褥瘡の処方せんに「ユーパスタ」と「ゲーベン」が並んで出てきたとき、どちらをどの創に使うのか。滲出液が多い創に、水分を含むクリームを重ねてよいのか。
褥瘡の外用薬は、創の状態と処方目的を照らし合わせて選ぶ必要があります。
選択の軸は「創の状態」と「基剤の水分バランス」の2つです。
日本褥瘡学会の評価ツール「改定DESIGN-R®2020」で創を言葉にしたうえで、電子添文の基剤と注意事項を照合すると、薬剤師が処方医に伝えられる材料がそろいます。
本記事はPMDAの電子添文と日本褥瘡学会の公開資料をもとに整理しました。確認日:2026年10月3日。[1]
先に押さえる3点
- 滲出液が多い創では吸水性の基剤を検討します。感染徴候、壊死組織、創傷被覆材も併せて確認します。
- ゲーベンクリームは「外用感染治療剤」で、効能・効果に褥瘡の語はありません。
- ゲーベンクリームとブロメライン軟膏は、電子添文上の併用注意です。
褥瘡は病棟でも在宅でも出会う一方、外用薬の使い分けを体系的に学ぶ機会は多くありません。
日々の改訂情報を追う情報収集先として、m3.comの特徴と薬剤師向けの使い方も整理しています。
実際の判断では、配信記事の参照元となる電子添文や公式資料まで確認してください。
もくじ
褥瘡外用薬は「創の状態」と「基剤」で選ぶ
褥瘡の外用薬は、有効成分の薬理作用だけでは選べません。
同じ「肉芽を作る薬」でも、基剤が水を吸うのか与えるのかで、向く創が変わります。
滲出液が少ない創では保湿性、多い創では吸水性が基剤選択の手がかりになります。
ただし、創の深さ、感染徴候、壊死組織と創傷被覆材を含めて治療方針を決めるため、滲出液だけで薬剤を決めることはできません。[12]

滲出液が少ない創で用いられてきたオルセノン軟膏0.25%は、販売中止が案内されています。
創面が乾いている場合は、外用薬だけでなくドレッシング材の選択も含めて医師・看護師と相談することになります。
外用剤の基剤そのものの違いは、軟膏・クリーム・ローションの違いでも整理しています。
褥瘡以外の皮膚疾患で使うステロイド外用薬の強さ分類は、ステロイド軟膏の強さ分類を参照してください。
改定DESIGN-R®2020で創を言葉にする
「よくなっている気がする」では、処方提案の根拠になりません。
日本褥瘡学会の「改定DESIGN-R®2020」は、褥瘡の状態を7項目で採点する評価ツールです。[1]
採点で最も間違えやすいのは、深さ(Depth)の点数を合計に加えない点です。
合計点は深さを除いた6項目で計算します。
| 項目 | 小文字(軽度) | 大文字(重度)の点数 | 薬剤師が読み取る点 |
|---|---|---|---|
| Depth 深さ | d0〜d2 | D3〜D5、DTI、U (合計には加えない) |
DTI疑いは視診・触診と補助情報で評価します。DUは壊死組織で深さを判定できない状態です。 |
| Exudate 滲出液 | e0〜e1 | E6(1日2回以上の交換を要する多量) | 基剤を吸水性にするかどうかの最大の手がかりです。 |
| Size 大きさ | s0 | S3〜S15(長径×短径の値で区分) | 創の面積と使用量を考える材料になります。製剤ごとの用法を確認します。 |
| Inflammation/Infection 炎症・感染 | i0〜i1 | I3C(臨界的定着疑い)、I3、I9 | 3Cは創面のぬめりや滲出液増加などが評価の手がかりです。感染への対応は医師と確認します。 |
| Granulation 肉芽組織 | g0〜g3 | G4〜G6 | 肉芽が乏しければ、肉芽形成を促す薬剤が候補になります。 |
| Necrotic tissue 壊死組織 | n0 | N3(柔らかい)、N6(硬く厚い密着) | N6では壊死組織の除去方法を医師・看護師と確認します。 |
| Pocket ポケット | p0 | P6〜P24 | ポケットの有無と広がりを共有し、処置方法を確認します。 |
2020年の改定では、深さに「深部損傷褥瘡(DTI)疑い」、炎症・感染に「臨界的定着疑い(3C)」が追加されました。
3Cは「3」と記載しても点数は3点です。[1]
採点そのものは医師や看護師が行う場面が多い一方、薬剤師がE(滲出液)とN(壊死組織)とG(肉芽)を読めれば、外用薬の妥当性を自分の言葉で説明できます。
主な褥瘡外用薬の比較
褥瘡の現場で使われる主な外用薬を、電子添文の記載で比べます。
下表は網羅的な一覧ではありません。ドレッシング材や創傷被覆材は医薬品ではないため含めていません。
注意したいのは、現場で褥瘡に使われている薬剤のすべてが、効能・効果に「褥瘡」と書かれているわけではない点です。
ゲーベンクリームとアズノール軟膏は、電子添文の適応症に褥瘡の語がありません。
比較表では、この違いも並べて確認できるようにしました。
| 成分(製品例) | 効能・効果に 「褥瘡」の記載 |
基剤の性格 | 電子添文で確認する点 |
|---|---|---|---|
| 精製白糖・ポビドンヨード (ユーパスタ軟膏) |
あり 褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍) |
吸水性 | 禁忌は成分またはヨウ素への過敏症。ヨウ素含有製剤のため、大量・長期使用で甲状腺機能の変動に注意します。1日1〜2回。[2] |
| カデキソマー・ヨウ素 (カデックス軟膏0.9%) |
あり 褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍) |
吸水性(マクロゴール、カデキソマー) | 1g中ヨウ素9mg。禁忌はヨウ素過敏症。甲状腺機能異常・腎機能障害・重症熱傷の患者に注意の記載があります。1日1回約3mm厚、滲出液が多ければ1日2回。交換時は生理食塩液で十分に洗浄除去します。[3] |
| ヨウ素 (ヨードコート軟膏0.9%) |
あり 褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍) |
吸水性(マクロゴール、ポリアクリル酸部分中和物ほか) | 禁忌はヨウ素過敏症。1日1回、患部に約3mmの厚さで塗布します。[4] |
| スルファジアジン銀 (ゲーベンクリーム1%) |
なし 外用感染治療剤。適応症は「外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染」 |
水分を含むクリーム状(プロピレングリコール含有) | 禁忌は成分またはサルファ剤への過敏症、低出生体重児・新生児、軽症熱傷。ブロメラインとは併用注意。1日1回約2〜3mm厚で、2日目以降は前日分を洗い落としてから塗布します。貯法は室温保存。[5] |
| ブロメライン (ブロメライン軟膏5万単位/g) |
あり 熱傷・褥瘡・表在性各種潰瘍などの壊死組織の分解、除去、清浄化 |
水溶性(マクロゴール) | 潰瘍辺縁に触れないよう、潰瘍面よりやや小さめのガーゼに薄くのばします。壊死組織が除去されたら中止します。1日1回交換。[6] |
| トラフェルミン (フィブラストスプレー250/500) |
あり 褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍) |
スプレー(用時溶解) | 禁忌は投与部位の悪性腫瘍またはその既往、成分への過敏症。溶解後は10℃以下の冷暗所で2週間以内に使用します。[7] |
| ブクラデシンナトリウム (アクトシン軟膏3%) |
あり 褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、下腿潰瘍) |
吸水性(マクロゴール) | 貯法は10℃以下。禁忌の設定はありません。抗菌作用も壊死組織を積極的に融解する作用もありません。約6週間以上使用して改善がなければ外科的療法等を考慮します。[8] |
| アルプロスタジル アルファデクス (プロスタンディン軟膏0.003%) |
あり 褥瘡、皮膚潰瘍(熱傷潰瘍、糖尿病性潰瘍、下腿潰瘍、術後潰瘍) |
ゲル化炭化水素 | 禁忌は重篤な心不全、出血している患者、妊婦または妊娠している可能性のある女性、成分への過敏症。1日2回、1日塗布量10gを超える大量投与は避けます。[9] |
| ジメチルイソプロピルアズレン (アズノール軟膏0.033%) |
なし 「湿疹、熱傷・その他の疾患によるびらん及び潰瘍」 |
油脂性(精製ラノリン、白色ワセリン) | 創面の保護に用いられます。褥瘡の語は明記されていないため、採用品の効能表記を確認してください。[10] |
ヨウ素を含む3製剤は、いずれも「吸水性」という共通点を持ちます。
一方でゲーベンクリームは水分を含み、方向が逆です。「銀だから強い」ではなく、「水を与える薬か、吸う薬か」で並べると混乱しません。
製剤の電子添文や供給情報を継続して追うときは、m3.comの薬剤師向け情報収集法も参考になります。使用前にはPMDAと学会の原典へ戻って確認してください。
薬剤師が確認する8項目
1. ヨウ素含有製剤は甲状腺と腎機能をあわせて見る
ユーパスタ、カデックス、ヨードコートはいずれもヨウ素を含みます。
ユーパスタの電子添文は、ヨウ素含有製剤であるため大量使用および長期連用時には甲状腺機能の変動に注意するよう記載しています。[2]
カデックス軟膏0.9%の電子添文はさらに具体的で、甲状腺機能に異常のある患者では創面から吸収されたヨウ素により症状が悪化するおそれ、腎機能障害患者では血清中ヨウ素濃度が著しく上昇するおそれ、重症の熱傷の患者では広範囲の使用によりアシドーシスを起こすおそれが挙げられています。[3]
広範囲の褥瘡に長期間使う患者では、甲状腺疾患の既往、甲状腺関連の検査値、腎機能の情報をあわせて確認します。
ヨウ素含有外用剤やポビドンヨード製剤を使用した際の過敏症歴を、具体的な製品名と症状で確認します。
交換時の手順も見落とせません。カデックス軟膏は、交換時に生理食塩液等で十分に洗浄除去するよう記載されています。
吸水した薬剤が創に残ったまま重ね塗りされていないか、訪問時に確認する価値があります。
2. ゲーベンクリームは潰瘍の二次感染が適応
ゲーベンクリーム1%は、電子添文上「外用感染治療剤」に分類されます。
適応症は「外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、びらん・潰瘍の二次感染」で、効能・効果に褥瘡の語はありません。[5]
褥瘡の現場で使われているのは、潰瘍の二次感染に対する使用と理解できます。
ただし「褥瘡だから出る薬」と覚えていると、処方意図を取り違えます。感染の有無が処方の背景にあるかを確認してください。
禁忌は、成分またはサルファ剤に対する過敏症の既往、低出生体重児・新生児、軽症熱傷です。
成分やサルファ剤への過敏症歴を、処方監査時に確認します。
さらに、電子添文には注意すべき背景として、光線過敏症の既往歴、エリテマトーデス、グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G-6-PD)欠損症、腎機能障害、肝機能障害が挙げられています。
重大な副作用には汎血球減少、皮膚壊死、間質性腎炎の記載があります。外用薬ですが、全身性の副作用が想定されている薬剤です。
プロピレングリコールを含むため、広範囲熱傷に使用した場合は高浸透圧状態を来すことがあり、定期的な血清浸透圧の測定が求められています。
また用法には、2日目以降は前日に塗布した本剤を清拭または温水浴等で洗い落としてから新たに塗布する、と明記されています。1日1回、約2〜3mmの厚さです。
3. ゲーベンクリームとブロメライン軟膏は併用注意
見落とされやすい相互作用
ゲーベンクリームの電子添文は、外皮用酵素製剤(ブロメライン)を併用注意としています。
銀が酵素のSH基と結合し、酵素活性を減弱させる可能性があるため、外皮用酵素製剤の作用を減弱させるおそれがあると記載されています。[5]
「まずゲーベンで軟らかくして、次にブロメラインで壊死組織を取る」という順序は現場で語られることがありますが、同時に使う、あるいは前日分が残ったまま重ねる使い方は、電子添文上の併用注意にあたります。
ゲーベンクリームの適用上の注意には、使用時にできる限り温水浴やシャワー等を併用して創面の清浄化と壊死組織の除去を行うこと、他剤と混合しないことが記載されています。
両剤が処方されている場合は、使用する部位、時間帯、前の薬剤を洗い落とす手順を、医師・看護師と具体的に確認してください。
4. フィブラストスプレーは禁忌と保存条件をセットで伝える
トラフェルミンは細胞増殖促進作用を持つため、投与部位に悪性腫瘍がある患者、またはその既往歴のある患者が禁忌です。[7]
がん患者の褥瘡では、創部と腫瘍の位置関係を確認します。
用法は、潰瘍の最大径が6cm以内なら潰瘍面から約5cm離して5噴霧(トラフェルミンとして30μg)、1日1回です。
6cmを超える場合は同一潰瘍面に5噴霧されるよう操作を繰り返し、1日投与量は1000μgを超えません。
在宅で必ず伝える一言
フィブラストスプレーは用時溶解の製剤です。溶解後は10℃以下の冷暗所で保存し、2週間以内に使い切ります。
冷蔵庫のどこに置くか、いつ溶解したかを本体に書いておくか、介護者と一緒に決めておくと確実です。[7]
5. アクトシン軟膏は10℃以下保存
アクトシン軟膏3%の貯法は10℃以下です。[8]
常温で置かれる外用薬が多いなかで、これは見落とされやすい条件です。
交付時に冷蔵庫保存を伝え、訪問時には実際の保管場所も確認します。
電子添文には禁忌の設定がない一方、注意すべき記載が3つあります。
抗菌作用はないため感染があれば別の処置が必要なこと、壊死組織を積極的に融解する作用はないため使用前に必要に応じて壊死組織を除去すること、そして広範囲な創面に大量かつ長期に使用する場合は血圧・脈拍数・心電図・尿量・血糖値等の観察が求められることです。
6. ブロメライン軟膏は健常皮膚に触れさせない
ブロメラインは蛋白分解酵素です。
電子添文は、蛋白分解という主作用に基づいて局所の疼痛や出血をみることがあるため、壊死組織が除去された後は使用を中止して他の処置にかえるよう求めています。[6]
塗り方の記載も具体的で、潰瘍面よりやや小さめのガーゼやリントに薄くのばし、潰瘍辺縁に触れないように注意します。
臨床では周囲の健常皮膚をワセリンや亜鉛華軟膏で保護してから使う工夫が知られていますが、これは電子添文に明記された手順ではありません。処置の方法は医師・看護師と共有したうえで統一してください。
また前述のとおり、スルファジアジン銀との併用は注意が必要です。[5]
両剤が同じ患者に処方されている場合は、使用部位と手順を必ず確認します。
7. プロスタンディン軟膏は出血と心不全を確認する
プロスタンディン軟膏0.003%の禁忌には、重篤な心不全のある患者、出血(頭蓋内出血、出血性眼疾患、消化管出血、喀血等)している患者、妊婦または妊娠している可能性のある女性が含まれます。[9]
高齢の褥瘡患者では、抗血栓薬の服用や消化管出血の既往を持つ方が少なくありません。
外用薬だからと処方監査の対象から外さず、併用薬と既往歴を照合します。
1日塗布量として10gを超える大量投与は避けるとされている点も、創が広い症例では確認します。
8. 供給状況を毎回確認する
褥瘡外用薬は品目数が限られるため、1品目の供給が止まると代替の選択肢が一気に狭まります。
処方内容を見た時点で、採用品と在庫、そして供給情報を確認します。
供給情報の調べ方は医薬品安定供給状況等管理システムの使い方、直近の状況は医薬品の出荷調整情報まとめで整理しています。
オルセノン軟膏0.25%は販売中止が案内されている
肉芽形成促進薬として使われてきたオルセノン軟膏0.25%(トレチノイン トコフェリル)について、サンファーマ株式会社は2026年1月付で販売中止を案内しました。[11]
案内文では、供給再開に向けて取り組んだものの製造体制の再構築において複数の課題が解消に至らず、安定供給の見通しが立たない状況が続いたためと説明されています。
製造販売中止に伴う経過措置期間の満了は、2027年3月末となる見込みとされています。
図2 オルセノン軟膏0.25% 販売中止のタイムライン
2026年1月
サンファーマが販売中止を案内
2026年10月時点
処方があれば代替の相談が必要
2027年3月末
経過措置期間の満了見込み
代替薬は創の状態によって変わります。肉芽形成を期待していたのか、基剤の性格を期待していたのかを処方医と確認してから提案します。
代替薬を機械的に当てはめることはできません。
DESIGN-R®2020のG(肉芽組織)とE(滲出液)がどうだったかを共有したうえで、代替を相談するのが現実的です。
処方医が肉芽形成を期待していたのか、それとも創面の乾燥を避けたかったのかで、次の候補は変わります。
在宅と病棟での患者説明
褥瘡の外用薬は、多くの場合、患者本人ではなく家族や介護職が塗ります。
説明の相手が誰かを確認してから、伝える内容を決めます。
| 場面 | 伝えること | 確認する言葉 |
|---|---|---|
| 塗る量と範囲 | ガーゼにのばすのか直接塗るのか、厚さの目安 | 「今はどうやって塗っていますか」 |
| 交換の回数 | 1日1回か2回か。製剤ごとに異なる | 「1日に何回、ガーゼを替えていますか」 |
| 保管場所 | 冷所保存が必要な製剤は、冷蔵庫の位置まで具体的に | 「これはどこに置いていますか」 |
| 中止の目安 | 黒い組織が取れたら医師に相談するなど、次の受診で伝える内容 | 「傷の色は変わってきましたか」 |
| 連絡する症状 | 出血、強い痛み、発熱、においの変化 | 「痛がる様子はありますか」 |
褥瘡の処置は、薬だけで完結しません。体位変換、マットレス、栄養、失禁のケアが並行して動きます。
薬剤師が提供できるのは、薬の選択理由と使い方の精度です。この範囲をはっきりさせておくと、多職種との会話がかみ合います。
よくある質問
ユーパスタとゲーベンを同時に処方されることはありますか
創の部位ごとに状態が異なる場合、別々の部位に使い分ける処方はあり得ます。
ただし2剤は目的が異なります。ユーパスタは褥瘡・皮膚潰瘍の適応を持ち、ゲーベンは潰瘍の二次感染に対する外用感染治療剤です。
基剤の方向性も逆であるため、どの部位にどちらを使うのかを処方せんや指示書で明確にしてもらってください。
ゲーベンクリームとブロメライン軟膏は一緒に使えますか
ゲーベンクリームの電子添文では、外皮用酵素製剤(ブロメライン)は併用注意とされています。
銀が酵素のSH基と結合し、酵素活性を減弱させる可能性があるためです。[5]
併用そのものが禁止されているわけではありませんが、作用が弱まる前提で、使用部位・時間帯・洗い落としの手順を処方医と確認してください。
硬い黒色壊死にいきなりブロメライン軟膏を使ってよいですか
ブロメライン軟膏の効能は壊死組織の分解・除去ですが、硬く厚い密着した壊死組織(DESIGN-R®2020でN6)では、外科的な処置を含む別の手順が検討される場面があります。
実際の手順は創の状態と施設の方針によるため、医師の指示を確認してください。
アクトシン軟膏を常温で保管していた場合はどうしますか
貯法は10℃以下と定められています。[8]
常温で保管されていた期間と温度がわかる範囲で確認し、製造販売業者の相談窓口に照会するのが確実です。自己判断で「たぶん大丈夫」と伝えないでください。
褥瘡の適応がない軟膏が処方されたときはどうしますか
アズノール軟膏0.033%のように、効能・効果に「褥瘡」の語がなく「熱傷・その他の疾患によるびらん及び潰瘍」と記載されている製剤があります。[10]
処方意図が創面の保護であれば説明はつきますが、採用品の電子添文の表記を確認したうえで、記録に残しておくと後の照会に対応しやすくなります。
薬歴には次回の判断に必要な情報を残す
褥瘡は経過を追う疾患です。今回の記録が、次回の提案の土台になります。
記録例の項目
部位:__/DESIGN-R®2020の共有内容(滲出液・壊死組織・肉芽):__/使用中の外用薬と開始日:__/1日の交換回数:__/塗る人:__/保管場所:__/アレルギー(サルファ剤・ヨウ素):__/併用薬(抗血栓薬など):__/照会と回答:__/次回確認:__
他の実務テーマは薬剤師の現場実務ハブにまとめています。
皮膚領域ではアトピー性皮膚炎治療薬の使い分け、抗真菌薬の使い分けもあわせて確認できます。
褥瘡対応の経験を在宅・病棟で生かす
褥瘡の外用薬を創の状態から説明し、多職種へ確認事項を伝える力は、在宅でも病棟でも役立ちます。
在宅や病棟での経験を広げたい場合は、業務内容や褥瘡対策チームへの薬剤師の参加状況を確認すると、学べる環境を比較しやすくなります。
在宅・病院の求人を探すときの入口
- 在宅や病院の求人は、地域と時期で出方が大きく変わります。複数の窓口を並行して見るのが現実的です。
- ファルマスタッフで、希望する地域の在宅・病院求人を確認できます。
- 薬キャリAGENTでも、在宅や病院で担当する業務内容を確認できます。
- まず全体像を比べたい場合は薬剤師の転職エージェント15社比較から確認してください。
条件や求人数は時期によって変わります。登録前に各社の最新情報を確認してください。
情報収集を続ける方法としては、m3.comの特徴と利用時の注意点もまとめています。
電子添文や学会資料の原典まで戻る習慣とあわせて使ってください。
参考資料
以下は2026年10月3日に確認した資料です。製品名と記載内容を照合しています。
- 一般社団法人 日本褥瘡学会:DESIGN-R®2020 褥瘡経過評価用(PDF)。各項目の点数、深さを合計に加えない旨、DTI疑い、3Cの記載。公式掲載ページ。
- PMDA:ユーパスタ軟膏(精製白糖・ポビドンヨード)の電子添文情報。効能・効果、用法・用量、禁忌、重要な基本的注意。
- PMDA:カデックス軟膏0.9%の電子添文(2023年3月改訂 第2版)。禁忌、組成(1g中ヨウ素9mg、マクロゴール、カデキソマー)、効能・効果、用法・用量、特定の背景を有する患者に関する注意、適用上の注意。
- PMDA:ヨードコート軟膏0.9%の電子添文情報。効能・効果、禁忌、用法・用量、添加剤。
- PMDA:ゲーベンクリーム1%の電子添文(2025年12月改訂 第2版)。外用感染治療剤としての分類、効能又は効果(適応菌種・適応症)、禁忌、用法及び用量、重要な基本的注意、相互作用(外皮用酵素製剤ブロメラインとの併用注意)、重大な副作用、適用上の注意。
- PMDA:ブロメライン軟膏5万単位/gの電子添文情報。効能・効果、用法・用量、禁忌、重要な基本的注意。
- PMDA:フィブラストスプレー250/500の電子添文情報。禁忌、用法・用量、溶解後の保存条件。
- PMDA:アクトシン軟膏3%の電子添文(2023年10月改訂 第2版)。貯法10℃以下、組成、重要な基本的注意、適用上の注意。
- PMDA:プロスタンディン軟膏0.003%の電子添文情報。効能・効果、禁忌、用法・用量、重要な基本的注意。
- PMDA:アズノール軟膏0.033%の電子添文。効能・効果、組成(精製ラノリン、白色ワセリン)。
- サンファーマ株式会社:オルセノン®軟膏0.25% 販売中止のお知らせ(PDF、2026年1月)。中止理由、経過措置期間満了は2027年3月末となる見込みとの記載。
- 一般社団法人 日本褥瘡学会:褥瘡の治療について。創の状態と基剤、感染・壊死組織への対応を確認。
本記事は薬剤師向けに褥瘡外用薬の考え方を整理したものであり、すべての製剤、全適応、全副作用を網羅した治療指針ではありません。
褥瘡の評価と治療方針は医師の判断によります。実際の調剤と服薬指導では、採用品の最新の電子添文と患者情報を確認し、疑義は処方医と解消してください。

