OTC類似薬の追加負担は、薬の名前だけでは決まりません。
対象品目に含まれるかに加え、何の治療に使うのか、長期使用が医療上必要か、処方箋にどう記載されているかを確認する必要があります。
2027年3月1日施行予定の一部保険外療養では、対象薬剤の薬剤費の4分の1を保険外の別途負担とする仕組みが導入されます。
9月16日の厚生労働省資料では、対象は77成分1,042品目とされています。
薬局は、医師の判断を処方箋で確認し、必要に応じて疑義照会を行ったうえで患者さんへ説明する役割です。[1]
2026年9月17日時点の施行準備用の整理です。
9月16日の第216回医療保険部会「とりまとめ(案)」と、同日の中医協答申資料を反映しています。
法律による制度創設、審議会の整理、施行時に使う告示や通知は段階が異なります。
本記事の表を、そのまま現在の徴収や最終的な請求判定には使わず、施行前に最新の告示、通知、全国共通Q&Aを確認してください。[2][3]

もくじ
一部保険外療養と対象医薬品
一部保険外療養は、医療にかかる費用の一部を保険給付の対象外とする仕組みです。
2026年6月5日公布の健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)で創設されました。
今回のOTC類似薬の見直しは、医療用医薬品の処方を受ける人と市販薬を購入する人との公平性や、保険料負担の軽減を目的としています。[4]
選定の基本は、OTC医薬品と成分と投与経路が同一で、一日最大用量が異ならない医療用医薬品です。
ただし、剤形や含有量、濃度まで必ず一致するという意味ではありません。
中間とりまとめでは、剤形が異なる場合や、一日最大用量の設定がない場合なども整理されています。
対象に含まれることは、患者さんが同じ成分の市販薬へ自己判断で切り替えてよいことを意味しません。[4]
| 確認すること | 資料の整理と薬局での注意点 |
|---|---|
| 対象範囲 | 77成分1,042品目。成分一覧は2026年8月1日時点。最終的には成分名だけでなく対象品目の薬剤コードを照合します。 |
| 身近な成分の例 | ロキソプロフェンナトリウム水和物、酸化マグネシウム、フェキソフェナジン塩酸塩、ヘパリン類似物質など。成分が同じでもすべての製剤や用途を一括して判定しません。 |
| 成分の入れ替え | 2025年12月の一覧からポリエンホスファチジルコリンが除かれ、ラメルテオンが追加されています。古い一覧の使い回しを避けます。 |
| 配合剤 | 配合された成分まで照合します。ある成分を含むことだけで、配合剤全体を対象と判断しません。 |
対象リストの確認には、厚生労働省の第216回医療保険部会資料の22ページを使えます。
対象品目や薬剤コードの更新情報と、確認した日を薬局内で共有しておくと、旧資料との混在を防げます。[1]
薬剤費の4分の1と窓口負担
別途負担は対象薬剤の薬剤費の4分の1で、残りの部分が保険給付と通常の自己負担の計算対象になります。
現在の自己負担額に、元の薬剤費の25%をそのまま加える計算とは異なります。
さらに、実際の計算には価格や点数の端数処理があるため、薬剤費全体に単純に47.5%を掛けて請求額を決めることはできません。[5]
9月16日の医療保険部会資料に掲載された3割負担のイメージは、次のとおりです。
初診料や調剤基本料などの技術料は含みません。[1、9ページ]
| 資料に示された例 | 見直し前 | 見直し後 |
|---|---|---|
| 解熱鎮痛薬(5日分) | 50円 | 70円 |
| 去痰薬(5日分) | 50円 | 70円 |
| 便秘薬(30日分) | 360円 | 550円 |
| 抗アレルギー薬(30日分) | 540円 | 790円 |
これらは一定の薬価を使った説明用の例で、すべての処方の請求額を保証するものではありません。
9月16日の中医協補足資料では、別途負担を「対象医薬品の価格の4分の1×投薬全量」で計算し、1円の位を四捨五入するイメージが示されています。
保険対象となる部分は、所定の単位ごとに薬剤料の点数へ換算します。[5、3〜4ページ]
消費税の扱いは確認待ちです。
同資料は、一部保険外療養の別途負担に対する消費税の取り扱いを政府内で検討中としています。
長期収載品の選定療養と同じ課税方法になると決めつけず、施行時の通知を確認します。[5]
追加負担を求めない条件
対象医薬品であっても、OTC医薬品にない効能を目的に使用する場合や、患者さんと療養の条件に該当する場合は、別途負担を求めない整理です。
下表の7区分に加えて、効能の違い、長期使用、妊婦等の条件も確認します。[1、4]
| 患者や療養の区分 | 別途負担を求めない範囲 | 確認する点 |
|---|---|---|
| こども | 18歳に達する日以後最初の3月31日まで | この年齢を超えても、ほかの対象外条件に該当する場合があります。 |
| 生活保護 | 生活保護受給者が医療扶助を受ける場合 | 生活保護以外の低所得者も、がん治療や長期使用などの別の条件を確認します。 |
| がん | がんの治療中に、がんや治療に関連して生じた状態へ使用する場合。支持療法や緩和ケアを含みます。 | がんと無関係の症状は、この区分だけでは対象外になりません。治療終了後の継続投与は長期使用の条件を確認します。 |
| 指定難病 | 指定難病と、それに付随して発生する傷病への使用。医療費助成を受けていない場合も含みます。 | 指定難病と無関係の傷病は別に判定します。確認書類の扱いは後述します。 |
| 国の公費負担医療 | その公費負担医療を受ける際の対象医薬品の使用 | 自治体単独の助成があることだけでは、同じ扱いになりません。 |
| 入院 | 入院中の処方。退院時処方を含みます。 | 在宅患者や施設入所者を、入院という区分に一括しません。 |
| 処置等に伴う処方 | 処置等による症状に対し、それ以前から同一または類似薬の投薬がなく、同日に新たに処方される14日分まで | もともとあった症状への処方は、この区分に含めません。15日分の処方のうち14日分だけが自動的に対象外になる、とは解釈しません。 |
「処置等」は、侵襲を伴う検査、処置、手術が基本で、歯科はこれらに相当する行為を含みます。
この区分に当たらないことだけで追加負担を確定せず、ほかの条件も確認します。[4、8ページ]
効能の違いと妊婦等の扱い
フェキソフェナジン塩酸塩では、アレルギー性鼻炎はOTC医薬品の効能と対応しますが、蕁麻疹や皮膚疾患に伴うかゆみは対応しない整理です。
鼻炎への処方であっても、こどもや長期使用など別の条件に該当すれば負担を求めない場合があります。[1、9ページ]
妊婦、妊娠している可能性がある女性、授乳婦も一律の扱いではありません。
OTC医薬品の添付文書に「服用しないこと」とあり、医療用医薬品でも妊婦や授乳婦への注意喚起がある対象薬剤について、医師が有益性とリスクを判断して処方する場合の配慮が整理されています。
一方、年齢や併用薬などを理由としたOTCの使用制限だけで、自動的に追加負担の対象外になるわけではありません。
これは費用負担の分類であり、OTC医薬品の使用制限を無視してよいという意味ではありません。[4、12〜14ページ]
長期使用は実績と医療上の必要性を確認
9月16日のとりまとめ案では、年間処方日数がおおむね50週(1年)という目安を維持しながら、過去1年分の処方実績を一律に確認することまでは求めないと明確化しています。
初診か再診かにかかわらず、少なくとも6か月程度の使用実績を確認し、その後も年間を通じた使用が必要と医師が判断すれば、50週に達する前でも対象外とできる整理です。[1、4ページ]
転院先の初診であっても、お薬手帳や診療情報提供書などで過去の使用歴が確認できる場合があります。
「初診なら必ず半年間は追加負担」「半年飲めば必ず対象外」のどちらも不正確です。
過去の実績と今後の治療の必要性を合わせて確認し、こどもや指定難病など別の対象外条件も見落とさないようにします。[1、4]
外用薬の通年使用と経過措置
外用薬は処方量だけで使用期間や頻度を判断できません。
中間とりまとめは、診断、使用の指示、通年での使用実態、診療ガイドライン等の根拠を踏まえて確認する考え方を示しています。[4、10〜12ページ]
| 使用する場面 | 資料の整理 |
|---|---|
| アトピー性皮膚炎に対するヘパリン類似物質、尿素 | 医師が毎日の使用を指示し、通年で継続使用する場合を対象外とする整理です。病名や成分名だけで判定しません。 |
| アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬 | 9月16日案では、プロアクティブ療法等として通年にわたり定期的に使用する場合も対象外としています。 |
| 重症の慢性疼痛に対する湿布等 | 通年使用に加え、画像検査等で慢性かつ重度の疾患が客観的に確認され、医師が年間の疼痛管理に必要と判断して毎日の使用を指示する場合に、令和10年度末までの経過措置が示されています。 |
| アトピー性皮膚炎以外への皮膚保湿剤等 | 通年使用に加え、症状等が十分改善せず、免疫抑制剤等による全身療法を併用した治療歴などで重症と考えられ、毎日の使用を指示される場合に、令和10年度末までの経過措置が示されています。 |
令和10年度末は2029年3月31日です。
湿布や保湿剤のすべてが、この日まで追加負担なしになるわけではありません。
プロアクティブ療法とは、症状が落ち着いた後も再燃を防ぐため計画的に外用する治療です。
制度上の負担を避けるために、患者さんが塗る頻度を変えたり中止したりすることのないよう説明します。[1、5ページ/4]
指定難病を確認する書類
指定難病は、特定医療費の受給者証または登録者証で確認することが原則とされています。
9月16日案では、令和9年度末(2028年3月31日)までは、指定難病であることを客観的に確認できる一定の書類による代替確認も認める整理です。[1、6ページ]
9月11日資料には、臨床調査個人票の写しや、診断基準は満たすものの重症度基準を満たさないこと等による不認定通知書が例示されています。
受け付ける書類の範囲は、今後の全国共通の運用資料と照合します。
9月16日案では、令和10年度以降は受給者証または登録者証での確認としています。
18歳年度末を過ぎた小児慢性特定疾病の患者についても、20歳未満の継続治療等の条件と、公費負担医療や確認書類の扱いを確認します。[6][1]
処方箋の記載と長期収載品の違い
9月16日の中医協答申では、処方箋へ「一部保険外療養」欄を追加する改正案が示されました。
対象医薬品を処方するとき、別途負担の対象は「○」、対象外は「ー」と記載する整理です。
当面は変更前の様式も使える経過措置が示されているため、新しい欄がないことだけで記載不備と決めつけず、旧様式での記載方法も確認します。[2、3、5]
| 同じ薬がOTC類似薬と長期収載品の両方に該当する場合 | 資料の記載例 |
|---|---|
| 一部保険外療養が「○」 | OTC類似薬の別途負担がかかり、長期収載品の選定療養の特別の料金は求めません。 |
| 一部保険外療養が「ー」で、患者希望に該当 | OTC類似薬の別途負担がなくても、長期収載品の選定療養の特別の料金がかかる例が示されています。 |
| 一部保険外療養が「ー」で、医療上必要な変更不可に該当 | 長期収載品の選定療養の特別の料金も対象外とする例が示されています。 |
「OTC類似薬の対象外」という記載を、すべての保険外負担がないという意味に広げないことが確認点です。
長期収載品側の現行制度は選定療養の負担額計算方法に整理しています。
なお、9月16日資料は2027年3月に長期収載品側の特別の料金の計算方法も変える方針を示しているため、現行の計算方法をそのまま施行後へ持ち越さないようにします。[5、2〜4ページ]
薬局の施行準備シート
次の表は、薬局内で準備状況を共有するための編集部作成例です。
公式の判定票や請求様式ではありません。
患者さん個人の記録は、薬局で管理する薬歴等へ記載します。
| 確認項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 1. 参照資料 | 資料名、版、公表日、確認日、更新担当者 |
| 2. 対象品目 | 成分、製剤、薬剤コード、対象一覧との一致 |
| 3. 対象外の条件 | 効能、年齢、関連する治療、公費、長期使用等について、どの情報を確認するか |
| 4. 処方箋の記載 | 新旧様式の扱い、対象と対象外の記号、長期収載品の欄との区別 |
| 5. 疑義照会 | 記載と患者情報が一致しない場合の確認先、照会内容、回答、対応 |
| 6. 会計 | 別途負担と保険部分の計算、端数処理、消費税、レセコンの対応状況 |
| 7. 患者説明 | 説明資料の版、費用の内訳、治療継続の案内、問い合わせ時の対応 |
制度変更への対応は、資料を読んだことだけでなく、更新箇所を共有し、照会の根拠を残し、患者説明を改善するところまで記録すると、薬剤師としての学習や実務の振り返りにも使えます。
共有方法は薬局DIメモの作り方、照会の整理は疑義照会の実務ガイドを参考にしてください。
制度ニュースを継続して集める方法として、m3.comの薬剤師向け活用ガイドも確認できます。
ニュースで変更を知った後は、厚生労働省の告示や通知に戻り、薬局で使う資料を更新する流れを基本にします。
施行前の患者説明
現時点では、これから始まる制度として説明します。
費用だけで治療の中断や市販薬への変更を促さず、個別の処方の扱いは正式な運用資料と医師の判断を確認します。
| 質問 | 説明の例 |
|---|---|
| この薬は値上がりするのですか | 「来年3月から、一部の処方薬に保険とは別の負担を設ける予定です。同じ薬でも使う目的や治療の状況で扱いが変わるため、正式なルールと処方内容を確認してご案内します」 |
| 市販薬に変えたほうが安いですか | 「費用は薬の種類や量、受診や調剤の費用によって変わります。成分が同じでも使える症状や注意点が違うので、今の治療と併用薬を確認してから相談しましょう」 |
| ずっと飲んでいれば対象外ですか | 「これまでの使用歴に加え、年間を通じて治療を続ける必要があるかを医師が確認する整理です。お薬手帳など、使用歴が分かるものをご用意ください」 |
負担の変化を説明する際の組み立ては、薬代が上がる理由の説明フレーズ集も参考になります。
よくある質問
薬局が独自に対象外と判断できますか
厚生労働省の院外処方フローでは、医学的な判断を要する事項は医師が確認し、薬局は患者説明と料金の受領を担います。
処方箋の記載と患者さんの話が食い違う場合などは、必要に応じて疑義照会を行います。
システムに情報が表示されても、それだけで医学的な判断を自動化する整理ではありません。[1、7ページと25ページ]
白色ワセリンを混合の基剤に使う場合も対象ですか
9月3日のパブリックコメントへの整理では、基剤として使う場合も皮膚保護や乾燥防止の目的がOTCの効能と対応するとされています。
ただし、基剤であることと患者ごとの対象外条件は別の確認です。
最終的な品目、処方内容、対象外条件を合わせて確認します。[7]
薬局内やウェブサイトへの掲示は必須ですか
9月16日の答申資料では、一部保険外療養の内容と費用について、新たな院内掲示やウェブサイト掲示の義務は課さない整理です。
一方、国は患者説明資料等を整備する方針です。
掲示義務の有無と、患者さんへ費用を分かりやすく説明する準備は分けて考えます。[3、5]
公式資料と次の更新点
施行までに確認するのは、最終的な対象品目と除外条件、消費税、計算と端数処理、新旧処方箋への記載方法、レセプトの記載例です。
9月16日の中医協答申は改正案に対する答申であり、それ自体を施行済みの告示として扱うことはできません。
公開日を確認して薬局の資料と照合します。


