省)/ GemMed
点数の水準は旧加算と変わりません。しかし、新加算では「医薬品の安定供給に資する体制の整備」が施設基準として追加されています。これが今回の最大の変更点です。
新加算の施設基準(追加要件)
- 薬事委員会等による後発品採用体制の整備(品質・安全性・安定供給体制等の情報収集・評価)
- 医薬品供給不足時の対応体制の構築(代替品確保・処方変更等への適切な対応)
- 適切な医薬品流通の実践:単品単価交渉の原則化・頻回配送や急配の抑制・返品の適正化
- 後発品使用割合の基準達成(加算区分に応じて75%以上〜90%以上)
- 後発品使用への積極的取り組みの院内掲示(入院受付・外来受付・支払窓口・ウェブサイトへの掲載)
「後発品を多く使う」評価から「安定供給を確保しながら後発品を使う」評価へ—制度の目的が大きく転換しています。
薬局側の変更(参考)
薬局の「後発医薬品調剤体制加算(加算1〜3)」も同日廃止され、「地域支援・医薬品供給対応体制加算(調剤)」へ移行しました。薬局側の詳細は以下をご参照ください。
▶ 地域支援・医薬品供給対応体制加算(薬局版)の算定要件はこちら
薬局薬剤師が知るべき3つの実務ポイント
「医療機関の加算だから薬局には関係ない」と思われるかもしれません。しかし薬局薬剤師にとっても知っておくべき理由が3つあります。
①連携先病院の後発品方針を把握できる
新加算を算定している病院は、後発品使用割合75%以上を達成し、安定供給体制を整えている医療機関です。在宅訪問や退院後フォロー時、連携先病院の加算区分を把握することで、その施設の後発品に対するスタンスが分かります。後発品への移行提案がスムーズになる場面も生まれます。
②患者への後発品説明の根拠に使える
「先生の病院でも、75〜90%以上の割合で後発品を使って施設基準を取得していますよ」という一言は、患者の後発品への抵抗感を和らげます。制度的な裏付けを根拠に、患者への服薬指導をより自信を持って行えます。
③薬局自身の体制加算と合わせて理解する
薬局の「地域支援・医薬品供給対応体制加算(加算1:27点)」の要件も、後発品使用割合85%以上+医薬品安定供給体制の整備です。医療機関と薬局が「安定供給体制」という共通視点で後発品に向き合うよう、制度が設計されています。自薬局の届出・体制整備の再確認にも役立ててください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 後発医薬品使用体制加算と後発医薬品調剤体制加算の違いは?
A. 算定主体が異なります。「後発医薬品使用体制加算(入院)」と「外来後発医薬品使用体制加算」は病院・診療所(医療機関)の診療報酬、「後発医薬品調剤体制加算」は薬局の調剤報酬です。いずれも2026年6月1日に廃止され、新設加算へ移行しています。
Q2. 旧加算の届出をしていた医療機関の経過措置は?
A. 薬局の「後発医薬品調剤体制加算」については、2026年3月31日時点で届出済みの保険薬局は、2027年5月31日までの間、後発品使用割合基準を満たすものとみなされる経過措置があります。医療機関(病院・診療所)側の後発医薬品使用体制加算の経過措置の有無については、各地方厚生局へ直接ご確認ください。
Q3. 後発品使用割合の計算から除外される品目・期間は?
A. 薬局の調剤報酬における計算では、経腸栄養剤・生薬・漢方製剤などは計算から除外されます。また供給不安医薬品については、2026年4月〜9月分診療等分まで計算から除外する特例措置が厚生労働省から示されています(医科・歯科・調剤いずれの新加算にも適用)。詳細は厚生労働省の最新通知をご確認ください。
まとめ
- 「後発医薬品使用体制加算(入院)」と「外来後発医薬品使用体制加算」は医療機関が算定する診療報酬の加算で、2026年6月1日に廃止
- 廃止の背景は後発品普及の進展——「使用促進」から「安定供給体制の構築」へ目的転換
- 新設加算の正式名称:入院は「地域支援・医薬品供給対応体制加算」、外来は「地域支援・外来医薬品供給対応体制加算」(別名称)
- 点数は旧加算と同水準(入院:77〜87点、外来:5〜8点)。医薬品安定供給体制の整備が新要件として追加
- 薬局の「後発医薬品調剤体制加算」も同日廃止——医療機関・薬局ともに制度が連動して転換
2026年調剤報酬改定の全体像は以下でまとめています。
▶ 【2026年改定まとめ】調剤報酬改定の全変更点を薬剤師向けに解説
▶ 【2026年】選定療養の変更点まとめ

