「供給確保医薬品に指定されていれば、入荷を待っていてよいのでしょうか」。
薬局で確かめたいのは、制度上の指定と、目の前の患者さんに必要な薬を用意できるかの両方です。
供給確保医薬品はA~C群、重要供給確保医薬品はそのうちA群とB群です。
指定だけで入荷や供給再開が保証されるわけではありません。
成分名だけで群を判断せず、投与形態と薬効分類まで照合します。
そのうえで出荷状況、手元の在庫、卸からの入荷見込みを確認します。
日々の検索操作は、医薬品安定供給状況等管理システムの使い方を参照してください。
この記事では、制度の読み分けと職場で使う7項目の確認シートを整理します。
もくじ
供給確保医薬品と重要供給確保医薬品の違い
供給確保医薬品は、疾患の重篤性、代替薬や代替療法の有無、製造や原料調達の事情などを踏まえ、安定供給の確保を図る必要性が高いものとして指定される医薬品です。
そのうち特に重要なものが重要供給確保医薬品です。
指定の根拠は医療法第37条第4項と第38条第1項です。
具体的な医薬品は令和7年厚生労働省告示第292号で定められ、2025年11月20日から適用されました。
一方、製造販売業者の出荷停止等に関する報告や届出は、薬機法に規定されています。
| 区分 | 指定の範囲 | 薬局での読み方 |
|---|---|---|
| 供給確保医薬品 | 告示のA群、B群、C群 | 安定供給の確保が必要な対象。現在の出荷状況は別に調べる |
| 重要供給確保医薬品 | 上記のうちA群とB群 | 一定の要件の下で、国が製造販売業者等へ供給不足防止措置計画や製造等計画の作成と届出を指示できる対象 |
| A群とB群の違い | 相対的な評価による分類 | どちらに指定されるかによって法的効果が変わるものではない |
指示は、供給不足の可能性や国民の生命、健康への重大な影響など、法令の要件を踏まえて行われます。
指定後に自動で増産されたり、薬局への納品日が決まったりする仕組みではありません。
出典:指定告示(令和7年厚生労働省告示第292号) 第1号、第2号、別表第一、別表第二。
出典:厚生労働省「重要供給確保医薬品について」(2025年12月15日) 1~2ページ。
成分名に投与形態と薬効分類を加えて照合する
告示では、医薬品やワクチンの名称だけでなく、投与形態と薬効分類の組合せが指定されています。
同じ成分名でも、該当する行が違えば群が変わる場合があります。
| 告示を読む例 | 確認する区別 | 避けたい判断 |
|---|---|---|
| アセトアミノフェン | 外用剤はA群。内用剤と注射剤はC群 | 一つの剤形の指定を、同じ成分のすべての製品に広げる |
| ミダゾラムの注射剤 | 薬効分類112はA群、113はC群 | 注射剤という共通点だけで同じ群と判断する |
実際の品目は、販売名、規格、投与形態、薬効分類を製品情報と公表資料で確認してください。
告示の行数、成分数、販売名ごとの品目数は、集計単位が違います。
それぞれを同じ数として比較しないようにします。
出典:指定告示(令和7年厚生労働省告示第292号) 別表第一の各該当行。
指定区分と出荷状況を分けて読む
厚生労働省の「医療用医薬品供給状況報告」では、製造販売業者の出荷対応を通常出荷、限定出荷、供給停止などに分けて公表しています。
2026年3月31日からは「医薬品安定供給・流通確認システム」でも情報を確認できるようになりました。
2026年10月6日に確認した公表ページには、10月5日現在のファイルが掲載されていました。
ファイルの基準日と、個々の品目の情報更新日を分けて記録します。
公表状況だけで当日の納品可否を決めず、メーカー案内と卸への確認を合わせて行います。
薬価削除予定や販売中止に関する情報も、患者さんの治療継続を考えるうえでは確認対象です。
供給トラブルの割合を集計するときに除外する場合でも、その理由を明記し、現場の対応が不要な品目として扱わないようにします。
出典:厚生労働省「医療用医薬品供給状況報告」 公表区分と更新日の説明。

製造販売業者の届出と薬局への協力要請
薬機法第18条の3の供給不安報告と、第18条の4の出荷停止等の届出は、特定医薬品の製造販売業者を対象とする義務です。
薬局で在庫が少なくなったというだけで、この製造販売業者向けの届出を薬局が行う制度ではありません。
ただし、「薬局に法律上の報告義務は一切ない」と広げて理解するのは避けます。
薬機法第18条の5には、製造販売業者、卸売販売業者その他の販売等に関わる関係者へ、国が必要事項の報告を求める規定があります。
個別の照会や依頼を受けた場合は、根拠、対象者、回答項目、期限を確認します。
薬局開設者は、医療法第36条第2項による協力要請の相手方に明記されています。
施行通知には、次の対応が例として示されています。
| 通知にある協力要請の例 | 職場で準備すること |
|---|---|
| 必要量を超える過剰な発注の自粛 | 使用量と在庫を確認し、不安だけを理由に積み増さない |
| 代替薬の積極的な使用 | 患者さんの状態と製品情報を確認し、変更に必要な処方医への確認や手続きを整理する |
| 系列薬局間の在庫調整や地域の薬局間の連携 | 連絡先を共有し、薬剤の授受に必要な手続きと記録を確認する |
通知の例を、すべての薬局に一律に課された日常の届出義務と読み替えることはできません。
協力要請の対象と内容は、個々の事案に応じて判断されます。
出典:特定医薬品一般の安定供給確保に関する施行通知(2025年11月20日) 第2、第3、第4、第5。
制度ニュースを職場に共有するときは、通知の日付と適用日を添えます。
情報収集の入口を増やしたい場合は、m3.comの無料会員登録と情報収集の使い方も参考になります。
品目の指定や供給状況は、公式資料で確認してください。
薬局で使う7項目の確認シート
次の表は、編集部が提案する共有用の様式です。
患者さんへの対応の緊急度は、A群、B群、C群の順で機械的に決めず、治療継続への影響と残薬、入荷見込みを踏まえて判断します。
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 1.対象品目 | 販売名/成分名/規格/投与形態/薬効分類 |
| 2.指定の確認 | 該当群/告示の該当行/確認に使った資料の日付 |
| 3.出荷状況 | 出荷対応/理由/解消見込み/ファイル基準日と品目の更新日 |
| 4.実際の入荷と必要量 | 手元の在庫/卸の回答/入荷予定/患者さんの残薬と次回受診予定 |
| 5.代替候補と手続き | 他銘柄や他の治療選択肢/製品情報/処方医への確認事項/変更の可否 |
| 6.説明と共有 | 患者さんへの説明内容/処方医との連絡結果/職場の担当者 |
| 7.再確認 | 次に確認する日/連絡先/未確認事項/対応が済んだか |
同じ成分や同じ効能でも、そのまま変更できるとは限りません。
剤形、用量、禁忌、患者さんの状態に加え、処方内容と変更に必要な手続きを確認します。
患者さんには入荷日を確約せず、現時点で分かっていることと次の連絡予定を伝えます。
供給対応の経験をキャリアに結び付ける
供給対応では、情報を探すだけでなく、根拠を残して処方医や職場と調整する力が必要になります。
共有シートに確認日と判断の理由を残せば、引継ぎや後輩への説明にも使えます。
働き方を考える際は、発注の裁量、在庫共有の仕組み、医薬品情報を調べる時間、処方医への連絡体制を確認すると、業務の担い方を具体的に比較できます。
複数の職場の情報を集める場合には、薬剤師向け転職エージェントの比較も参考資料の一つになります。
まずは現在の職場で、誰がどの確認を担っているか整理してみてください。
よくある質問
A群のほうがB群より早く納品されますか?
指定区分だけでは納品の順番は分かりません。
厚生労働省は、A群とB群で法的効果は異ならないと説明しています。
対象品目の出荷状況と卸への確認が必要です。
C群や指定のない薬は、代替薬を先に探すべきですか?
指定区分だけで対応の順番は決められません。
患者さんの治療継続への影響、残薬、入荷見込み、代替候補を確認して対応します。
供給確保医薬品の数は、告示の行数と同じですか?
数え方が異なります。
成分名、投与形態、薬効分類の組合せで分かれる行と、販売名ごとの品目数を混同しないようにします。
情報は毎月確認すれば十分ですか?
供給状況は変わるため、発注や患者対応の時点で更新日を確認します。
定期的な確認に加え、状況が変わった品目は担当者と次の確認日を決めて共有します。
根拠と次の確認日を一緒に残す
採用品を一つ選び、上の7項目に沿って指定と供給状況を記録してください。
その情報を患者さんへの対応につなげるため、担当者と次の確認日も一緒に決めます。
参考資料
- 指定告示(令和7年厚生労働省告示第292号)
- 特定医薬品一般の安定供給確保に関する施行通知(2025年11月20日)
- 供給確保医薬品等の安定供給確保に関する施行通知(2025年11月20日)
- 厚生労働省「重要供給確保医薬品について」(2025年12月15日)
- 厚生労働省「医療用医薬品供給状況報告」
- 医療法 第36条、第37条、第38条等
- 薬機法 第18条の3~第18条の5
確認日:2026年10月6日。制度説明と編集部の実務提案を区別しています。
指定と供給状況は最新の公式資料で確認し、個別の処方変更は必要な確認と手続きを行ってください。


