「採用薬の使用上の注意が変わった」と知ったとき、改訂指示の通知だけで確認を終えていないでしょうか。
企業が自主的に改訂した内容もあるため、最新の電子添文やDSUまで照合する必要があります。
使用上の注意の改訂指示は、厚生労働省が製造販売業者に必要な改訂を求める通知です。
DSU(医薬品安全対策情報)は、日本製薬団体連合会(日薬連)が医療用医薬品の改訂情報をまとめた資料です。
PMDAメディナビは、こうした安全性情報をメールで知らせます。
2025年度と2026年度の改訂内容PDFを、本記事では192本集計しました。
2026年度の一覧は65行ですが、2行には改訂内容PDFが2本ずつあり、PDF数は67本です。
別紙番号の数、薬剤数、通知の件数とは区別して読みます。
集計基準日は2026年9月20日です。
まずはPMDAの改訂指示一覧とDSUの掲載ページを、自局の情報収集先に加えてください。
個別の患者対応には、対象製品の最新の電子添文と原資料を使います。
もくじ
改訂情報を確認する3つの入口

| 確認先 | 得られる情報 | 実務での使い方 |
|---|---|---|
| PMDAの改訂指示一覧 | 通知日、一般的名称、改訂内容、調査結果など | 行政が求めた変更と、その理由を原資料で確認する |
| DSU | 参加企業の医療用医薬品の改訂内容、販売名、会社名。自主改訂も含む | 自局の採用品と照合し、改訂指示以外の変更も確認する |
| PMDAメディナビ | 安全性に関する特に重要な情報などをメール配信 | 情報を受け取る担当者と代行者を決め、確認につなげる |
DSUは通常、年10回発行されます。
すべての改訂を同時に掲載する仕組みではないため、発行を待たずに確認すべき情報もあります。
製造販売業者のお知らせや、PMDAのマイ医薬品集作成サービスも補助に使えます。
通知の宛先と薬局の情報収集
2026年8月28日付の医薬安発0828第4号は、日薬連の安全性委員会委員長宛てです。
会員企業に対して、使用上の注意の改訂と医薬関係者への情報提供などを求めています。
通知の宛先が薬局ではないことと、薬局に情報が届かないことは別です。
企業からの情報提供やPMDAメディナビを受け取り、必要な確認につなげます。
医薬品医療機器等法第68条の2の6第3項では、薬局開設者や薬剤師などに、適正使用に必要な情報を収集し、検討し、利用する努力義務を定めています。
「努力義務だから確認しなくてもよい」と受け取らず、日常の情報収集手順として整えたい部分です。
年度別の発出日数とPDF本数
| 年度 | 発出日数 | 改訂内容PDF | 発出がなかった月 |
|---|---|---|---|
| 2024年度 | 12日 | 86本 | 2024年9月、2025年2月 |
| 2025年度 | 14日 | 125本 | 2025年8月、12月 |
| 2026年度(8月28日まで) | 11日 | 67本 | 年度途中のため通年比較はしない |
2026年度のPDF数は、4月5本、5月1本、6月12本、7月17本、8月32本でした。
2026年3月は47本、2026年8月25日だけでも26本の改訂内容PDFがあります。
発出の間隔は一定ではないため、月1回の点検とは別に、情報を受信した時点で対応の要否を確認する運用が必要です。
数えたのは一覧の「改訂内容」にリンクされた改訂内容PDFです。
1本のPDFが複数の成分や配合剤、複数の別紙番号を扱う場合があります。
2026年6月は、カルボキシマルトース第二鉄と含糖酸化鉄の行、ST合剤の経口剤と注射剤の行に、それぞれ2本のPDFがあります。
表の行数をそのままPDF数にすると2本少なくなります。
192本のPDFで多かった改訂項目
| 項目 | 2025年度:125本中 | 2026年度:67本中 |
|---|---|---|
| 11. 副作用(ワクチンでは副反応) | 57本(45.6%) | 29本(43.3%) |
| 10. 相互作用 | 50本(40.0%) | 19本(28.4%) |
| 2. 禁忌 | 48本(38.4%) | 21本(31.3%) |
| 8. 重要な基本的注意 | 25本(20.0%) | 24本(35.8%) |
| 9. 特定の背景を有する患者に関する注意(ワクチンでは「者」) | 12本 | 3本 |
| 1. 警告 | 2本 | 3本 |
| 7. 用法及び用量に関連する注意 | 4本 | 1本 |
| 15. その他の注意 | 4本 | 0本 |
| 5. 効能又は効果に関連する注意 | 1本 | 1本 |
見出しと下位項目を確認して数えた結果、副作用、相互作用、禁忌、重要な基本的注意の4項目が多く見られました。
一般用医薬品や要指導医薬品を対象とする5本(2025年度1本、2026年度4本)は様式が異なるため、この項目別集計には含めていません。
割合の分母は、それらを含む年度のPDF総数です。
副作用の改訂を含むPDFは2025年度57本、2026年度29本で、いずれも「11.1 重大な副作用」に関係するものでした。
ワクチンでは「重大な副反応」です。
今回の範囲では「11.2 その他の副作用」の改訂見出しを含むPDFは0本でした。
「10.1 併用禁忌」は48本と19本、「10.2 併用注意」は7本と2本です。
これは特定の期間と資料を対象にした集計です。
「その他の副作用は改訂指示の対象にならない」「併用注意は一覧で確認できない」という意味ではありません。
禁忌と相互作用は両方の電子添文で確認
「2. 禁忌」の改訂を含むPDFのうち、2025年度は48本中46本、2026年度は21本中19本が「10. 相互作用」も同時に改訂していました。
禁忌の項目だけで終わらず、相互作用の表まで確認する理由になります。
2026年8月25日の通知には、抗HIV薬側の改訂と、イボシデニブやエンコラフェニブ側の改訂が含まれています。
たとえばリルピビリン塩酸塩の別紙とイボシデニブの別紙を照合すると、併用する相手側の記載も確認できます。
同じ通知に両側の改訂指示があっても、すべての製品の電子添文が同じ日に更新されるとは限りません。
通知の発出日と、製品ごとの改訂年月や掲載内容を分けて確認します。
自局の採用薬だけでなく、他院の処方薬や持参薬も照合の対象です。
DSUが補う自主改訂
DSU No.348(2026年9月)の本文を確認すると、「重要」は39項目、「その他」は59項目に分かれて掲載されています。
ここでいう項目は、一般名等と薬効分類を見出しにした掲載単位です。
販売名の数ではなく、同じ一般名が別の項目に出る場合もあります。
| 見出し | 重要 | その他 |
|---|---|---|
| 2. 禁忌 | 16 | 9 |
| 8. 重要な基本的注意 | 11 | 16 |
| 10.1 併用禁忌 | 15 | 9 |
| 10.2 併用注意 | 0 | 9 |
| 11.1 重大な副作用 | 14 | 4 |
| 11.2 その他の副作用 | 0 | 12 |
| 6. 用法及び用量 | 0 | 6 |
今回の改訂指示のPDF192本では0本だった「11.2 その他の副作用」が、DSUのこの1号には12か所あります。
「10.2 併用注意」も9か所あり、行政の改訂指示一覧だけでは追えない変更を補えます。
ただし、改訂指示のPDF数とDSUの見出し数は集計単位も期間も異なり、数の比率から網羅率や増減は求められません。
「その他」の例では、プロポフォールやデクスメデトミジンの副作用欄に変更があり、参考情報に企業報告と記されています。
自主改訂はDSUに加えて、製造販売業者の改訂案内や最新の電子添文でも確認できます。
DSUだけが唯一の確認先というわけではありません。
DSUの重要度区分の読み方
PMDAは「最重要」「重要」「その他」を重要度として表示し、改訂添付文書を作成する時期の目安を説明しています。
| 区分 | 改訂添付文書の作成時期 | 薬局での確認 |
|---|---|---|
| 最重要 | 直ちに作成 | 情報の内容と必要な対応を速やかに確認 |
| 重要 | 速やかに作成 | 改訂箇所と該当患者を確認 |
| その他 | 作成に時間を要する場合がある | 区分名だけで後回しにせず内容を確認 |
この表示だけでは、個々の患者への影響や対応の優先順位は決まりません。
No.348の「その他」にも禁忌や併用禁忌の変更があるため、採用品と該当患者を踏まえて判断します。
公的資料とあわせて医療ニュースや専門領域の解説を読みたい場合は、m3.comを薬剤師が情報収集に使う方法も参考になります。
改訂内容を判断するときは、電子添文と原通知に戻って確認してください。
評価中のリスクと改訂決定の違い
PMDAの評価中のリスク等の情報には、使用上の注意の改訂等につながるものとして注目している情報が掲載されています。
2026年8月25日掲載分は、アザチオプリン、トシリズマブなど7行です。
免疫チェックポイント阻害薬9成分をまとめた行もあるため、7行と7成分を混同しないようにします。
掲載は、因果関係や改訂内容が確定したという意味ではありません。
患者への説明では評価中であることを区別し、このページへの掲載だけを理由に自己判断で服薬を中止するよう勧めないでください。
標準的な作業の流れでは、改訂指示につながる場合の公表期間も示されています。
メディナビの登録と施設の登録証明書
PMDAメディナビの登録と利用は無料です。
改訂指示、回収情報、RMPなどが配信されます。
令和8年度の様式87の3の1「地域支援・医薬品供給対応体制加算の施設基準に係る届出書添付書類」には、「8 医療安全に関する取組の実施」のアにPMDAメディナビへの登録と登録証明書番号の欄があります。
メディナビ登録だけで加算の算定要件を満たすわけではなく、他の施設基準も確認が必要です。
登録証明書は施設ごとに発行されます。
PMDAの発行案内では、メディナビに登録し、全配信項目を受信していることが条件です。
登録メールアドレスに加え、保険機関コード(10桁)、施設名称、管理薬剤師名を使って発行手続きを行います。
メール受信の登録だけで施設の証明書が自動発行されるわけではありません。
一方、メールアドレスが個人用であることだけを理由に発行できないともいえません。
受信設定と施設情報を確認し、届出方法は管轄の地方厚生局の案内に従います。
2026年度の改訂事例
| 医薬品 | 改訂の要点 | 確認先 |
|---|---|---|
| メトクロプラミド、塩酸メトクロプラミド | 重大な副作用に重篤な不整脈を追加。必要最小限の使用、漫然とした長期投与の回避、関連症状時の速やかな受診指導などを追記 | 別紙4 |
| アセトアミノフェンと通知に列挙された配合剤 | ピログルタミン酸蓄積の素因がある患者への注意と、アニオンギャップ開大性代謝性アシドーシスのおそれを追加。肝障害の記載には「重篤な肝障害を除く」という限定がある | 別紙1 |
| 葛根湯 | 医療用は重大な副作用に多形紅斑を追加。一般用の葛根湯含有製剤も、同日の別紙で相談に関する記載を改訂 | 医療用の別紙14/一般用の別紙26〜28 |
これらは改訂指示の内容を紹介したものです。
現在の処方監査や服薬指導では、対象製品の最新の電子添文を確認してください。
制吐薬の位置づけは制吐薬の使い分け、添文の探し方はPMDAで電子添文を検索する方法にまとめています。
2026年度67本のうち4本は、一般用医薬品または要指導医薬品を対象としていました。
葛根湯含有製剤と、オメプラゾール、ラベプラゾールナトリウム、ランソプラゾール含有製剤です。
OTCを扱う薬局では医療用とは別の様式も確認します。
受信時の対応と定期点検
確認にかかる時間は、改訂の件数や採用品、患者対応の有無で変わります。
「月30分で足りる」と一律に決めず、受信時に対応の優先順位を判断し、定期点検で補います。
次は薬局内の運用例であり、法定の頻度や所要時間ではありません。
| タイミング | 確認すること | 残す記録 |
|---|---|---|
| 体制を整えるとき | メディナビの受信設定、担当者と不在時の代行者、必要な登録証明書 | 担当者、代行者、受信設定の確認日 |
| 情報を受信したとき | 緊急性、対象薬、他院の処方薬、該当患者の有無。緊急性が高ければ定期点検を待たず対応 | 通知名と発出日、一次確認の結果 |
| 対象があるとき | 改訂箇所と最新の電子添文。相互作用は両剤を照合し、処方医への確認や患者説明の要否を判断 | 製品名、改訂年月、確認先、対応担当者 |
| DSU発行時または定期点検時 | 「その他」を含む全区分を採用品と照合し、企業の改訂案内も確認 | 確認した号、追加対応の有無、次の確認事項 |
| 対応後 | 共有、患者対応、薬歴への記録、未解決事項の引き継ぎ | 実施日、結果、次回の確認予定 |
1件ごとの更新履歴は電子添文改訂の更新ログと朝礼メモ、資料と判断を分けた記録は薬局DIメモの作り方を使うと整理しやすくなります。
共有用の資料には患者を特定できる情報を載せず、個別の対応は施設の定める薬歴等に記録します。
よくある質問
改訂指示は毎月1回ですか
一定ではありません。
今回の一覧では2024年度は12日、2025年度は14日に発出され、発出がない月もありました。
発出日数と通知数、PDF数は区別します。
改訂指示一覧だけで十分ですか
自主改訂などを補うため、DSU、企業の改訂案内、最新の電子添文も照合します。
どれか1つで全情報がそろうとは限りません。
DSUの「その他」は後回しでよいですか
区分名だけでは決められません。
No.348の「その他」にも禁忌や併用禁忌の変更があり、患者への影響と対応の緊急性を確認します。
改訂されたら対象患者全員に連絡しますか
一律には決められません。
改訂内容と患者の状態に応じて、処方医への確認や患者への連絡が必要かを判断します。
緊急性が高い場合は月次確認や次回来局まで先送りしません。
メディナビに個人で登録していても証明書は必要ですか
メール受信の登録と、施設の登録証明書の発行は別の手続きです。
施設の届出に使う場合は、全配信項目の受信と施設情報を確認して証明書を発行します。
DI業務の経験を記録に残す
安全性情報を確認した件数だけでなく、どの変更を見つけ、誰と確認し、薬局の手順をどう見直したかを残すと、勉強会や新人教育に使えます。
DI業務の担当を引き継ぐときや、これまでの実務経験を説明するときにも役立つ記録です。
公的資料を読む範囲を広げたい場合は、JADERの報告件数を読む確認順や重篤副作用疾患別対応マニュアルの使い方も参照してください。
参考資料と集計方法
集計は2026年9月20日に取得した資料によります。
年度別本数は一覧からリンクされた改訂内容PDFを数え、項目別本数は各PDFに含まれる改訂見出しを照合しました。
本文中で別項目を参照しているだけの箇所は数えていません。
DSUは本文の掲載項目と改訂箇所見出しを数えています。
同じ成分の重複掲載や、同じPDFで複数項目が変わる場合があるため、薬剤数や変更の発生率を示す値ではありません。
- PMDA:2024年度の改訂指示
- PMDA:2025年度の改訂指示
- PMDA:2026年度の改訂指示
- 厚生労働省:医薬安発0828第4号
- PMDA:DSUの概要と重要度区分
- 日薬連:DSU No.348(2026年9月)
- PMDA:メディナビの利用案内
- PMDA:登録証明書の発行案内
- 厚生労働省:電子添文改訂等の標準的な作業の流れ(2021年9月27日)
- 四国厚生支局:令和8年度 様式87の3の1
- e-Gov:医薬品医療機器等法 第68条の2の6
情報は随時更新されます。
本記事の集計値と過去の改訂例だけで治療方針を判断せず、最新の電子添文、通知、製造販売業者の案内を確認してください。


