「スタッフに改定内容をどう伝えればいいか、正直わからない……」
管理薬剤師なら誰もが感じる悩みです。2026年6月改定は廃止・新設・名称変更が複雑に絡み合い、「口頭でなんとなく共有」では算定漏れのリスクが高まります。
この記事では、薬局内勉強会をすぐに開催できる「スライド9枚構成テンプレ」と「配布資料サンプル」を丸ごとお届けします。15分版・30分版の説明フローも用意しているので、多忙なスタッフにも確実に届く勉強会が設計できます。
もくじ
なぜ2026年改定の社内勉強会が「必須」なのか
廃止・新設・名称変更が同時多発している
今回の改定は、過去と比べて「名前が変わっただけ」ではすまない項目が多数あります。
- 廃止:かかりつけ薬剤師指導料(76点)、かかりつけ薬剤師包括管理料(291点)、後発医薬品調剤体制加算1〜3、重複投薬・相互作用等防止加算 など
- 新設:調剤ベースアップ評価料(4点)、調剤物価対応料(1点)、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)、調剤時残薬調整加算(30〜50点)、薬学的有害事象等防止加算(30〜50点) など
- 名称変更:地域支援体制加算→地域支援・医薬品供給対応体制加算、医療DX推進体制整備加算→電子的調剤情報連携体制整備加算 など
廃止された加算を「まだ算定できる」と思い込んでいるスタッフがいれば、過誤請求・返戻の対象になりかねません。逆に新設加算を見落とせば、算定取りこぼしで薬局経営に直接影響します。口頭だけの共有では「聞いた・聞いてない」問題が必ず起きます。
6月1日施行という時間的プレッシャー
施行は2026年6月1日です。レセコン設定・届出提出・掲示物更新と並行して勉強会の準備も進めなければなりません。「資料を一から作る時間がない」という管理薬剤師のために、このテンプレートをそのまま使ってください。
勉強会の企画設計|対象・時間・回数の推奨設計
| セッション | 対象 | 所要時間 | 主なテーマ |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 薬剤師全員 | 15〜30分 | 改定全体像・廃止された加算・新設加算の一覧 |
| 第2回 | 在宅担当者 | 20〜30分 | 在宅算定の変更点・複数名訪問・医師同時指導 |
| 第3回 | OTC・登録販売者(任意) | 15分 | 患者への窓口説明・値段変更の伝え方 |
※施行2週間前を目安に第1回、施行1週間前に第2・3回を設定するのが理想的
全員対象と職種別を分けることで、「自分には関係ない話が多かった」という不満を防ぎ、集中度が上がります。
スライド構成テンプレ(全9枚)
以下のスライド9枚構成は、PowerPoint・Google Slides・Keynote いずれでも使えるように設計しています。各スライドのキーメッセージと説明ポイントをそのまま転記してください。
パート1:改定全体像(スライド1〜3)
- スライド1「なぜ今回の改定はいつもより複雑か」:廃止・新設・名称変更の数を棒グラフで示す。「いつもは点数変更が多いが、今回は加算の種類自体が変わった」と冒頭で強調する
- スライド2「改定率と施行日」:診療報酬本体+3.09%(2年平均)、2026年6月1日施行。調剤ベースアップ評価料4点・調剤物価対応料1点の2つが新設された背景(物価・賃上げ対応)を1文で説明
- スライド3「改定の3つの方向性」:①体制評価の整理、②対人業務の強化、③医薬品供給対応の3軸。これを最初に示すと、後続スライドの「なぜこの加算が廃止されたか」が腹落ちしやすくなる
パート2:廃止・新設・変更一覧(スライド4〜6)
- スライド4「廃止された加算リスト」:かかりつけ薬剤師指導料・包括管理料、後発医薬品調剤体制加算1〜3、重複投薬・相互作用等防止加算、医療情報取得加算、調剤管理加算 を一覧表示。「6月1日以降は絶対に算定しないこと」と赤字で強調
- スライド5「新設された加算リスト」:調剤ベースアップ評価料4点、調剤物価対応料1点(3か月1回)、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算50点、かかりつけ薬剤師訪問加算230点、調剤時残薬調整加算30〜50点、薬学的有害事象等防止加算30〜50点、バイオ後続品調剤体制加算50点 を一覧。「届出状況を必ず確認」とひと言添える
- スライド6「名称変更・点数変更項目」:地域支援体制加算→地域支援・医薬品供給対応体制加算、医療DX推進体制整備加算→電子的調剤情報連携体制整備加算。調剤基本料1が45点→47点、調剤管理料が4区分→2区分(28日以上60点・27日以下10点)に簡素化されたことを表で示す
パート3:自薬局への影響(スライド7〜9)
- スライド7「自薬局の届出状況チェック」:届け出済み・これから届出予定・届出しない の3列で各加算を整理する。当日、管理薬剤師が事前に記入して配布する
- スライド8「変わる算定フロー」:服薬管理指導料1〜4の新体系、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の算定タイミング(電話等フォロー時・残薬調整訪問時)を簡略フローで説明
- スライド9「Q&Aと次のアクション」:よくある質問(後述)を事前に配置しておき、質問が出た際にすぐ見せられる形にする。最後にアクションアイテム(届出・レセコン設定・掲示物)を再確認
【図解】説明フロー:15分版と30分版の使い分け
配布資料のサンプル構成(A4 2枚)
スライドとは別に、手元に残る「配布資料」があると学習効果が倍増します。
【1枚目】改定概要チートシート(A4横)
左列:廃止加算リスト(赤背景)、中列:新設加算リスト(緑背景)、右列:名称変更一覧(黄背景)の3列構成。参照ガイドとして診察台・カウンター下に貼っておくと実務で役立ちます。自薬局の届出状況を手書きで書き込めるよう、右端に「届出状況」欄を設けるのがポイントです。
【2枚目】算定要件早見表(A4縦)
主な加算について「対象患者・算定条件・算定単位・点数」を一行ずつまとめた表。調剤管理料の2区分化(28日以上60点・27日以下10点)、服薬管理指導料の1〜4区分、かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の要件を重点的に記載します。既存の改定前後比較記事も参考にしてください。
配布資料は勉強会の1〜2日前に印刷し、「勉強会後に手元に残るもの」として設計するのがポイントです。スライドは見せっぱなしでも、配布資料は繰り返し参照されます。
勉強会でよくある質問とその答え
スライド9枚目の「Q&Aスライド」に事前配置しておくことで、質問への回答が即座にできます。
- Q. かかりつけ薬剤師指導料が廃止されたら、同意書をとっている患者さんはどうなる?
A. 同意書は新設の「かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)」「かかりつけ薬剤師訪問加算(230点)」の算定に引き続き活用できます。新たに同意を取り直す必要はないケースが多いとされますが、施設基準の確認は必須です。なお、同意書の取り扱い詳細は各地方厚生局や日本薬剤師会の通知を必ずご確認ください。詳しい算定実務はフォローアップ加算・訪問加算の算定実務記事をご確認ください。 - Q. 重複投薬・相互作用等防止加算は廃止だが、疑義照会後の対応に加算はつかないのか?
A. 残薬関連は「調剤時残薬調整加算(30〜50点)」、薬学的介入(相互作用・副作用防止等)は「薬学的有害事象等防止加算(30〜50点)」に機能が分離されました。要件が細分化されているため、個別確認が必要です。 - Q. 調剤物価対応料はすべての処方箋で算定できるのか?
A. 届出は不要で、すべての保険薬局が算定できます。「処方箋を受け付けた際に患者ごとに3か月に1回」算定する仕組みです(施設単位ではなく患者単位)。令和9年6月以降は2点に引き上げ予定です。レセコンの設定確認も忘れずに。 - Q. 後発医薬品調剤体制加算が廃止されたら、後発医薬品の推進はどこで評価されるのか?
A. 地域支援・医薬品供給対応体制加算の算定要件に後発医薬品調剤率が組み込まれる形に再編されました。
まとめ|勉強会は「6月1日の前」ではなく「今すぐ」始める
2026年6月改定は、廃止・新設・名称変更が入り混じった複雑な改定です。「なんとなく知っている」では算定ミスを防げません。社内勉強会で情報を「全員に届いた状態」に引き上げることが、算定漏れゼロ・不正請求ゼロへの最短ルートです。
今回のスライド9枚テンプレ・15分/30分フロー・A4 2枚配布資料を使えば、資料作成に数時間かける必要はありません。管理薬剤師が作業に集中できる時間をつくるために、テンプレートは「そのまま使う」を徹底してください。
- ✅ 廃止加算を全スタッフが認識し、6月以降は算定しない
- ✅ 新設・変更加算のうち自薬局で算定できるものを確認済み
- ✅ 配布資料をカウンター・在宅担当者の手元に常備
- ✅ 施行後1か月を目途に「算定漏れチェック」を再度実施
改定準備の全体チェックは【薬剤師の準備チェックリスト完全版】も合わせてご活用ください。2026年調剤報酬改定の全体解説・地域支援体制加算チェックリストも参考にどうぞ。

