令和8年(2026年)6月1日の調剤報酬改定から、約1か月が経ちました。
施行直後は「点数を覚える」「レセコンを更新する」ことに意識が向きます。
しかし、7月のレセプト点検に入るころに見えてくるのは、点数そのものよりも算定区分の取り違え、薬歴テンプレートの未更新、掲示・届出の維持漏れです。
この記事では、2026年7月2日時点で確認できる厚生労働省の改定資料、調剤点数表通知、疑義解釈資料をもとに、薬局で見直したい6項目を整理します。
詳細な点数は必ず原典に戻る前提で、ここでは「レセ締め前にどこを見るか」に絞ります。
もくじ
結論:施行1か月で見直したい6項目
令和8年6月改定は、点数の変更だけでなく、算定要件・記録要件・体制要件の細部を見直す改定です。
施行1か月時点では、次の6項目を優先して点検します。

| 項目 | 1か月後に見たいポイント | 主なリスク |
|---|---|---|
| 特定薬剤管理指導加算3 | 加算1、加算2、加算3イ・ロの区分 | 新規処方時の説明記録不足 |
| 服薬管理指導料 | 1〜4、特例、お薬手帳・オンライン服薬指導の記録 | 薬歴テンプレートが旧体系のまま |
| 調剤時残薬調整加算など | 旧加算廃止後の新加算への置き換え | レセコンフラグ・薬歴項目の不整合 |
| 調剤後薬剤管理指導料 | 対象疾患、フォロー内容、情報提供の記録 | 対象患者を広く解釈しすぎる |
| リフィル処方箋 | 各回の算定、期限、状態変化時の連絡記録 | 1回目だけの項目と各回の項目を混同 |
| 電子的調剤情報連携体制整備加算 | 電子処方箋、マイナ保険証、掲示・HP掲載 | 旧「医療DX推進体制整備加算」の名称で点検してしまう |
改定後の疑義解釈や通知は、施行後も追加されます。
一次資料の更新に気づく入口として、厚生労働省ページを定期確認しつつ、医療従事者向けニュースも補助的に使うと抜けを減らせます。m3.comのような医療従事者向けサービスは、疑義解釈や薬局実務の続報を追う入口として使いやすいです。
m3の薬剤師向け活用方法は、以下の記事で整理しています。
① 特定薬剤管理指導加算3は加算1・加算2と分けて見る
特定薬剤管理指導加算3は、加算1の延長ではありません。
令和8年改定では、医薬品のリスク説明やバイオ後続品に関する説明を、加算1とは別の評価として整理しています。
施行1か月時点で確認したいのは、次の3点です。
- 新規処方時のリスク説明を、加算1だけで処理していないか
- 加算3イと加算1の両方を考える場面で、薬歴記録を分けて残せているか
- 加算3ロを考える場面で、バイオ後続品に関する説明と体制要件を確認しているか
とくに注意したいのは、特定薬剤管理指導加算2との混同です。
加算2は、抗悪性腫瘍剤の注射を受けている患者など、別の要件で整理されています。
「加算3ができたから加算2の考え方が変わった」と読まないようにします。
現場では、レセコンのフラグだけで判断するのではなく、薬歴に「何を説明し、何を確認し、どの区分で算定したか」を残します。
② 服薬管理指導料は薬歴テンプレートの更新を確認する
服薬管理指導料は、1・2・3・4の体系に再整理されています。
点数区分を覚えるだけでは足りません。
施行1か月後に見たいのは、薬歴テンプレートやお薬手帳記載が新体系に合っているかです。
- 服薬管理指導料1〜4の区分を、受付場面ごとに選べているか
- 特例13点を算定する場面で、要件確認が薬歴に残っているか
- オンライン服薬指導で、本人確認、通信環境、説明内容、記録媒体の扱いを残しているか
- 旧かかりつけ薬剤師指導料の運用を、そのまま新体系に当てはめていないか
薬歴テンプレートが旧体系のままだと、現場は算定したつもりでも、後から見ると根拠が不足します。
7月の点検では、6月分の薬歴を数件だけ抽出し、実際に要件を追えるか確認します。
③ 旧「重複投薬・相互作用等防止加算」の感覚を残さない
令和8年改定では、旧「重複投薬・相互作用等防止加算」が廃止され、調剤時残薬調整加算や薬学的有害事象等防止加算などの新しい整理に変わっています。
この項目は、現場で名前だけが残りやすいところです。
施行1か月時点では、次を確認します。
- レセコン上の旧加算フラグが、6月以降の処理に残っていないか
- 残薬調整、副作用回避、重複投薬解消などを、新加算の要件に沿って整理できているか
- 疑義照会後に処方変更があった場合と、変更がなかった場合を薬歴上で区別できるか
「疑義照会をした」だけでは、どの加算の要件に当たるかは決まりません。
処方変更の有無、薬学的判断の内容、患者への説明、医師への連絡内容を分けて残します。
疑義解釈の追加や訂正通知は、6月中も出ています。
公式資料を追いきれない場合でも、医療ニュースで追加情報の存在に気づき、最後は厚生労働省の原典へ戻る運用にしておくと安全です。
改定情報の追跡を習慣化したい薬剤師へ
疑義解釈や添付文書改訂は、気づいた時点で一次資料へ戻ることが大切です。m3.comなどの医療従事者向けニュースは、「追加資料が出た」ことに気づく補助線として使えます。
④ 調剤後薬剤管理指導料は対象患者を広げすぎない
調剤後薬剤管理指導料は、調剤後のフォローを評価する点数です。
ただし、すべての患者フォローに使える点数ではありません。
糖尿病や慢性心不全など、対象疾患や処方内容の確認が必要です。
施行1か月で見直したいのは、次の3点です。
- 対象疾患や処方内容を、薬歴上で確認できるか
- 電話などで確認した内容、患者の反応、医療機関へ情報提供した内容が残っているか
- 服薬情報等提供料との使い分けを、薬局内で説明できるか
名前が似ている点数が増えると、現場では「とりあえずフォローしたから算定」となりがちです。
しかし、調剤後薬剤管理指導料は、対象と記録がそろって初めて検討できます。
⑤ リフィル処方箋は各回の記録を分ける
リフィル処方箋は、1回目だけで完結しません。
2回目、3回目の来局時に何を確認し、どの点数を考えるかを分けて見ます。
施行1か月後の点検では、次を確認します。
- 各回の来局日、調剤日、次回予定を薬歴・レセコン上で追えるか
- 服薬管理指導料を各回で検討するとき、患者状態の確認が残っているか
- 調剤基本料など、1回目のみ算定する項目と混同していないか
- 体調変化や副作用疑いがある場合、処方医への連絡・疑義照会を残しているか
リフィル処方箋のミスは、算定だけでなく患者安全にも関わります。
「前回と同じだから大丈夫」と流さず、各回で確認した事実を残します。
⑥ 電子的調剤情報連携体制整備加算は名称から更新する
令和8年6月改定後の薬局DX関連では、旧「医療DX推進体制整備加算」の名称で点検を続けてしまうと、現行の整理とずれます。
点検対象は、電子的調剤情報連携体制整備加算として確認します。
1か月後に見たいのは、設備を導入したかだけではありません。
- 電子処方箋の受付や確認フローが、窓口で実際に回っているか
- マイナ保険証を通じた薬剤情報・特定健診情報の確認手順が共有されているか
- 掲示、ホームページ掲載、患者向け説明が最新の名称・要件に合っているか
- 届出後も、体制要件を継続して満たせているか
この項目は「導入済み」ではなく「運用中」と言える状態にすることが大切です。
受付、調剤、服薬指導のどこで電子的な情報を使うのか、薬局内で役割を分けて確認します。
レセ締め前の修正チェックリスト
6項目を、薬局内で使いやすい点検表にすると次のようになります。
| 確認項目 | 薬局で見るもの | 判定 |
|---|---|---|
| 特定薬剤管理指導加算 | 加算1・2・3イ・3ロの区分、説明内容、施設基準 | □ 済 □ 未 |
| 服薬管理指導料 | 薬歴テンプレート、お薬手帳、オンライン服薬指導記録 | □ 済 □ 未 |
| 新設加算への置き換え | 旧加算フラグ、残薬調整、有害事象等防止の記録 | □ 済 □ 未 |
| 調剤後薬剤管理指導料 | 対象疾患、フォロー内容、情報提供記録 | □ 済 □ 未 |
| リフィル処方箋 | 各回の算定、期限、状態変化、医師連絡 | □ 済 □ 未 |
| 電子的調剤情報連携体制整備加算 | 電子処方箋、マイナ保険証、掲示、ホームページ | □ 済 □ 未 |
FAQ
7月時点で、6月分の算定ミスに気づいたらどうすればよいですか?
まず、薬局内で事実を確認します。
薬歴、レセコン、疑義照会記録、患者への説明内容を照合し、修正が必要な範囲を整理します。
実際の請求・返戻対応は、所属先の手順、審査支払機関、所轄地方厚生局、薬剤師会などの最新案内に沿って判断してください。
疑義解釈はどこまで追えばよいですか?
少なくとも、厚生労働省の令和8年度診療報酬改定ページに掲載されている最新の疑義解釈資料を確認します。
2026年7月2日時点では、6月26日付の疑義解釈資料その9まで掲載されています。
薬局スタッフ全員に共有するなら、何から始めるべきですか?
最初は、全項目を細かく説明するよりも、6項目の点検表を朝礼で共有するのが現実的です。
そのうえで、特定薬剤管理指導加算、服薬管理指導料、リフィル処方箋など、自薬局で件数が多い項目から薬歴サンプルを確認します。
改定対応をキャリアの棚卸しにもつなげる
改定対応は、単なる請求作業ではありません。
算定要件を読み、薬局内で手順を整え、薬歴を改善できる薬剤師は、店舗運営や教育の面でも評価されやすくなります。
もし今回の点検で「今の職場では制度対応の教育やIT整備が追いついていない」と感じた場合は、すぐに転職を決めるのではなく、まず職場選びの軸を整理します。
制度対応に強い薬局、在宅や地域連携に投資している薬局、教育体制がある職場を比較する視点は、キャリアの棚卸しにも役立ちます。
参考にした一次情報
本記事は、2026年7月2日時点で確認できる以下の情報をもとに整理しました。
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定について」
- 厚生労働省「令和8年度診療報酬改定説明資料等について」
- 厚生労働省「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(調剤点数表に関する事項)」
- 厚生労働省「疑義解釈資料の送付について(その9)」
個別の算定判断は、必ず最新の告示・通知・疑義解釈資料、所轄地方厚生局の案内、所属先の運用に従って確認してください。
まとめ:1か月後は制度理解のずれを直す時期
令和8年6月改定は、点数表を読むだけでは現場運用まで落とし込みにくい改定です。
施行1か月後は、算定漏れや記録不備を責める時期ではなく、薬局内の手順を整える時期です。
今日の6項目のうち、1つでも不安があれば、詳細記事と厚生労働省の原典へ戻って確認してください。
最後にもう一度、改定情報は施行後も更新されます。
厚生労働省のページを定期確認しつつ、m3.comなどの医療従事者向け情報サービスを補助的に使うと、疑義解釈や薬局実務の続報に気づきやすくなります。

