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最適使用推進ガイドライン|28成分82本の分布と薬局が見る4か所【2026年9月版】

最適使用推進ガイドライン。薬局が確認する4つの視点

ウゴービ皮下注やサイバインコ錠の処方を受けたときは、電子添文に加え、最適使用推進ガイドラインの対象かどうかを確認します。
同じ成分でも、対象となる製品や疾患によって読む文書が異なります。

2026年9月17日にPMDAの最新版一覧を集計したところ、掲載されていたのは28成分82本でした。
本数ではがん領域が多い一方、成分数では非がん領域が20成分を占めます。

薬局で確認するのは、施設の体制、医師の要件、対象患者、投与時の注意の4つです。

これは読む際の4つの視点であり、すべての文書に独立した4章があるという意味ではありません。
保険適用上の留意事項も合わせて読み、処方に疑問があれば処方元へ確認します。

扱う薬を調べる際は、PMDAの最適使用推進ガイドライン一覧から、成分名と対象疾患を照合してください。

最適使用推進ガイドラインとは何か

最適使用推進ガイドライン(以下、ガイドライン)は、革新的な新規作用機序を有する医薬品について、最適な使用を推進する観点から、患者と医療機関等の要件、考え方、留意事項を示した厚生労働省の文書です。

出発点は「経済財政運営と改革の基本方針2016」(平成28年6月2日閣議決定)です。
ここで革新的医薬品の使用の最適化推進を図ることが盛り込まれ、革新的医薬品を真に必要な患者に提供するためにガイドラインを作成する仕組みが始まりました。
現行の取扱いは「最適使用推進ガイドラインの取扱いについて」(令和4年9月30日 薬生薬審発0930第1号・保医発0930第1号)に定められています。

ガイドラインは、製造販売承認に係る審査と並行して作成されます。
そして「原則として、対象医薬品が薬価基準に収載されるまでに通知する」とされています。
効能又は効果の追加で作られる場合も、原則としてその承認時にガイドラインと保険適用上の留意事項が通知されます。

対象薬では原則として、薬価収載の時点でガイドラインを確認できます。
新薬の採用時には、収載情報と一緒に確認しておくとよいでしょう。

対象にならない医薬品もある

通知は、対象としない医薬品についても書いています。
特定の遺伝性疾患にのみ用いられる等、投与対象となる患者が明確に特定される疾患を対象とする医薬品であって患者数が少ないと見込まれるものは、使用される医療機関が限定的で、ガイドラインで要件を示す意義が乏しいため対象にしない、という整理です。

新規作用機序の薬では、対象患者数や使用施設の広がりなどを考慮して選定されます。
すでに対象となっている薬と同じ作用機序を持つ薬や、対象薬の効能追加も検討対象です。
希少疾病用医薬品の指定の有無だけで、このガイドラインの対象かどうかを決めることはできません。
希少疾病用医薬品の指定については希少疾病用医薬品の指定と承認で整理しています。

82本を数えてわかった分布

PMDAのページに掲載されている最新版を、成分ごとに数えました。
2026年9月17日時点で、対象は28成分、ガイドライン82本です。
同じ成分でも対象疾患ごとに文書が分かれるため、成分数と本数が一致しません。
集計対象は「最適使用推進ガイドライン最新版」欄のPDFリンクです。
関連通知に添付された同一文書、旧版、再生医療等製品は含めていません。
がん領域と非がん領域の区分は、掲載された対象疾患に基づく本記事の分類です。

区分 成分数 ガイドライン本数 1成分あたり
がん領域(抗PD-1/PD-L1抗体など) 8成分 55本(67.1%) 6.9本
非がん領域 20成分(71.4%) 27本 1.4本
合計 28成分 82本 2.9本

本数で見ると3分の2ががん領域ですが、成分数で見ると7割が非がん領域です。
がん領域はペムブロリズマブ17本、ニボルマブ14本のように、1成分が多数の癌腫でガイドラインを持つため本数が膨らみます。
非がん領域では、1成分あたり平均1.4本です。

同じ82本を、本数で見るか成分数で見るか

ガイドライン本数(82本)
がん 55
非がん 27
抗がん剤が3分の2を占めます。院内で投与される点滴の薬が中心です。
対象成分数(28成分)
8
非がん 20
成分で数えると7割が非がん領域です。薬局で扱うことのある剤形が含まれます。

PMDA「最適使用推進ガイドライン(医薬品)」の最新版一覧を集計(2026年9月17日確認)。

最新版のうち32本が2026年の通知又は改訂

もう1つ数えたのは、改訂または通知の年です。
備考欄の年を集計すると、2022年3本、2023年7本、2024年18本、2025年22本、2026年32本でした。

82本のうち32本、39.0%が2026年に入ってから通知または改訂されています。
これは確認日時点の最新版の日付を数えた値です。
年間の改訂率や延べ改訂回数を表すものではなく、新規作成された文書も含みます。
一度読んだ内容が来年も同じとは限りません。

非がん領域の20成分

非がん領域の20成分を、対象疾患と投与経路で並べました。
投与経路は各ガイドラインの対象製剤に基づきます。
下表はガイドライン掲載疾患の一覧であり、各成分の承認された効能すべてを示すものではありません。
医療機関で投与する薬も含むため、20成分すべてが院外処方の対象という意味ではありません。

一般名 ガイドラインの対象疾患 投与経路
アブロシチニブ アトピー性皮膚炎 経口
ウパダシチニブ水和物 アトピー性皮膚炎 経口
バリシチニブ アトピー性皮膚炎 経口
デュピルマブ(遺伝子組換え) アトピー性皮膚炎、気管支喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎、慢性閉塞性肺疾患 皮下注
トラロキヌマブ(遺伝子組換え) アトピー性皮膚炎 皮下注
レブリキズマブ(遺伝子組換え) アトピー性皮膚炎 皮下注
ネモリズマブ(遺伝子組換え) アトピー性皮膚炎に伴うそう痒 皮下注
テゼペルマブ(遺伝子組換え) 気管支喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎 皮下注
デペモキマブ(遺伝子組換え) 気管支喘息、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎 皮下注
メポリズマブ(遺伝子組換え) 鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎 皮下注
オマリズマブ(遺伝子組換え) 季節性アレルギー性鼻炎 皮下注
エレヌマブ(遺伝子組換え) 片頭痛発作の発症抑制 皮下注
ガルカネズマブ(遺伝子組換え) 片頭痛発作の発症抑制 皮下注
フレマネズマブ(遺伝子組換え) 片頭痛発作の発症抑制 皮下注
エボロクマブ(遺伝子組換え) 家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症 皮下注
インクリシランナトリウム 家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症 皮下注
セマグルチド(遺伝子組換え) 肥満症、代謝機能障害関連脂肪肝炎 皮下注
チルゼパチド 肥満症、閉塞性睡眠時無呼吸症候群 皮下注
レカネマブ(遺伝子組換え) アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制 点滴静注
ドナネマブ(遺伝子組換え) アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制 点滴静注

投与経路は経口3成分、皮下注15成分、点滴静注2成分でした。
点滴静注の2成分は医療機関の中で投与されます。
皮下注の15成分については、在宅自己注射の対象になっているかどうかが製剤ごとに異なります。
院外処方として薬局に来るかどうかは、電子添文の用法及び用量と、在宅自己注射指導管理料の対象薬剤を合わせて確認してください。

アトピー性皮膚炎を対象とする文書は6成分にあり、「アトピー性皮膚炎に伴うそう痒」を対象とするネモリズマブは別に数えています。
外用薬から生物学的製剤、JAK阻害薬への切り替えは薬局でも説明の機会が多い場面です。
薬剤ごとの位置づけはアトピー性皮膚炎治療薬の使い分け、喘息の吸入薬との関係は喘息吸入薬の処方変更チェックシートで整理しています。

ガイドラインには3つの型がある

82本の目次を確認すると、次の3つの構成に分かれました。
「6章」「5章」は本記事での整理です。

本数 章立て
通常版
(6章)
59本 はじめに/本剤の特徴、作用機序/臨床成績/施設について/投与対象となる患者/投与に際して留意すべき事項
簡略版
(3章)
21本 はじめに/施設について/投与対象となる患者
患者と施設を1章にまとめた型
(5章)
2本 はじめに/本剤の特徴、作用機序/臨床成績/投与対象となる患者及び投与施設/投与に際して留意すべき事項

簡略版21本は、ニボルマブ9本とペムブロリズマブ12本でした。
簡略版でも施設と患者の要件は残ります。
作用機序や臨床成績、投与時の注意は、電子添文と医薬品リスク管理計画(RMP)も確認します。

令和4年の取扱い通知には、再審査での評価や新たな再審査期間の有無など、簡略化の条件が示されています。
承認からの年数だけで簡略版になるわけではありません。
電子添文やRMPにない注意事項を、簡略版に記載する場合もあります。

なお、5章の型はレカネマブとドナネマブの2本です。
この2剤では、患者の要件と施設の要件が1つの章にまとめられています。
この2剤の警告改訂についてはレカネマブとドナネマブの警告改訂で扱っています。

薬局が見るのは4か所

82本のページ数を数えると、最も短いもので6ページ、最も長いもので33ページ、中央値は13ページでした。
初回の確認では、次の4つの視点で読むと処方の前提を整理できます。
効果や副作用の説明に必要な場合は、臨床成績の章にも戻ります。
ページ数は表紙と目次を含むPDF全体で数えています。

薬局が確認する4つの視点。施設の体制、医師の要件、対象患者、投与時の注意を確認し、不明点は処方元へ照会する
医師要件は施設の章に、継続や中止の条件は患者の章に書かれている場合もあります。見出し名だけで確認を終えないようにします。
  • 施設の体制:必要な診療体制、検査体制、副作用への対応、連携施設の条件。
  • 医師の要件:治療責任者などに求められる専門性と経験。標榜診療科だけで充足を判断しません。
  • 対象患者:疾患、重症度、前治療、検査値などの条件。同じ成分でも今回の適応に合う文書を選びます。
  • 投与時の注意:継続や中止の判断、投与期間、副作用への対応。電子添文とRMPも照合します。

ウゴービ皮下注で具体的に見る

セマグルチド(肥満症)のガイドラインを例にします。
ここで挙げるのは、令和8年6月改訂の肥満症のガイドラインの要点です。
同成分の別製品や、代謝機能障害関連脂肪肝炎に対する要件へ、そのまま当てはめないでください。

施設要件には、常勤の管理栄養士による適切な栄養指導を行うことができる体制が整っていることが挙げられています。
医師要件には、日本循環器学会、日本糖尿病学会、日本内分泌学会のいずれかの専門医資格と、所定の臨床経験が含まれます。
教育研修施設の認定など、ほかの施設要件もあるため、この抜粋だけで充足を判断しないでください。

投与対象は、高血圧、脂質異常症又は2型糖尿病のいずれかを有し、所定のBMIと健康障害の条件を満たす肥満症患者です。
そのうえで、本剤を投与する施設で、計画に沿った食事療法と運動療法を6か月以上行っても十分な効果が得られないことが求められます。
その期間中は、2か月に1回以上の頻度で管理栄養士の栄養指導を受けている必要があります。

同ガイドラインの「投与対象となる患者」の章では、日本人を対象とした臨床試験で68週間を超える使用経験がないことを理由に、投与は最大68週間とされています。
また、3〜4か月間投与しても改善傾向が認められない場合には投与を中止すること、とも書かれています。

薬局では前治療や初回投与日、治療の見通しを把握し、期間や処方内容に疑問があれば処方元へ確認します。
患者の自己判断で中止するよう勧める説明は避けます。
美容や痩身を目的とした適応外処方との線引きについてはGLP-1受容体作動薬の適正使用チェックで別に整理しています。

レセプトの記載と処方監査の役割

ガイドラインとセットで、厚生労働省保険局医療課長から「保険適用上の留意事項」の通知が出ます。
ガイドラインに従った使用と、診療報酬明細書への記載事項などを、対象薬ごとに確認する資料です。

たとえばアブロシチニブ製剤(販売名:サイバインコ錠50mg、同錠100mg及び同錠200mg)の留意事項通知(令和3年11月24日 保医発1124第5号)では、投与開始に当たって次の事項を診療報酬明細書の摘要欄に記載することとされています。

  • 治療の責任者として配置されている医師が満たす要件(医師要件ア〜ウのうち該当するもの)
  • 本製剤投与前の抗炎症外用薬による治療の状況(前治療要件アまたはイ)
  • 皮膚炎の重症度を示すIGAスコア、全身又は頭頸部のEASIスコア、体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合(%)

この通知が指定する記載先は、医療機関の診療報酬明細書です。
調剤報酬明細書への記載を薬局に求める規定は、この通知には置かれていません。
ただし、この例から「すべての対象薬で薬局の確認は不要」と一般化することはできません。

一方で、ガイドラインの通知本文には「その使用に当たっては、本ガイドラインについて留意されるよう、貴管内の医療機関及び薬局に対する周知をお願いします」と書かれています。
医療機関側の記載事項と、薬局が行う処方監査や疑義照会は別の役割です。
薬局で確認できる情報を照合し、適応、投与期間、安全性などに疑問があれば、調剤前に処方元へ確認します。
不足する施設情報や患者の検査結果を、処方箋だけで推測して補うことは避けます。

新薬の要件を、収載のタイミングで拾う

対象薬のガイドラインは原則として薬価収載までに通知されます。
新薬の承認と収載を継続的に追う方法は、m3.comの薬剤師向け活用ガイドにまとめています。

一次情報の側からは、PMDAメディナビの配信を受けたうえで、確定した内容を厚生労働省の通知で読み直す流れが基本です。

通知や告示そのものの探し方は厚労省の告示・通知・疑義解釈の探し方、改定全体の整理は令和8年度診療報酬改定で薬局に関係する変更点まとめ薬剤師の現場実務ハブにあります。

バイオ後続品と後発品にも先行品の要件が及ぶ

2026年2月13日、厚生労働省医薬局医薬品審査管理課と保険局医療課から、ガイドラインの取扱いに関する質疑応答集(Q&A)の事務連絡が出ています。
収載されている問答は1つだけです。

問いは、対象医薬品に対するバイオ後続品または後発医薬品についても、先行バイオ医薬品または先発医薬品のガイドラインは適用されるのか、という内容です。
答えは適用されるとされました。
その承認範囲において、先行品のガイドラインに示されている医療機関の要件、使用が適切と考えられる患者の要件等を踏まえ、適正な使用を確保することが求められる、とされています。

対象成分にはアトピー性皮膚炎や喘息で使われる抗体医薬品が並んでいます。
バイオ後続品が登場したときに「後続品だから要件は関係ない」とはならない、という整理が明文化されたことになります。
バイオ後続品と後発医薬品の考え方の違いはバイオシミラーとジェネリックの違いで説明しています。

改訂を追うときの注意点

令和4年の通知には、改訂手続きについて重要な但し書きがあります。
剤形追加等に伴う改訂であって、効能又は効果、用法及び用量、患者の要件、医療機関の要件に変更が生じない改訂、および添付文書の使用上の注意の改訂に伴う改訂については、厚生労働省内で処理することとされ、この場合は関連学会やPMDAへの検討依頼、薬事・食品衛生審議会および中央社会保険医療協議会への報告を実施しないとされています。

つまり、審議会の資料を追っているだけでは拾えない改訂があります。
PMDAのガイドライン一覧ページで備考の日付が変わったかを見るか、PMDAメディナビの配信で拾うのが現実的です。

もう1つ、診療報酬改定との連動もあります。
令和6年度改定で外来腫瘍化学療法診療料3が新設された際には、6成分のガイドラインに含まれる「外来腫瘍化学療法診療料1又は外来腫瘍化学療法診療料2」の記載を読み替える事務連絡(令和6年5月31日)が出ています。
ガイドラインは診療報酬の項目名を直接参照しているため、改定時には、関連する読み替え通知の有無も確認します。

直近の動き

2026年9月16日付で、2本のガイドラインが新たに掲載されました。いずれも表紙の日付は令和8年9月で、改訂ではなく新規です。

  • チスレリズマブ(遺伝子組換え)の上咽頭癌です。6章の通常版で、同じ2026年9月にチスレリズマブの食道癌と胃癌のガイドラインも改訂されています。
  • ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)の卵巣癌です。3章の簡略版で、作用機序、臨床成績、留意事項は電子添文とRMPを参照するよう明記されています。

ペムブロリズマブはこれで17本となり、成分別では最多です。

薬局での確認7項目

ガイドラインの対象薬が処方箋に載ったとき、順番に見る項目を7つにまとめました。

順番 確認すること 確認先と記録
1 製品名と今回の適応を確認 処方箋、薬歴、患者や処方元からの情報
2 対応する最新版を選ぶ PMDA一覧の成分名、対象疾患、備考の日付
3 施設と医師の要件を読む 「施設について」又は患者と施設をまとめた章
4 対象患者の条件を確認 前治療、重症度、検査値など。足りない情報は処方元へ確認
5 継続や中止の条件を確認 「投与対象となる患者」と「投与に際して留意すべき事項」など
6 関連資料を照合 通常版でも簡略版でも、電子添文、RMP、保険適用上の留意事項
7 確認と対応を記録 資料名、改訂日、疑問点、照会先、回答、調剤時の対応

気になる点は「適応」「前治療」「投与開始日」「確認した資料」のように分けて照会します。
回答と対応は薬歴等に記録し、次回も確認できるようにします。
照会の型は薬剤師の疑義照会 実務ガイドの手順がそのまま使えます。

患者さんへの説明で使える言い方

要件の話をそのまま伝えると、条件が厳しい薬という印象だけが残ってしまいます。
なぜその条件があるのかを添えると受け止めが変わります。

聞かれること 伝え方の例
なぜこの病院でしか出せないのか 「新しい仕組みのお薬は、副作用が出たときにすぐ対応できる体制が整った医療機関で使うことになっています。必要な体制はお薬ごとに異なりますので、処方元での体制を確認してご説明します」
なぜ前の薬をもっと早くやめられなかったのか 「先に試しておく治療の内容と期間が決まっているお薬です。これまでの治療と今回のお薬を選んだ理由について、処方元の説明を確認しましょう」
ずっと続ける薬なのか 「お薬によっては、使う期間の目安が決められているものがあります。効果の確認の仕方も含めて、治療の見通しを一緒に確認しましょう。自己判断で中止せず、ご相談ください」
同じ成分の安い薬はないのか 「対象薬の後続品にも、承認された範囲で元のお薬のガイドラインが適用されます。切り替えの可否は、その製品の適応や剤形、処方内容を確認してご説明します」

薬局内で確認結果を共有する

ガイドラインの改訂を追う力は、新薬の採用時や処方変更時の確認に役立ちます。
成分名だけでなく、製品名、対象疾患、資料の改訂日、前回からの変更点、処方元へ確認した内容を残すと、別の薬剤師も経緯を追えます。

更新を継続して確認するには、PMDAメディナビへの登録も選択肢です。
ニュースで変更を知った後は、PMDAの一覧と厚生労働省の通知で対象範囲を確認してください。

よくある質問

ガイドラインに従わない処方は保険で切られるのですか

対象薬の保険適用上の留意事項には、ガイドラインに従った使用や、必要な記載事項などが示されています。
「ガイドラインだから保険適用とは無関係」とは判断できません。
実際の審査の取扱いは審査支払機関の判断によるため、個別の事例については処方元の医療機関に確認してください。

薬局の調剤報酬明細書にも要件を書く必要がありますか

本文で例示したアブロシチニブの通知では、記載先は診療報酬明細書の摘要欄です。
この通知に調剤報酬明細書への同じ記載を求める規定はありません。
ただし通知は成分ごとに出ています。
扱う薬の通知本文を一度確認しておくと確実です。

ガイドラインはどこで探せますか

PMDAの「最適使用推進ガイドライン(医薬品)」のページに成分別の最新版がまとまっています。
再生医療等製品は別のページです。
また、PMDAの医療用医薬品情報検索から、文書の種類として最適使用推進ガイドラインを選んで検索することもできます。

簡略版に切り替わると要件は緩くなるのですか

今回確認した簡略版21本には、作用機序、臨床成績、投与時の留意事項の独立した章がありません。
ただし、電子添文やRMPにない注意事項が簡略版に記載される場合もあるため、本文の確認は必要です。
施設の要件と投与対象となる患者の要件は簡略版にも残っています。
要件そのものがなくなるわけではありません。

改訂されたかどうかを効率よく確認する方法はありますか

PMDAのガイドライン一覧では、各ガイドラインの右側の備考欄に改訂年月または通知日が表示されます。
ここを定期的に見るのが最も簡単です。
PMDAメディナビに登録すると、更新がメールで配信されます。

参考資料

  1. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構「最適使用推進ガイドライン(医薬品)」(2026年9月17日確認)
    PMDA
  2. 厚生労働省「最適使用推進ガイドラインの取扱いについて」令和4年9月30日 薬生薬審発0930第1号・保医発0930第1号
    通知本文(PDF)
  3. 厚生労働省「最適使用推進ガイドラインの取扱いに関する質疑応答集(Q&A)について」令和8年2月13日 事務連絡
    事務連絡(PDF)
  4. 厚生労働省「令和6年度診療報酬改定に伴う最適使用推進ガイドラインの取扱いについて」令和6年5月31日 事務連絡
    事務連絡(PDF)
  5. 厚生労働省「最適使用推進ガイドライン セマグルチド(遺伝子組換え)(販売名:ウゴービ皮下注)〜肥満症〜」令和5年11月(令和8年6月改訂)
    ガイドライン本文(PDF)
  6. 厚生労働省保険局医療課長「アブロシチニブ製剤に係る最適使用推進ガイドラインの策定に伴う留意事項について」令和3年11月24日 保医発1124第5号
    厚生労働省 法令等データベース

本記事の集計値は、2026年9月17日時点でPMDAのページに掲載されていた最新版82本を対象としたものです。
ガイドラインは効能追加や添付文書の改訂に伴って随時改訂され、そのうち一定の改訂は審議会への報告を経ずに行われます。
患者の治療方針は処方医が判断し、薬局は処方内容の確認、疑義照会、服薬指導を通じて適正使用を支えます。
実務で使う際は、必ず最新版のガイドライン、保険適用上の留意事項通知、電子添文を直接ご確認ください。

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